鳥類の分類目録が統一されるか?
やや旧聞に属しますが,この時点で情報を共有しておきたいと思います.
このブログでは,IOC が発行している World Bird Names という世界の鳥類の分類目録をもとに編集した Refsort/Ruby 用の辞書ファイルを配布しています.最新版は今年6月25日にリリースされた IOC List v8.2 をもとにして作成した辞書ファイルで,これをほぼ即日でアップロードすることができました.画面右側のカラムの “自作コンテンツ” から最新版を直接ダウンロードできますし,またその上部の “Archive” の中にある “IOC List Archive” をクリックして,One Drive のアーカイブから過去分を含めてダウンロードすることも可能です.
さて,世界にはこの IOC List 以外に, “The Clements Checklist of the Birds of the World„ , “The Howard & Moore Complete Checklist of the Birds of the World, 4th Edition” , “Handbook of the BIrds of the World Alive” という代表的な鳥類目録があります.私は IOC List 以外の目録については詳しくないのですが,それぞれ目録作りの考え方や内容が少しずつ異なっているそうです.それら目録の間の比較は鳥類分類のデータベースである Avibase に集約されています.わたしも辞書ファイルを編集するときにまず頼りにするのがこの Avibase ですが,目録間の相違は微妙だなぁといつも感じていました.
実は今年に入って間もないころアナウンスされていたのですが,8月にカナダのバンクーバーで開催された IOC 総会(4年に一度開催,前回は2014年,池袋の立教大学が会場でした)で,これら目録間の差異を議論し目録の統一を目指す円卓会議が開催されることになり,それが実際に8月22日に開催されたようです.
その結果,統一目録を作成しようという広範な合意がなされ,8月24日にそのための作業部会を設置することが IOC 理事会に提案された模様です.部会長候補は Les Christidis という人.この部会がどの程度の日程で統一目録を提案し,それが関係者間で合意されるのか,まだ何もわかりませんが,早ければ1年後には新しい統一目録が提案されているかもしれません.
期待されると同時に,これまでの分類体系に対する何らかの変更や,地域群や交雑群,分化途中の個体群のような新しい概念が持ち込まれるか否かなど,要注目です.
蛇足になりますが,日本鳥学会が発行している日本鳥類目録も,今後は何らかの整合性を取る必要が出てくるのではないかと思います.こちらも動向を注意して見守りたいと思います.
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