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2019年6月

2019/06/24

梅雨のアジサイ

当地では今年は梅雨らしい梅雨が続いています.定期的にたっぷりと雨が降り,数日前のように蒸し暑くて不快な日があるかと思うと,今日のように冷たい雨が降って肌寒いという事が繰り返されています.

Earlysummerhome_jun2019_0003m

我が家には何株かもらってきて植えたアジサイがあるのですが,今日は未明からの雨でしっとり濡れて,いかにも梅雨らしい風情を演出してくれています.

Earlysummerhome_jun2019_0012m

私自身はガクアジサイのほうが好みなのですが,我が家の株は弱ってきて花付きが良くありません.周囲の木を剪定して日光を入れてあげないといけないのでしょうか?

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2019/06/23

IOC List v9.2 Released

IOC World Bird List v9.2 が2019年6月22日にリリースされました.これは2019年2回目のリリースで,年内にはもうリリースはありません.前回 v9.1 のリリースが2019年1月20日だったので,今回は約5か月の更新間隔となっており,比較的短期間でのリリースとなっています.担当者が夏休みに長期間不在になることを示唆しているように見えます.うらやましい(勝手な想像).

今回収録されたのはが 40,が 250,が 2,320,現生が 10,758,絶滅種が 158,亜種が 20,034 です.これまでと同様,上目 (Superorder) の PALEOGNATHAE(古顎類)NEOGNATHAE(新顎類)や,系統群であるNEOAVES がリストの最上位の階層に載っています.

今回は非常に大きな変更が行われていますので注意が必要です.このブログで4月に掲載したニュースで予告した通り,目の順番が大幅に入れ替わりました.一例でいうと,NEOAVES 最初の目は,従来のアビ目 GAVIIFORMES からヨタカ目 CAPRIMULGIFORMES に変更になりました.ただしヨタカ目とアマツバメ目 APODIFORMES はまだ統合されておらず,提案段階です.詳しくは,IOC の Web Site のこのページをご覧ください.

今回は日本のバーダーにとって,一つややこしい変更が入っています.冬の海ガモの代表格であるビロードキンクロです.従来の分類では(日本鳥類目録 v7 も準拠),

  属名 種小名 亜種名 Authority
ビロードキンクロ
  Melanitta fusca   "(Linnaeus, 1758)"
亜種ヨーロッパビロードキンクロ(基亜種)
  M. f. fusca "(Linnaeus, 1758)"
亜種アメリカビロードキンクロ
  M. f. deglandi "(Bonaparte, 1850)"
亜種ビロードキンクロ
  M. f. stejnegeri "(Ridgway, 1887)"

となっていました.IOC List では従来から M. f. deglandi 亜種アメリカビロードキンクロを種に昇格させていたのですが,今回はさらに M. f. stejnegeri も種に昇格させてしまいました.するとその和名が問題になります.

従来通り M. fusca をビロードキンクロと呼び続けるのはもはや適当ではありません.日本で見られるのは M. stejnegeri なので,こちらをビロードキンクロと呼ぶべきでしょう.すると,従来ビロードキンクロと呼んでいた M. fusca の和名が無くなります.従って今回はこちらには「ヨーロッパビロードキンクロ」というやや長ったらしい名前を付けることにしました.従来も亜種としてはそう呼ばれていたので,この変更は自然だと思います.従ってまとめると次のようになります.

  属名 種小名 Authority
ヨーロッパビロードキンクロ
  Melanitta fusca "(Linnaeus, 1758)"
アメリカビロードキンクロ
  M. deglandi "(Bonaparte, 1850)"
ビロードキンクロ
  M. stejnegeri "(Ridgway, 1887)"

日本のバーダーにはあまり関係ありませんが,毎度のことながら,熱帯地方の地域固有種が新種として登録,あるいは亜種から種に昇格しています.ニューギニア周辺やアマゾンの流域が主なものです.さすがに温帯地域では新種はありませんが,しかしセグロカモメ類やメジロ類,ウグイス類のように分類が流動的なものも多いので,日本のバーダーになじみのある種で今後再編が行われる可能性は高いと思われます.楽しみ半分,不安半分というところでしょうか.


IOC 本家の Master List(学名と英名を収録)を編集して,Refsort/Ruby 用の辞書ファイルを作りましたので,Microsoft One Drive 上に設けた “IOC List Archive„ にアップロードしました.

この辞書ファイルの正式なエンコーディングは UTF-8 です.従って,Linux 上で使う分には問題は生じませんが,Windows 上で使う際には,入力ファイルは UTF-8 でエンコードされ(辞書ファイルと入力ファイルのエンコーディングを揃える),かつ最初の行に

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

というおまじないを書いておかないとエンコーディングの解釈がうまくいきませんのでご注意ください.

