謹賀新年2016
皆様,明けましておめでとうございます.本年も皆様にとって良い年でありますように,お祈り申し上げます.例年通り,昨年一年を振り返り,今年の展望について思うところを述べさせていただきたいと思います.
昨年のハイライトは,何といっても還暦を迎え,会社を定年退職したことです.還暦については,十干十二支の最小公倍数で60という数が決まっていますので,この年齢基準ははこれからも永く変わらず続くと思うのですが,昔の還暦と今の還暦はだいぶ意味が違うように思います.昔の平均余命からすると,還暦というものは,よくここまで生き永らえましたね,お疲れさまでした,もうそろそろ棺桶に片足を突っ込むような年齢になったので,よくよく注意しましょう,という意味合いが強かったと思います.しかし現在の還暦は,これでようやく世知辛い仕事から解放され,長い余命を楽しめるようになって良かったですね,という意味合いのほうが強いのではないでしょうか?
実際,私自身,定年退職に引き続いてシニア社員として再雇用され,それまでと全く同じように働き続けていますし,働くのを止めたとしても,それから長い “老後” というものが待っています.私の同僚や同級生を見渡しても,60歳というのはまだまだ若々しくて健康そのもの,まだ10年程度は現役で働けそうな感じです.
ところが,収入面では定年前後には大きな断絶があります.私の場合は,シニア社員としての給料は現役時代の数分の一に激減.残業手当は出るようになったものの,これまでのような金銭感覚ではやっていけません.幸い,会社の退職金の一部を年金で受け取る企業年金基金という制度があるため,これを活用して直ちに少額の年金をもらい始めました.また10年以上積み立てながら運用してきた確定拠出年金も60歳から受け取り可能なので,これも受給を始めることにしました.さらに雇用保険制度からも,再雇用後の給料の激減緩和の一助として少額の給付を受けられることになりました.
あと2年経って62歳になれば,厚生年金の報酬比例部分の給付を受けられるようになりますが,本来の老齢厚生年金は65歳にならないと給付されないので,それまでは安月給のシニア社員として働きながら,一方で雑多な有期の年金をかき集めながら,なんとかやっていくしかありません.
しかし,本当に大切なことは何といっても健康でしょう.定年後にいくら経済的に楽ができたとしても,健康を損なってしまっては何にもなりません.これからは健康であることを第一に,質素で平凡ながらも自ら意義を見出せる生き方をしていきたいものです.
実は,昨年9月の定期健康診断で便潜血検査が陽性でした.これは消化器系の何らかの不具合を意味し,最悪の場合は大腸がんなどの疾患を覚悟しなければなりません.大慌てで付き合いのある専門病院で大腸内視鏡検査の予約を行い,2か月もの順番待ちを経て10数年ぶりに検査を行いました.結果は完全なシロ.この病院の腕は日本でもトップクラス(だから10数年前も見てもらったのですが),内視鏡の盲腸到達は当たり前で,小腸の出口20㎝あたり(回腸というそうです)まで覗き込むことができたのですが,全く何の病変もないということで無罪放免となり,ほっと胸をなでおろしたところです.
実はこの直後に職場の知り合いが大腸がんの一種で亡くなりました.皆さん,定期的に内視鏡検査を受けましょう.下剤を飲むのはつらいですが,死ぬよりははるかにましです.
昨年も海外出張に出かけることが多く,特に正月明けにアメリカのド田舎を一週間ほどドサ回りしたときは疲れました.まず異常気象なのか非常に寒い.最も寒いときは最低気温が-20度ほどまで下がりました.日中も-10度程度にしか上がりません.
行程も過酷なものです.朝ホテルを出て車に乗って現場に行き,歩き回った後で会議をやって,サンドイッチの昼食を食べて再び車に乗り空港から次の場所へ移動します.その間,空港でビールとファーストフードの夕食.夜遅くホテルに着いてベッドに入り,翌朝からまた同じことの繰り返しです.寒い屋外を歩き回る必要もあり,時差から来る疲れもあって,今までで最もきつかった出張の一つです.殺伐としたアメリカ大陸のど真ん中を移動して回ったので,文化的な匂いのするものにはついにありつけず,最終日にインディのダウンタウンのレストランで食べた 熟成肉のステーキ が唯一のご馳走.こんな調子なので,欧州への出張に比べると明らかに意欲が下がります.
6月には Dallas にも行きましたが,ここでは何と空港内のホテルに2泊してホテル内で会議.距離の離れたダウンタウンに繰り出すゆとりはありませんでした.こんなに味気ない出張は初めて.近くの Grapevine という観光地らしきところには行ってみたのですが,まあ,そこは歴史や文化の蓄積の無さがもろに出て,けっこう頑張っているんだけどまだ残念という感じのところ.あと100年くらいすると良くなるかもしれません.
