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2022年6月

2022/06/30

DX,無謬主義,ベストエフォート

相変わらず猛暑が続いて散歩に出かけておらず,ブログのネタがないためちょっと駄文を.

インターネットのある記事で,肉親が亡くなった際の諸手続きをやってみて,いかに IT 化ができていないのか,それはそもそもなぜなのかという記事が載っていました.私も最近同様の苦労をしたので共感を覚える内容だったのですが,同時に違和感も感じました.

家族の死で痛感、「行政DX」は国家400年の計であり未来のインフラづくりだ

私の違和感は,この記事の著者が日本の公的セクターが根源的に持つ「無謬主義」に言及していないこと,さらに IT の世界では標準の考え方である 「ベストエフォート」 を推奨していないことから来ています.

まず無謬主義について.これはおそらく遣隋使遣唐使の時代に隋や唐から学んで定着した官僚文化だと思うのですが (*注),つまりエライ人たちは間違わない,お役人はエライのだからお役人がやることは間違わない,絶対に間違ってはいけないのだという思想です.

お役人たちにすれば,どんな軽微なことでも間違ってはいけないと考えるので,箸の上げ下げまで細かく指示するような書式が考え出され,それを強制しておけば自分たちが責任を問われることはないと責任を逃れるための考え方にもなっています.

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Jana SchneiderによるPixabayからの画像

無謬主義は非効率を産みます.従って日本の行政手続きは非常に遅く非効率です.同じ住所・氏名・電話番号を何枚もの書式に書かされてうんざりします.逆に効率を求めると細かいところで矛盾が生じたり情報の欠落が露見したり,担当官の裁量によって結果が異なったりして,行政の責任が問われます.

私は一定の限度はあるものの,それが効率とトレードオフの関係になっている限り,行政手続きに軽微な欠陥があってもいいのではないかと思います.欠陥が残存する可能性があることを双方が事前に認識し,欠陥が顕在化した場合にどのような手続きでそれを是正するのか,事前に取り決めておけばよいと思うからです.昔の不動産屋の契約書には捨印をたくさん押すのが習慣でした.

そのためには行政の世界の考え方を根本から変えなければならのですが,彼らが自ら言い出すとは思えないので,これは政治の仕事になるだろうと思います.しかし政治家にそのようなセンスや問題意識があるのかと考えると,これはなかなか絶望的です.実務には疎いが権力や利権は大好きという連中が多いので,政治主導というのも考えにくい.非常に回りくどいですが,市民が上げた声を心ある政治家が拾い上げ,改革意識のある官僚たちとともに制度化していくという道しかないように思います.まあ何十年もかかるかも.

次は ベストエフォート です.これは反無謬主義と言ってもいいくらいなのですが,一言で言うと「現状出来る限りのことをしますが,間違ってたらごめんね,補償はしません.でもすぐに改良します.」というものです.ソフトウェアの世界はすべてこれで出来ています.バグのないソフトウェアはありません.極端な例ではテスラ社のクルマづくりはこのベストエフォートの思想にもとづいています.中国の民族系の完成車メーカーは元々すべてこれ.日本や欧米の完成車メーカーが眉をひそめる考え方ですが,クルマのように命に係わることがないような製品ではすでに世界の主流です.

これで大きな間違いはないだろうという製品をとにかく世に出してみて,不都合が見つかったらその都度直していく.しだいに欠陥は修正されていき,製品は洗練されたものに成熟していくというプロセスです.

私は行政の手続きもこれでいいのではないかと思うのです.最初から無謬で完璧なものでなければならないと自らを縛ってしまうと,準備に膨大な手間と時間とコストがかかり,しかもそれでも欠陥は残るものです.それよりは必要最低限の機能は保証したうえで,重箱の隅をつつきたがる人や欠陥を突いて利益を上げようとする連中への対策は後回しでもいい.素早くサービスを開始して,まずいところはその都度直していくことにしたほうが,全体としてはサービスレベルはより高くなると思うからです.

