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2018年9月

2018/09/29

Refsort/Ruby の Excel インターフェース

またまた Refsort/Ruby(リリース実績は新しいほうから *1 *2 *3 *4 *5 *6 *7 *8 *9 *10)ネタになってしまうのですが,引退して暇ができるとこのような事も出来てくるという見本です.かねてから,Refsort/Ruby を Excel 上で使えるようにしたいと思っていました.なぜならば,コマンドコンソールを立ち上げてコマンドを打ち込むとか,出力をファイルにリダイレクトしてエディタで編集しなおすとか,ふた時代ほど古いユーザー体験を強制するユーザーインターフェースは自分でも不満に思っていたのです.

数年前の現役時代に Visual Basic for Applications (VBA) の入門本を買ってきて読んでみたのですが,あまりに初心者向きの本でやりたいことまでの距離がありすぎると気が付き,かといってより高度なプログラムを書けるほどの知識もないという状態が続き,大変欲求不満を感じていました.

しかし,時間ができるということは非常に良いことで,新たに教科書を読むことなく,Web の上でやりたいことの解決法を検索しながら,いわば見よう見まねでプログラムを書き始めてみると,VBA の作法には手を焼いたものの,意外と短い日数で何とか動くものができてしまいました.

Refsort_excel

上にその画面を示しますが,並べ替えをしたいリストを Excel 上に作っておき,それをマウスで選択したうえで,右上のボタンを押します.すると Refsort/Ruby が背後で動き,並べ替えた結果をクリップボードに書き出してくれます.あとは,出力したい場所のセルをクリックして,Ctrl-V とキーを叩いてクリップボードの中身をワークシートに張り付けるだけです.クリップボードは汎用なので,エディタ上に張り付けることだってできます.

Refsort の各種オプションのうち,M オプションだけはインデントをどう扱うのか決めかねているのでサポート外としていますが,それ以外のオプションは問題なく動きます.また,フィールド区切り記号をカンマに固定しているため,複数列にまたがるリストの扱いなど一部に制約は残りますが,これで生産性は劇的に上がったのではないかと思います.ドキュメントを書き上げたうえでリリースしたいと思います.

残る課題は,Ruby のインストール作業と,Ruby や Refsort の場所の指定をいかに簡単にするかですが,これらについてはなかなか良いアイデアが思い浮かびません.しばらく考えてみたいと思います.

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2018/09/18

鳥類の分類目録が統一されるか?

やや旧聞に属しますが,この時点で情報を共有しておきたいと思います.

このブログでは,IOC が発行している World Bird Names という世界の鳥類の分類目録をもとに編集した Refsort/Ruby 用の辞書ファイルを配布しています.最新版は今年6月25日にリリースされた IOC List v8.2 をもとにして作成した辞書ファイルで,これをほぼ即日でアップロードすることができました.画面右側のカラムの “自作コンテンツ” から最新版を直接ダウンロードできますし,またその上部の “Archive” の中にある “IOC List Archive” をクリックして,One Drive のアーカイブから過去分を含めてダウンロードすることも可能です.

さて,世界にはこの IOC List 以外に, “The Clements Checklist of the Birds of the World„ , “The Howard & Moore Complete Checklist of the Birds of the World, 4th Edition” , “Handbook of the BIrds of the World Alive” という代表的な鳥類目録があります.私は IOC List 以外の目録については詳しくないのですが,それぞれ目録作りの考え方や内容が少しずつ異なっているそうです.それら目録の間の比較は鳥類分類のデータベースである Avibase に集約されています.わたしも辞書ファイルを編集するときにまず頼りにするのがこの Avibase ですが,目録間の相違は微妙だなぁといつも感じていました.

実は今年に入って間もないころアナウンスされていたのですが,8月にカナダのバンクーバーで開催された IOC 総会(4年に一度開催,前回は2014年,池袋の立教大学が会場でした)で,これら目録間の差異を議論し目録の統一を目指す円卓会議が開催されることになり,それが実際に8月22日に開催されたようです.

その結果,統一目録を作成しようという広範な合意がなされ,8月24日にそのための作業部会を設置することが IOC 理事会に提案された模様です.部会長候補は Les Christidis という人.この部会がどの程度の日程で統一目録を提案し,それが関係者間で合意されるのか,まだ何もわかりませんが,早ければ1年後には新しい統一目録が提案されているかもしれません.