それに比べると欧州は別世界です.11月に北イタリアを訪れたのですが,高速道路の両側には延々とブドウ畑が続いています.ほど良く朽ちた煉瓦造りのワイナリーも沿道にちらほら.ちょうど紅葉・黄葉の季節で,ブドウの木もきれいに色づいていて美しい景色.ところがよく見てみると,畑の小さな区画ごとに紅葉の色や葉の散りかたが異なっており,斜面全体がパッチワークのようになって見えます.推測するに,これは区画ごとに異なる品種のブドウが植えられているからでしょう.イタリアワインはブドウの品種が非常に多いのが特徴で,覚えきれないくらいの品種があるのですが,それが畑の紅葉の景色にも反映されているようなのです.これには感激.車を降りた後で飲んだ数本のワインがより味わい深くなったことは言うまでもありません.デザートで食べたパンナ・コッタも絶品でした.
一昨年母を亡くしたことは昨年の新年の挨拶に書いたとおりですが,その後,高齢の父は一人で暮らし続けています.その父が昨年秋に自転車で転んで骨折して入院,手術をして2か月近くも入院する羽目になってしまいました.一人暮らしなので,私が連絡を受けたのは事故の日の夕方,ケアマネジャーのかたから携帯電話に連絡を受けて入院を知りました.
きっと取るものもとりあえず入院したに違いないので,誰かが帰省して面倒を見なければなりません.あいにく都合がつくのは私一人だけだったので,定年直前の微妙な時期ではあったのですが,1週間丸々仕事を休んで父の入院と手術に付き合いました.洗濯した衣類や身の回りの物をあれこれと繰り返し病院に運んだり,医師や看護士と相談したりして手術日を迎えました.また,転んだときに至近の医院に連れて行ってくれたかたを探してお礼をしたり,応急処置をしてくれたかかりつけのお医者さんへの挨拶も私が一人で行いました.
幸い手術そのものは大変順調に完了し,翌日からリハビリが始まります.予後とリハビリが順調に進んでいることを確認して現地を発って戻ってきました.
それから1か月半ほど経って退院するときにも私が帰省して父を手伝いました.退院そのものはホテルをチェックアウトするのと同じであっけないものですが,それから介護用ベッドを買いに行ったり,ちゃんと一人で日常生活を再開できることを確認したり,今後の生活支援についてケアマネージャと打ち合わせたり,父が入院中にたまたま不幸があった親戚への挨拶に付き合ったりして戻ってきました.
父は施設に入ることを嫌がり,一人でできるうちは一人で暮らしていきたいと強く主張してきました.今回,転んで骨折するという事故を起こしたので,隔地に住む子供としては,どこか施設に入ってもらいたいとは思うのですが,父の一人暮らしをしたいという気持ちは強く,また,施設に入ってあれこれ面倒を見てもらえると,かえって認知症や体の老化が進むのではないかという心配も捨てきれません.父の言っていることは一面わがままではありますが,人間誰しも自立して尊厳を保って生きていきたいと考えることは当然ですし,周囲もその原則を尊重すべきではないかとも思えるわけで,これは私にとってはなかなか深い悩みです.本当にいざというとき,孤独死してもよいという本人と家族の覚悟ができていれば,父の主張に反論する必要はありません.ある種の保険として,十分ではないにせよ,週2回のお掃除のヘルパーさんの訪問と週1回の通所デイサービスを続けているので,長期間放置されることもありません.
昨年は,春に自宅のネットワーク環境を更新しました.まず光アクセス回線を高速化して,公称 1Gbps のフレッツ光ネクストにアップグレード.毎月500円料金が上がるのですが,インターネットサービスプロバイダとのセットにすると,合計では逆に500円安くなるという料金体系になっているため,これを活用しました.また高速化とともに IPv6 サービスも利用可能にしました.これは追加料金無料.さらに無線LANルータを最新のものに買い替えました.
夏には,これまで10年以上契約してきた au の携帯電話サービスを解約し,新たに OCN の MVNO サービス,いわゆる格安 SIM に乗換えました.電話機そのものは,貯まっていた家電量販店のポイントで,中国製の安めのスマートフォンを購入して使い始めました.一月後に家人も同じようにスマートフォンに乗換え.現在ではこれまでずっとそうだったかのようにスマートフォンを使っています.
私たちのような使い方では 2GB/月も使わないので,料金プランは最低額のもので十分.これまでガラケーを最低額の料金プランで使ってきたので,夫婦合わせて2,500円/月程度だったものが,3,500円/月程度に上がる程度で済みました.定年後の暮らしに合ったつつましさです.
昨年は Windows 10 がリリースされ,私の PC でもログインするたびに Window 10 にアップグレードしましょうというバナーが勝手にポップアップされるのですが,無料アップグレードの期限はまだ半年以上あるので,Windows 10 の機能や使い勝手がもう少しこなれ,また PC パーツの価格がもう少し落ち着いたらハードウェアごとアップグレードしようと思っています.
通勤時の読書用に一昨年購入した Kindle Voyage は愛用中です.現在は塩野七生さんの大著 “ローマ人の物語” を愛読中.ようやく五賢帝の時代に差し掛かったところです.
今年も結構長文になってしまいました.昨年も天変地異や大規模なテロなど,大きな出来事が続きました.世の中はなかなか平安という具合にはいきませんが,今年もどうにかこうにかやっていこうと思っています.皆様も健康第一で一年をお過ごしください.
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