雨ばかりの夏休み
関東地方の今年の夏は,10年に一度かそれ以上という程度の冷夏だったと後に振り返って言うことになるのではないかと思います.私は本日までの10日間が夏休みだったのですが,日差しを見たのはほんの僅かで,毎日雨に降られるか,どんよりとした曇り空で湿度の高い日が多かったように思います.
天気図を見ると,太平洋高気圧の張り出しが弱く,オホーツク海高気圧が南まで張り出して,いわゆるやませを東北から北関東地方に吹かしている影響が大きいと思います.この北東気流は冷たい海上を吹き渡るうちに海霧を発生させ,それが雲となって日射を遮り,涼しく湿った風を太平洋沿岸に吹き付けます.
毎年の夏や冬の天候がどれほど典型的な「型」に沿っているか否かは,私たちの生活に直結しています.というのも,私たちは知らず知らずのうちに,典型的な型が正常で,それから外れたものには「異常」というラベルを張りがちだからです.毎年8月の天候は実は千差万別,日照りの年もあれば,今年のような梅雨のような年もある,その中間の年もある,それが真実であるはずなのですが,私たちは典型(平均とは限らない)を求め,それを基準に計画を立て,吉凶を判断しがち.そのような習性からすると,今年の夏は明らかに異常な夏と分類されるでしょう.
しかし長い期間の平均をとると,江戸時代から明治にかけての低温傾向はすでに終息し,夏はどんどん暑くなっているのが現実です.農業技術の進歩で過去のような飢饉になるほどの不作も起きません.
私はもともと暑さが苦手なので,今年のような冷夏はむしろ歓迎.暑い夏を待望する論調のメディアを見かけますが,それには反対です.あと数10年もすれば,関東地方でも真夏の最高気温は37-8度が当たり前になるでしょうから,むしろ今の農作物が作れなくなることのほうを心配すべきです.地球温暖化の最大の悲劇は,農作物や漁獲の産地移動とそれに伴う食糧紛争だと思いますが,それを声高に警告するメディアはほとんどありません.
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