しかし,Windows 上でのデフォルトのエンコーディングである US-ASCIIWindows-31J でも手間なく使えるように,エンコーディング指定なしの汎用 US-ASCII 版もアップしておきます.これはどのようなプラットフォームであっても,そのプラットフォームのデフォルトの Locale が無条件で US-ASCII を解釈できることを利用したものです.ただし,欧文のアクセントウムラウトを含む文字は,それらを含まない最も近い文字に置き換えられています.正版はあくまで UTF-8 なので,特に人名を含む種や,種の Authority を見るときにはご注意ください.


このオリジナル版の辞書ファイルに続いて,和名追加辞書 2 種と,IOC Master List(Excel ワークシート)の和名追加版も同時にリリースしました.和名追加辞書についても,UTF-8 でエンコードしてあるものが正版ですが,Windows などでの使い勝手を考慮して Windows-31J でエンコードしたものも同時にアップしてあります.ただし人名や地名のアクセントやウムラウトなどは,それらを含まない最も近い文字に置き換えてありますのでご注意ください.

単に種名を調べるためだけであれば,和名追加版の Master List が最も便利です.ただし長大なワークシートなので,スクロールして探すのは無理.検索メニューからジャンプするのが便利です.

和名追加版の辞書ファイルのうち,UTF-8 でエンコードしてある ioclist_v92ju.ref は,Linux などで UTF-8 でエンコードした入力ファイルをソートするときに使うことを想定しています.Linux 上で使う際には,入力ファイルの最初の行に上記のようなエンコーディング指定を書く必要はありませんが,Windows 上で使う場合には,入力ファイルは UTF-8 でエンコードされ(辞書ファイルと入力ファイルのエンコーディングを揃える),かつ入力ファイルの最初の行に

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

というエンコーディングを指定しておく必要があります.

逆に,Windows 上で Shift-JIS や Windows-31J でエンコードされた入力ファイルを,Windows-31J でエンコードされた辞書ファイル ioclist_v92jw.ref を用いてソートする際には,入力ファイルの冒頭にエンコーディングの指定は必要ありませんが,逆にこの辞書ファイルを Linux 上で使う場合には,入力ファイルは Windows-31J でエンコードされ(辞書ファイルと入力ファイルのエンコーディングを揃える),かつ入力ファイルの冒頭に

#!E -*- coding: Windows-31J -*-

とエンコーディングを指定しておく必要があります.要するに,どのような場合でも辞書ファイルと入力ファイルのエンコーディングを揃え,かつそれぞれの入力ファイルのエンコーディング指定を冒頭に書いておくのが無難です.

これらのファイルは前述のとおり,Microsoft One Drive 上に設けた IOC List 専用のフォルダからダウンロードできます.それには,このブログ右側のコラムの最上段の “Archive„ の中の “IOC List Archive„ をクリックしてください.そうすると One Drive のフォルダに入ることができますので,あとは適当に選んでダウンロードしてください.

さて 2 年ほど前から Master List に多国語版が登場し,ちゃんと和名も載っているのですが,最近の種の分割などに対応しているようには見えず,和名の無い種もたくさんあるようです.そういう場合には,今回アップした各種辞書ファイルか,和名を追記した Master List を参照してみてください.


I am pleased to announce that I have posted reference files for Refsort/Ruby compiled directly from the latest IOC World Bird List v9.2. It contains 10,758 extant species, 158 extinct species and 20,034 subspecies, respectively. Please try it out, and enjoy its capability and speed.

Note that the reference file "ioclist_v92u.ref" is encoded in UTF-8 in order to retain all European accents and umlauts with complete fidelity as they are in the IOC Master List. Therefore, your input file should be encoded in UTF-8 as well, and should contain a magic comment on the top of the file such as;

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

For those who want to use Refsort/Ruby in universal ASCII environments, I have posted another reference file "ioclist_v91a.ref" encoded in pure US-ASCII. Note that characters with accents and umlauts have been simplified to their nearest neighbors. So please be careful in particular when you refer to authorities of species.

I have also posted two reference files “ioclist_v92ju.ref” and “ioclist_v92jw.ref” (encoded in UTF-8 and Windows-31J, respectively) which include Japanese names. If you want to refer to Japanese names, please refer to those files. In order to sort a list properly using these reference files, you need to align the encoding of the input file to that of the reference file, and you should add a magic comment specifying the encoding of the input file in the first line of the file, such as UTF-8, US-ASCII or Windows-31J.

A master list in the Excel format containing a column of Japanese names has been posted as well. This would be most convenient.

You can download an appropriate file from my area of Microsoft One Drive by clicking “IOC List Archive„.

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2019/06/11

初夏の華

 真夏のような暑い日が続いたかと思うと,冷たく湿った北東気流が流れ込んで,まるで春先のような肌寒い日々が続いています.まあ,これは梅雨時の典型で,夏と冬が前線を挟んで行きつ戻りつしているという事なのでしょう.

それでも季節の歯車は確実に回り,当地でもようやくホトトギスがやってきました.オオヨシキリも必死になって縄張りを宣言しています.ホトトギスに托卵されるなよ!

