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2019年9月

2019/09/21

実のつきが悪いカラスウリ

キクイモの花を見ながら,カラスウリの実のつきもチェックしてみたのですが,こちらも夏の暑さのせいか,台風のせいか,状態は良くありません.そもそも実の数が少なく,この季節であれば見られるはずのウリ坊状態の実がほとんど見られないのです.真夏に花がたくさん咲いていたことは確認済みなので,花が終わってからの条件が悪かったということなのでしょう.

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毎年楽しみにしているカラスウリ(昨シーズンの記事はこちら)なのですが,晩秋の散歩の楽しみが一つ減ってしまいそうで気がかりです.

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2019/09/20

今年のキクイモは不作

ちょうど一年前にも,この記事キクイモの開花を報告したのですが,今年もその季節がやってきました.と言っても,今年は夏の暑さのせいか,先週の台風の風雨のせいか,はたまたクズの勢いが強くてキクイモが負けてしまったのか,花の数も勢いもありません.すでに花の盛りを過ぎているのは間違いないのですが,今年のキクイモは目立ちません.以前は河原を埋め尽くすように咲いていたこともあったのですが.

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台風が連れてきた熱波が過ぎ去り,ようやく秋らしくなってきたので日中散歩に出てみたのですが,日向を歩くとまだまだ暑く,たっぷりと汗をかいてしまいました.本当に秋らしくなるのはあと1,2週間後でしょうか?

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2019/09/16

秋空の下でタカ探し

昨日は曇りのち雨の天気予報だった割には朝から快晴に近く晴れ渡り,絶好のお出かけ日和.ちょうど秋の渡りのシーズンも中盤を過ぎていたので,最後のチャンスと家人とともにタカ渡りを見に行くことにしました.

条件の良い場所は限られており,かつたくさんの眼があったほうが発見確率も識別確度も高いので,この時期に常時観察を続けているサイトまで車を飛ばして仲間に加えてもらうことにしました.

全く初めて行くところなので,駐車場の位置や観察サイトへのトレイルなど試行錯誤はあったものの,自宅を出てから1時間ほどで現地に到着.5, 6人のメンバーがすでに陣取っていました.小高い丘の頂上の木を伐採して見晴らし台にしてあるところで,180度以上の視界が得られる素晴らしいところでした.大きなあずまやもあり,陽射しを避けて観察できるのも良いです.

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私たちが到着したのは,ちょうど間近にハチクマが2羽出ているときだったのですが,すぐに近くの丘の森の中に降りてしまいました.ハチクマはオスとメス,成長と幼鳥とで体色の変化が大きく,場数を踏んでいない私たちにとってはなかなか同定が難しい種です.

それから約3時間,おしゃべりをしながらタカを探してはトビだ,サシバだ,ツミだと言っているうちに終了.最初は幅の広い雲の帯が空の半分を覆っていたのですが,この雲は間もなく無くなり,思っても見なかった快晴の空が広がりました.北東からの涼しい風も心地よく,出現数は少なかったものの,久しぶりに広大な空の中でのタカ探しを楽しみました.

近くのお蕎麦屋さんで地粉を使った手打ちそばを食べ,車を飛ばして午後早めに帰宅.

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2019/09/13

咲き誇るセンニンソウ

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台風の熱気が去ってようやく涼しくなってきたので,久しぶりに近所を散歩.気温は高くても秋は確実に進んでおり,クズの花はそろそろ終わりで,キクイモ花もいつの間にか盛りを過ぎ,今はセンニンソウが花盛りを迎えていました.

マント群落に絡まるように多数の白い花が群れて咲くので非常に豪華に見えます.白い十字の花弁(実は萼片)と多数の雄蕊が優雅さを盛り立てます.

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今日は厚い雲に覆われて光は良くなかったのですが,暗い林縁でも非常によく目立っていました.

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2019/09/10

台風の高分解能風予報を

アジア名 FAXAI こと台風15号が関東地方を直撃しました.数日前から天気予報の進路予想を見ていると,当初予想よりも西寄りの進路を取る傾向に変わってきたので,これはやばいと警戒をしていました.台風は(北半球では)反時計回りの渦なので,進行方向に対して右側に強風・強雨域が発達し,逆に左側は風も雨もさほど強くなりません.この性質は台風の進む速度が大きければ大きいほど強調されていきます.従って台風の進路の左右どちらに自分が位置するかで天と地ほどの差が出るのです.台風が西側のコースを取れば,我が家が台風の右側に位置するようになるので警戒を強めたのです.

台風が我が家に最接近していた昨日の午前6時ころは,風は強いものの暴風というほどではなく,何とか外も歩ける程度だったので,ひょっとして東に逸れたか?助かったかな?と思ったのですが,後刻の天気予報の台風の経路を見ると,確かに東京湾に入ってから東に大きく向きを変えたことがわかりました.そしてその進路右側の市原市や君津市には大きな被害をもたらしました.