期待されると同時に,これまでの分類体系に対する何らかの変更や,地域群や交雑群,分化途中の個体群のような新しい概念が持ち込まれるか否かなど,要注目です.

蛇足になりますが,日本鳥学会が発行している日本鳥類目録も,今後は何らかの整合性を取る必要が出てくるのではないかと思います.こちらも動向を注意して見守りたいと思います.

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2018/09/17

キクイモ

初秋の今頃,河原や耕作放棄地などで黄色い花をつけているのがキクイモ.クズに覆い隠されそうになっても,その高い背丈のおかげで花を突出させることができています.電車の車窓からこの花が一面に咲いているのを見ることもありますので,日本に定着した代表的な外来植物の一つであることは間違いありません.

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イモというからには,地下にデンプンを蓄えた塊茎か塊根があると思うのですが,自分で掘り出して確認したことはありません.

ところがWikipediaの記事によれば,キクイモの根茎にはデンプンは含まれておらず,多糖類のイヌリンを含む食物繊維が主成分であるとのことです.もちろん食用になり,飼料や果糖の原料にもされているそうです.

イヌリンは人間の消化器官そのものでは消化できず,大腸内の腸内細菌によってはじめて代謝され,かつ低カロリー.またカルシウムやマグネシウムの吸収を促進し,腸内細菌(特にビフィズス菌)の活動を増進させるとのことです.

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2018/09/16

クズの花咲くころ

今年の夏は猛暑が続いたものの,9月に入ると猛暑はおさまり,初秋らしい日々が続いています.初秋というのは気温は低めながらも秋雨前線がウロウロしているということなので,当然湿りがちで湿度が高い日が多いということになります.

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この時期は,夏の間に光合成でたっぷりと養分を蓄えた植物たちの実りの時期でもあります.我が家の周辺では,はびこり過ぎているクズが花をつける時期に当たります.クズは塊根にたっぷりとデンプンを蓄えているはずなのですが,地上では赤紫色の豪華な集合花を咲かせ,ブドウに似た香りを放って存在をアピールしています.

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今日,クズの根茎を掘り出してデンプンを取ることはなく,またクズの長く丈夫な地上茎を農作業用の紐として使うこともないため,クズは大いにはびこり日本全国を覆いつくそうとしているのですが,これを何とか抑制するような手段は無いものかと毎年夏になると思います.日本では古くからデンプン源や薬,繊維として活用され,人名に使われるほど親しまれてきた植物なのですから,名誉ある活用法を考え出せないものかとも思います.

アメリカ南部ではすでに完全に定着してはびこり,有害外来生物の烙印を押されているので,そのうちアメリカで何らかの薬剤か生物農薬が開発されるのではないかと予想しています.

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引退して味わう特殊相対性理論

高校数学でわかる相対性理論(ブルーバックス)[新書] - 竹内 淳(著)

今から5年前にもこのブログで紹介した本です.その時は,双子のパラドックスが理解できたような気がしていたのですが,ローレンツ変換がまだ身に付いていないことは感じていましたし,コンプトン散乱はさっと読んだだけだったので消化不良を感じていました.その時のブログには

私はとりあえず通勤電車の中でさっと読んだだけなので,定年後にもう一度机の上でノートを取りながら,じっくりと読み直してみようと思います.
と書いていました.あれから5年の歳月が流れ,とうとうその時がやって来ました.自分に対する約束を違えることなく,このためにわざわざA4版のノートを買ってきて,ノートで数式を追いかけながらこの特殊相対性理論を読み進めました.

早速ローレンツ変換に取り掛かりました.線形変換であるという前提条件は非常に強力で,非常に簡単に変換形が求まります.ただしこれは光の波面について計算したもの.これがそれぞれの慣性系の時空間そのものであるとは言えないというところで引っ掛かりましたが,慣性系に紐づいた時空の座標の変換公式だと思えば,これで良いようにも思えてきました.ローレンツ収縮や時間の遅れなどもすんなりと頭に入りましたし,ミンコフスキー空間やその上でのダイヤグラムを使った計算もちゃんと理解したと思います.ローレンツ収縮は二つの慣性系で同時の概念が崩れていることから来ることが,ミンコフスキー空間を使うと良くわかります.