この点,新型コロナ・ウィルスに関連した持続化給付金などの補償制度はこの考え方に沿ってスピードを重視したものです.審査に多少の甘さがあるのはやむを得ません.さすがに今になって不正請求がボロボロ出てきていますが,それは返納や,最終的には徴税で回収できるはずのものです.

私はここ数年の確定申告では国税庁のウェブサイトを活用しています.初期のころはあまり褒められた出来ではありませんでしたが,最近はかなり洗練されてきました.寄付控除などは最も節税になるように寄付金を自動的に配分申告してくれます.また各種の保険料や証券会社の特定口座報告書などは XML ファイルを直接アップロードすればよいように進化しています.

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いつになったら死亡時の膨大で面倒くさい手続きが,ワンストップでパソコンからできるようになるのかわかりませんが,まずは小さな一歩を踏み出すことを始めてもらいたいと思います.

(*注) 無謬主義は権威主義的な国家がその存在理由としている思想でもあります.間違っていると思うのはそう思う人が間違っているからだ,間違っている人の思想は矯正しなければならないという風にエスカレートし,強制収容所まで作ったりします.また一神教教義も唯一絶対神の無謬性で成り立っています.そのため無理して奇跡をでっち上げて苦しい言い訳をしなければならないのです.

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2022/06/27

梅雨明けの猛暑と電力ひっ迫

昨日早朝にフィールド調査のために里山を歩いた以外は,猛暑のために家に引きこもっています.これが私の真夏の過ごし方.お陰でこのブログの更新もネタが無くてさぼり気味です.

今年の夏は電力がひっ迫しているそうで,昨日あたりから騒がしくなってきました.電力不足に関しては 3 月にこの記事この記事で意見を述べたのですが,今日はもう一つ昔から思っていることを.

今回の電力不足は,原子力発電所の再稼働が遅々として進まない中で,脱炭素の風潮の中で発電事業者が老朽火力の設備更新を行わなかったり,場合によっては廃止したりすることが原因と説明する記事を多く見ます.まあ一つの説明としてはその通りなのでしょうが.

まず原子力発電についてですが,私は原子力規制委員会からダメ出しを食らっている柏崎刈羽(通称 KK )のようなプラントの再開を急がせることには反対です.そもそも国有化以降の東電はどうもおかしい.よほど現場の声を聞かなくなっているのか,それとも現場が腐っているのか,こんな記事も出てくる始末です.

東京電力社員が明かす柏崎刈羽原発の実態

経産省やエネ庁は共同責任の与党も巻き込んで深く省察すべきでしょう.

しかし再稼働ができたとしても,日本の原子力発電の宿痾である使用済み核燃料の再処理と高レベル放射性廃棄物の長期保管は全く見通しが立っていません.前者に関して言えば,メーカーではない動燃原燃という中途半端な研究開発組織に任せたことがそもそもボタンの掛け違いだったでしょう.またたとえメーカーに任せたとしても,現実にはイギリスとフランスからの技術導入に頼らざるを得ず,動燃や原燃より速く進行していた保証はありません.しかし日本が原子力発電を始めてすでに 60 年以上.いまだにそういう技術がないとは,過去の原子力政策の再点検が必要です.

後者の高レベル放射性廃棄物に関しては政治の無責任と不作為のたまものです.行政に任せてどうにかなる話ではありません.過去のように札束と一升瓶を並べれば原子力プラントの立地が出来たこととはレベルが違いすぎます.この辺りの政治家のセンスと覚悟の無さには呆れるばかりです.そもそも覚悟が持てないのであれば原子力発電を諦めるべきです.政治家が仕事をしていません.

さて火力発電に関しては, LNG への先行投資と長期契約の恩恵を受けている日本は, LNG の価格高騰の影響はまだ小さいままです.ここは欧州の惨状を知ったうえで冷静に評価する必要があります.ただし火力プラントの更新や保守が滞りがちというのは見過ごせない状況です.特に最近になって金融の世界が火力プラントへの融資を行わなくなりつつあることは由々しき事態です.