今回,インターネット上で台風の進路予想を何度も調べたのですが,大縮尺の地図に進路予想を書き込んだものは皆無でした.つまり 10 km,20 km の分解能での進路予想は出されていないのです.しかし前述の通りこの 10 km,20 km の差が大きな違いを生むので,たとえ接近の直前であっても,つまり予報ではなく現状を外挿した成り行きであっても,その情報には高い価値があります.

なぜそのような情報が出されないのでしょうか?考えられる一つの理由は,それほどの予測技術が無いから.台風中心の経路を進路とするのであれば,台風の中心を求めなければなりませんが,そもそも台風の中心を定義するのは簡単ではありません.

いや,本稿の趣旨からすると,台風の中心位置などどうでもよいので,高分解能の強風・強雨域分布の予測があれば,それでよいのです.強雨域に関しては “雨雲ズームレーダー” というものがよく知られており,スマートフォンでも簡単に見られるようになりました.河川情報を加えた国土交通省の XRAIN情報サイトもあります.しかし強風域についてはこのようなものは一つも無いのです.

多地点のドップラー・レーダーの情報を統合し,強風域の現状表示と短期予測をすることは可能だと思いますが,それが一般の気象予報にまで実用化されていないのです.竜巻の少ない日本にはドップラーレーダー自体が少ない(竜巻の本場アメリカには NEXRAD という観測ネットワークがあります)のですが,それでも関東平野は比較的配置数が多いところで,少なくとも成田空港,羽田空港,千葉県柏市の気象大学校(近隣に2棟ほど高層ビルがあるらしく,東側2方向に盲点があるのが明確にわかるのがご愛敬)の3拠点,さらに国土交通省の河川管理用レーダー網も整備中です.自衛隊や在日米軍のドップラー・レーダーの活用は無理として,これらの情報を統合して強風域の分布を 1 km 程度の分解能で予測できるようになればいいと思います.

観測するだけで強風被害が防げるわけではありません.しかし,台風通過時にどの程度の風速が何秒間持続しているか,ガストの分布やその強度が実際に観測できれば,例えば鉄塔や電柱,あるいは建築工事機材の設計・設置基準の向上に役立ち,ひいては被害の低減につながることは確かです.

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2019/09/08

IOC List の属種同名

今回はちょっと悪乗りです.前回の投稿では属は異なるが種小名が同じ種について調べました.今回は,属名と種小名が同一の種がどれくらいあるか調べてみました.これにはもちろん前々回に紹介した反復名 tautonym が含まれますが,そうでないものも多いのです.これを何と名付けようかと悩んだのですが,日本語にすると “属種同名” ということになるでしょうか.うーん,あまり良くないですね.

属名は鳥類の分類体系全体を通して唯一性があるのですが,種小名と亜種名には唯一性はありません.しかし属名と同一の種小名や亜種名が多いのはなぜだろう?と思います.からまでは語尾に規則が設けられているのですが,以下にはその規則がないため,このような重複が起こりえます.やはり種の多様性に対して語彙が少ないということが本質的だと思いますが,いかがでしょう?

IOC List の中で,属名であると同時に最も多数の種に共有されている種小名は “melanotis” です.これはギリシャ語で黒いという意味の melano から採られた言葉ですが,これを名前とする属が Melanotis です.和名としては “アオアシマネツグミ属” が当てられています.

小さな属で,含まれる種はたったの2種.一つは “Melanotis caerulescens”,英名が Blue Mockingbird,和名がアオマネシツグミです.この種には基亜種を含めて2亜種があります.もう一つの種は “Melanotis hypoleucus”,英名が Blue-and-white Mockingbird,和名がシロハラアオマネシツグミです.

なお,マネシツグミを代表するのは Mimus マネシツグミ属に属する種で,Melanotis とはやや離れた位置にあります.下のリストに1種だけ Mimus 属の種が出てきますので確認してください.

一方,種小名が melanotis である種は全部で11種.反復名はありません.下にリストを出しておきますが,どうやら耳が黒いという名前を持つものが多いようです.

属名 種小名 英名 和名
Odontophorus melanotis Black-eared Wood Quail ミミグロウズラ
Hapalopsittaca melanotis Black-winged Parrot クロガタインコ
Ailuroedus melanotis Black-eared Catbird ミミグロネコドリ
Manorina melanotis Black-eared Miner ミミグロミツスイ
Pteruthius melanotis Black-eared Shrike-babbler クリノドモズチメドリ
Oriolus melanotis Olive-brown Oriole チモールコウライウグイス
Mimus melanotis San Cristobal Mockingbird サンクリストバルマネシツグミ
Coccopygia melanotis Swee Waxbill キバラカエデチョウ
Basileuterus melanotis Black-eared Warbler ミミグロアメリカムシクイ
Hemispingus melanotis Black-eared Hemispingus ミミグロモリフウキンチョウ
Coryphaspiza melanotis Black-masked Finch マミジロシトド

同様の分析を亜種名に対しても行うことができるのですが,あまり意味がなさそうなので,詳細は省略します.