最大のヤマは前回と同様双子のパラドックスです.ここはやはり固有時の出番.固有時は非常に強力な道具だということを改めて実感しました.さらに前回は気づかず今回初めて悟ったのは,兄は二つの異なる慣性系を乗り継いで地球に帰って来るということ.反転して地球に戻ってくるときに速度の合成を相対論的に計算する必要があることに初めて気付きました.固有時を使わないとこれらの慣性系の乗り換えを組み合わせた時間の計算が大変です.でもやはり直感と合わせることは難しかった.その理由は,ここでも同時の概念が一致しないからだと思います.地球と宇宙船のそれぞれで相手の時刻を観察しても,それは同時ではないのです.

コンプトン散乱は,光子と電子の弾性衝突の問題なのですが,光量子のエネルギーと運動量の公式さえ受け入れられれば,あとは単なる弾性衝突の計算なので,完全に理解することができました.また,この本の最大の功績であるマクスウェル方程式のローレンツ変換は,実際に手を動かして計算してみると実によくわかります.ローレンツ力は電荷の運動に伴う相対論的な見かけの力だという説明が実にすんなりと頭に入り,マクスウェル方程式が最初からローレンツ変換に対して不変な形で導出されていたことが奇跡のようにも思えてきました.

四元ベクトルやテンソルの説明は,前回も感じたように中途半端で,この本の説明範囲では不要だと思いますが,数学的な一般化や一般相対性理論への導入としては,この時点で読んでおくのも良いのかもしれません.

今回は自分の手を動かしながら全篇を読んだので,ようやく特殊相対性理論のエッセンスを理解できたような気がしています.しかし,量子力学ほどではありませんが,日常の常識とは相容れない現象も多く,特に同時性が成立しないということを受け容れるにはまだ時間がかかりそうです.

しかし,引退して時間がたっぷりあるということは素晴らしいです.次はやはり大学時代に悶々としていた熱力学を勉強しなおそうかと思っています.

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2018/09/11

Rersort/Ruby v2.94 Released

このところ Refsort/Ruby(リリース実績は新しいほうから *1 *2 *3 *4 *5 *6 *7 *8 *9 *10)のソースファイルを眺めているうちに,ムラムラと湧き上がるものがあって実装をいじっているうちに,辞書ファイルの重複したレコードやラベル,さらには入力の重複レコードを処理する部分を全面的に書き換えました.ただし仕様の変更は実質的に何もありません.

どういう内容かと言うと,まず辞書ファイルに重複したレコードがあると,同一のものが異なる複数の順位を持つことになるので,そもそもソーティングが原理的に成り立ちません.このため,辞書ファイルの読み込み時に重複したレコードを見つけると,従来は最初の重複ペアが見つかった時点でエラーメッセージを出して即座に処理を中止していました.しかし,これはあまり親切なやり方ではないので,辞書ファイルをすべて読み込んだうえで何々というレコードが何行目と何行目と何行目に重複して存在していると網羅的に報告し,それから処理を中止するようにしました.こうすれば辞書ファイルの作者は辞書の修正が容易です.

同様に,辞書ファイル中のラベル(つい最近までマイルストーンと呼んでいたもの)に重複が見つかった場合は,従来は五月雨式に重複ペアを報告しながら処理を続行していたのですが,こちらも辞書ファイルをすべて読み込んだ後で,重複しているラベルを網羅的に報告することにしました.なおラベルが重複しているとは,そのラベルの文字列(コメントを除く)とレベルがともに同一である場合です.またラベルが重複していてもソーティングに不都合はないため,処理はそのまま続行しますが,ソーティング結果には同一のラベルが異なる複数の箇所に現れることになりますので,本来は望ましくありません.辞書ファイルの修正が望ましいところです.

最後に入力の重複です.入力の重複自体には特に問題はなく,入力データとしては十分あり得る話ですし,ソーティング自体にも影響はありません.ユーザーが重複を検知するには -d オプションを使うことにしていますが,従来は重複したペアが見つかるたびに五月雨式に報告していました.しかしこれでは見にくいうえに全体像が分かりにくいので,これも入力をすべて読み終わった後で重複した入力を網羅的に報告し,処理を続行するように改めました.

これらの改訂を入れ込んだ新しい版 v2.94 を近日中にリリースします.またユーザーズガイドも書き直したものをアップロードすることにしました.ユーザーから見た場合には仕様上の変更は何もありませんが,警告文の出かたが見やすいものに変わるので,気づくことがあると思います.なおこの改訂によって処理速度はほとんど影響を受けないことを確認済みです.

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