ヒクイナの声の詳細分析
一昨日ポストした記事の最後の部分で,文章では説明したもののデータを示してはいなかったので,その補足をします.下の図は,44.1 kHz, 16 bit PCM でステレオ録音されたヒクイナの声のひと鳴き分を,時間軸を引き延ばして波形を示し,かつ同じ時間軸での短時間スペクトルを,周波数範囲を絞って示したものです.
ヒクイナのひと鳴きは大変短く,開始時刻がだいたい 22.675 s,終了時刻がだいたい22.700 s 程度なので,持続時間は 25 ms 程度,つまり 1/40 s しかないことがわかります.
短時間スペクトルで主要な周波数帯を見ると,鳴き始めの 10 ms 程度の間は 1.5 kHz 付近のピークが安定して持続しますが,10 ms を過ぎるあたりからピークの周波数は低下していき,鳴き終わり付近では 0.8 kHz 辺りになっていることがわかります.
スペクトルに関して細かいことをいうと,前半は 1.5 kHz の基本波(基音)が強く高調波は少ない澄んだ声ですが,後半は波形を見てもわかるように,高調波の多いざらついた声になっています.と言っても全体で 25 ms しかないので,聴感上独特な感じがする一音に聞こえると思われます.
この声の特徴はヒクイナの発声機構と密接が関係があるはずです.このデータから言えることは,発声の初期は調和振動の機構がうまく働き,振動のパラメータも安定しているのですが,後半は鳴管の張力が緩むなどして振動のパラメータが低周波側に変化し,さらに何らかの非線形な要素も加わって高調波が増える仕掛けになっているようです.
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