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2019/09/05

IOC List 最多の種小名 affinis

先日の投稿の続編です.IOC List を分析すると,いろいろと面白い トリヴィア が見つかります.

反復名 tautonym のことを調べていたら,以前から気になっていた同名 homonym についての解説に行き当たりました.これは異なる種に同じ学名,つまり同じ属名,同じ種小名が付いているものです.もちろんこれはあってはならない事なので,後から付けられた同名は無効となります.

当然ながら IOC List にはこのような学名はありません.仮にあったとすると,拙作の辞書参照型ソーティングフィルタである Refsort/Ruby がたちどころに撥ねてくれます.

条件を緩めて,属名は異なるが種小名は同じものを “同種小名” と呼ぶことにします.IOC List にこの同種小名がどれくらい含まれているのか調べてみましたが,実に膨大な数があることがわかりました.少なくとも 1,600 組の同じ種小名を共有するグループがあり,それらに含まれている種は合計約 6,600 種に上ります.IOC List 全体が種レベルでは約 11,000 種ですから,半分以上の種が他の種と種小名を共有していることになります.これは実に驚くべきことです.

種小名は,同じ属に属する個々の種を区別するための形態上の特徴や命名者から成っている場合が多いのですが,上記の事実は種小名には実はそれほど多くの語彙が無いということを表しています.意外と多様性が無いのですね.欧州系の人名はキリスト教の聖人から採ることが多く,さほど種類が多くないのとよく似ています.

その中でも最も多数の種を含む種小名は何かというと “affinis” です.この単語はラテン語では「類似」とか「関連」という意味があるのですが,時代が下ってくると「親和性」という意味も持たされるようになったようです.IOC List にはこの種小名を持つ種が30種も登録されています.その全てを以下にリストします.分類は IOC List の順です.日本で見られる鳥がほとんど無いのが残念.

属名 種小名 英名 和名
Aythya affinis Lesser Scaup コスズガモ
Batrachostomus affinis Blyth's Frogmouth コガマグチヨタカ
Caprimulgus affinis Savanna Nightjar シロアゴヨタカ
Aegotheles affinis Vogelkop Owlet-nightjar コウチシマズクヨタカ
Collocalia affinis Plume-toed Swiftlet ケアシシロハラアナツバメ
Apus affinis Little Swift ニシヒメアマツバメ
Treron affinis Grey-fronted Green Pigeon ハイビタイアオバト
Sarothrura affinis Striped Flufftail クリオシマクイナ
Ninox affinis Andaman Hawk-Owl アンダマンアオバズク
Penelopides affinis Mindanao Hornbill ミンダナオカオグロサイチョウ
Coracias affinis Indochinese Roller インドシナブッポウソウ
Veniliornis affinis Red-stained Woodpecker ウスアカハゲラ
Lepidocolaptes affinis Spot-crowned Woodcreeper ホシガシラオニキバシリ
Scytalopus affinis Ancash Tapaculo アンカシュオタテドリ
Empidonax affinis Pine Flycatcher マツメジロハエトリ
Climacteris affinis White-browed Treecreeper マミジロキノボリ
Melithreptus affinis Black-headed Honeyeater ズグロミツスイ
Tephrodornis affinis Sri Lanka Woodshrike スリランカモズサンショウクイ
Colluricincla affinis Waigeo Shrikethrush ワイゲオモズツグミ
Terpsiphone affinis Blyth's Paradise Flycatcher ヒガシサンコウチョウ
Cyanocorax affinis Black-chested Jay ムナグロルリサンジャク
Mirafra affinis Jerdon's Bush Lark インドヤブヒバリ
Thapsinillas affinis Seram Golden Bulbul キンイロヒヨドリ
Phylloscopus affinis Tickell's Leaf Warbler キバラムシクイ
Argya affinis Yellow-billed Babbler キバシヤブチメドリ
Arachnothera affinis Streaky-breasted Spiderhunter ムネシマクモカリドリ
Mycerobas affinis Collared Grosbeak キバシキンクロシメ
Hemignathus affinis Maui Nukupuu マウイカワリハシハワイミツスイ
Euphonia affinis Scrub Euphonia ヤブスミレフウキンチョウ
Emberiza affinis Brown-rumped Bunting コシアカホオジロ

植物にもこの種小名を持つものが多くあるようで,最多の同種小名の一つだろうと思われます.次点以降では色に関する種小名が目立ち,例えば albicollis(白い襟元),bicolor(2色),cinerea(灰白色),melanocephala と melanocephalus(黒い頭部),ruficollis(茶色の襟元),unicolor(単色),versicolor(変色),viridis(緑色),などなど.

ちなみに亜種のレベルで同様のことを行うと,もっとすごい名前が見つかります.それは “minor” で「小さい」という意味ですが,この名前を持つ亜種は IOC List の中に79亜種もあります.こちらのリストは省略します.

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