IOC List V7.3 の特徴
昨日ポストした記事の続きです.
今回の改訂にはいくつかの重要な変更が含まれています.日本のバーダーにとって影響がありそうな主なものを以下に列挙します.
(1) 日本のバーダーには関係ないと思いますが,エミュー科 (Dromaiidae) がヒクイドリ科 (Casuariidae) に統合されました.下位のエミュー属 (Dromaius) はそのままなので,エミューの学名はこれまで同様 Dromaius novaehollandiae です.
(2) カナダカモメ (Larus thayeri) が亜種に格落ちし,Larus glaucoides thayeri となりました.従って和名は無しとするか「亜種カナダカモメ」とすべきでしょう.
(3) トモエガモ (Anas formosa) が Anas から Sibirionetta という一属一種の属に異動し,Sibirionetta formosa となりました.
(4) シマアジの仲間,ハシビロガモの仲間のうち 10 種が Anas から Spatula に異動しました.すなわち,シマアジ (S. querquedula),アフリカコガモ (S. hottentota),プナシマアジ (S. puna),ギンイロシマアジ (S. versicolor),アカハシビロガモ (S. platalea),アカシマアジ (S. cyanoptera),ミカヅキシマアジ (S. discors),ケープハシビロガモ (S. smithii),ミカヅキハシビロガモ (S. rhynchotis),ハシビロガモ (S. clypeata) です.日本のバーダーになじみの深い種も含まれています.
(5) ヒドリガモの仲間 6 種が Anas から Mareca に異動しました.すなわち,オカヨシガモ (M. strepera),ヨシガモ (M. falcata),ヒドリガモ (M. penelope),ワキアカヒドリ (M. sibilatrix),アメリカヒドリ (M. americana),アムステルダムヒドリ (M. marecula) です.
(6) オオモズ (Lanius excubitor) が分割され,亜種 Lanius excubitor borealis が種に昇格して Lanius borealis (Northern Shrike) となりました.和名は暫定的に「キタオオモズ」としています.また,亜種オオモズ (L. e. bianchii) が L. borealis bianchii に,亜種シベリアオオモズ (L. e. mollis) が L. borealis mollis となりました.
(7) ベニヒワ (Acanthis flammea) の欧州の一亜種だった A. f. cabaret が種に昇格し,Acanthis cabaret (Lesser Redpoll) として独立しました.和名は暫定的に「ニシベニヒワ」としています.
これら以外では,ハイイロアジサシの属が異動,シロハラアナツバメの仲間で多くの種の分割が行われています.
私としては Anas マガモ属からの大量の移動がショック.しばらく混乱するだろうと思います.
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