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2021/08/29

ムクドリの数を自動的に数える

昨日の記事でムクドリのねぐら入りの写真を紹介しましたが,一体この写真には何羽のムクドリが写っているのでしょう?生物の数を数えるのは野外調査の重要な一分野ですが,この程度の大きさの群れだと,カウンターを片手に数えていくのは現実的ではありません.

ベテランの調査員だと鳥影を見た瞬間にこの範囲で百羽だと瞬時にわかるそうです.そして群れ全体を百羽のブロックに分けて考え,そのブロックがいくつあるのかで全体の数を推測しているそうです.それで何千羽,何万羽と推測できるそうですから大したものです.

そのようなスキルがない私にも,写真があれば何とかなるのではないかと考えました.しかしパソコンの画面で写真を拡大して一羽ずつ数え始めてみたものの,たちどころに断念.100 羽程度だったらなんとかなるのですが,1,000 羽を超えるような数を数えるのは無理です.

さらに考えて,ひょっとして画像計測ツールを使えばよいのではないか?と思いつきました.Adobe Photoshop には選択範囲の個数や面積を計測するツールがあるのです.これを使えばよいのではないか?顕微鏡写真の画像処理ではよく使われる手法です.

やってみると,選択範囲の作り方が一筋縄ではいきません.鳥影は黒いので黒い部分を自動選択してみたのですが,パラメータの調整が難しく,背景のノイズも選択されてしまいます.試行錯誤するうちにたどり着いたのは,まず明るい背景を選択すること.この場合もパラメータを細かく調整する必要があります.そして選択範囲を反転させると「ほぼ」鳥影だけが選択できます.「ほぼ」と書いたのは,やはり雲の一部や背景の暗いノイズも選択されることがあるので,そういう部分は手で消していきます.

Bird_counting_20210828

次に画面全体をくまなくチェックします.上の画像で白い破線で囲まれているのが一つ一つの選択範囲です.2 羽の鳥影が重なって一つの選択範囲として選ばれる場合があるのですが,これは全体から見ると数が少ないので無視することにします.1 羽の鳥影が 2 つ以上の選択範囲に分割されることはほとんどないように,最初に戻ってパラメータの調整をやり直します.これを繰り返して選択範囲が満足できるようになったら,ついに計測です.これは簡単で解析のメニューからカウントを選ぶだけです.

こうして昨日アップした 2 枚目に写っているムクドリの数を数えてみると,2,485 羽でした.私が感覚的に想像していた数よりもずっと多い.しかも上に書いたようにこれは正確な数の下限値で,実際にはもう数パーセントは多いはずです.

すると,昨日ねぐら入りを果たしたムクドリの総数は 1 万羽を超えていた可能性があります.ふーむ,なかなか面白いですね.

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その後,どう考えても多すぎる感じたので,試行錯誤してみました.

まず,ごく小さな領域のノイズが誤って選択されていないか探して消し,またそれぞれの選択範囲をほんのわずか拡張することで隣接する独立した選択範囲と合併させる,などの処理を行いました.

その結果,今度は 1,411 羽という値を得ました.今度こそこれは本当に下限値で,2 羽のシルエットを 1 羽とカウントしてる部分も相当あるので,実際にはこれよりも 10% 程度多いと考えています.

処理方法を確立するまでは,もう少し試行錯誤が必要のようです.

投稿: 俊(とし) | 2021/08/29 21:03

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