Aroundhome_jun2019_0006m

地面に目をやると,見事に咲き誇ったタチアオイが目立ちます.これはもちろん植えられたもので,園芸家の女性が道路わきの空き地に作った花壇の中の一群です.それにしても背が高く色も鮮やかで目立ちます.いかにもこの季節の華というべきものでしょう.

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2019/06/03

現代的に再構成された熱力学

熱力学―現代的な視点から(新物理学シリーズ) - 田崎晴明(著)

昨年 9 月にこのブログで特殊相対性理論を学びなおしたことを紹介しましたが,その記事の末尾に

次はやはり大学時代に悶々としていた熱力学を勉強しなおそうかと思っています.

と書きました.そして年が明けて今年の2月中旬から,今回紹介するこの教科書を読み始めました.

何度かつまずきながらも6月3日に演習問題を含めてすべて読了.A4 版のノート 2 冊を費やしました.結局 3 か月半程度かかって読み終えたことになります.それなりに分量の有る教科書なので,まあほどほどの速さだったと思います.やはり引退して時間がとれるということは素晴らしい.没頭して 3 時間以上数式と格闘した日もありました.

この教科書は,私が学生時代に習った(伝統的な Clausius の流儀に従った)熱力学とは構成が異なります.従来は,理想気体の状態方程式をよすがに,ときどき分子運動論などの知識も密輸入しながら,内部エネルギーエンタルピーエントロピー,そして Helmholtz や Gibbs の自由エネルギーと進むのが普通です.しかしこの本では最初に「等温操作」というものが定義され,そこから「最大仕事」を通していきなり熱力学第二法則と Helmholtz の自由エネルギーが公理として導入されます.最初は非常に面食らうのですが,これが実は全体の理論体系にとってキモになっていることが後でわかります.

内部エネルギーが出てくるのはその後の章で「断熱操作」を定義してからなのですが,驚くべきことに「」という明確な概念は最後まで出てきません.え?熱力学に熱が出てこないの?そうなのです.熱はエネルギーの一形態ではあるものの,操作できないもの,制御できないもの,明確に定義できないものとして,いわば「残差」のような扱いしかされません.あくまで便宜上の補助変数なのです.ではエントロピーはどうやって定義するのかというと,内部エネルギーと Helmholtz の自由エネルギーの差として,つまり絶対に外部に取り出せないエネルギー(を温度で割った量)として定義されます.

こんな具合に,少数の公理から極めて論理的に,理想気体に浮気をしたり統計力学から知識を密輸入したりせずに,純粋にマクロな物理学の体系として公理的に再構成された熱力学なのです.読み始めてしばらくすると,非常に美しい建築物を作っていく一つのプロジェクトに自分が参加していることに気がつきます.このような熱力学の再構成は 1990 年代末から盛んになり,今では日本人が書いた教科書だけでも 2, 3 種類あるようなので,これから少しずつ広まっていくのかもしれません.

私がこのような教科書を読み始めた理由は,学生時代に習った熱力学があまりに未消化,かつ納得できるものではなかったという事につきます.大学院の受験には熱力学も含まれるので,有名な演習書を買ってきて計算のテクニックだけは習得したのですが,自分が理論体系の本質的な部分を理解しているとは感じられませんでした.このような大学卒業後 40 年以上も悶々としてきた気分を解消したかったのです.定年・引退でようやくその思いが叶いました.

今回は助走として,朝永振一郎先生の「物理学とは何だろうか(岩波新書)」をまず読んで,産業革命時代の天才 Carnot の発想に触れた上で,いったん頭をリセットして読み始めたのですが,等温操作という概念が非常に広くて強力で,その効用を最大限生かした体系になっていると再確認できました.また,従来の教科書ではあまり説明の無い 凸関数Legendre 変換についても,巻末の付録で非常に丁寧に導入されているので,初学者でも戸惑うことはないでしょう.ただし,全体のレベルは高いので完全な独習はややつらいと思われ,私は数人の仲間と勉強会形式で読み進められたらいいなと思いました.

この教科書の特筆すべき点は,出版後20年近く経っている現在でも,刷を重ねるたびに誤植の修正が続けられており,さらに読者から寄せられたコメントを基に内容をアップデートする(Carnot の原理の証明に見事に結実しています)という現代的な取り組みがされていることです.おかげで最新刷を買った私はほんのわずかの誤植を WEB サイトで確認するだけで済みました.著者と出版社には敬意を表したいと思います.

この著者は私とほとんど同い年.ということはまもなく定年を迎えるはずです.するときっと時間がとれるようになるので,高評価の統計力学の教科書ともども,さらに充実を図るとともに,分野は何でも良いので新たな教科書を書いてくれないかなぁと思う次第です.量子力学なんてどうでしょう?

最後にこの著者があとがきで紹介している先輩の言葉を引用します.この教科書の執筆の動機となり,この教科書の本質を最もよく表している言葉だと思います.

統計力学が熱力学を基礎づけるのではない。熱力学との整合性こそが,統計力学を基礎づけるのである。

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