ベース電源となる原子力発電が脱落してしまった日本において,ベース電源の役割を果たせるのは火力発電しかなく,そのベース電源の上に変動の大きな再生可能エネルギーをうまく乗せざるを得ません.またベース電源が何であろうと,再生可能エネルギーの変動を吸収できるのは火力プラントだけです.しかもそのためにはプラントを待機運転させておかねばならず,プラントの利用効率が悪いことも覚悟しなければなりません.

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Samuel FaberによるPixabayからの画像

従ってそういう役割を課せられた火力プラント設備には余裕がなければなりません.そのためには火力プラントへの継続的な投資が必要なのです.ここで政治や行政が動かなければなりません.現状では企業にとって火力からの撤退は経済合理的だからです.

蓄電池を変動吸収のために使うことができればよいのですが,それには莫大な投資が必要なので,送電網の建設と同様,投資は極めて緩慢です.これも政治や行政が覚悟できないことの一つです.投資回収のために電力料金が高くなるので産業界からの反対は目に見えているからです.しかし EV 用の蓄電池があふれ出てくるようになれば条件は変化します.そしてそのためにはここでも先行投資が必要となるのです.

ということで,KK の再稼働が当分見込めないここ数年間,東電管内の電力ひっ迫は避けられそうにありません.企業は自家発を活用できても高騰した燃料代に苦しみ,家計は物価高騰と節電の圧力に苦しむでしょう.今後 10 年程度は長期ビジョンを欠いた過去の政策の後始末を強いられるわけです.

そんな中でも少しずつ変革が進むことを祈りたいと思いますが,そういう事を参院選で主張している政党や候補者がいないように見えるのは,単に私が知らないだけなのでしょうか?

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2022/06/23

コウゾの赤い実

ここ 3 日ほどは涼しく湿った北東気流が流入しているため,じっとしていれば涼しく快適です.しかし湿度は高いため体を動かすと汗ばんできます.明日からは暑さが厳しくなるようなので今日は最後の休息です.

今日の散歩はまずしょっぱなに休耕田でニホンノウサギが跳ねるのを見たのですが,それ以外特に収穫は無し.鳥の種類も少なく調整池は寂しいままです.草の丈が高くなってきたので水面も見づらくなってきました.

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初夏に花を付けた植物が果実を実らせています.この写真はコウゾの実.食べられるようです.下の写真は先日アップしたヨウシュヤマゴボウの果実.まだ緑色ですが,これから熟して黒紫色になっていくはずです.

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2022/06/20

ヒメガマも開花

今朝の散歩で気が付いたのですが,調整池のガマの群落に隣接しているヒメガマの群落でも開花が進んできました.ヒメガマは雌花の穂が細いことと,雄花の雌花の間に隙間があって緑色の茎そのものが見えることから簡単に区別できます.

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写真を拡大してみると,雄花から盛んに花粉を散らしていることがわかります.姿かたちからすると私にはヒメガマのほうが優美に見えるのですが,まあこれは好みの問題.

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ヒナは順調に育っています

昨日あたりから本格的に蒸し暑くなって散歩には不向きな気候になってきました.今日は午前中早めに家を出て散歩コースを急ぎ足で回ってきました.

調整池ではヨシオギの背がどんどん高くなって,水面を見るのが難しくなってきました.この先さらにオオブタクサが高さ 3--4 m になると,草の長城が出来てしまうので視界は非常に限られたものになってしまいます.

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小さいほうの調整池ではカイツブリバンのヒナがそれぞれ順調に育っているようです.上の写真はガマまたはヒメガマの株の上に乗ったバンのヒナ 2 羽のすぐ近くに,カイツブリのヒナがやって来たところ.すぐ近くにはそれぞれの親鳥,さらにカルガモも泳いでいます.

ともに体も大きくなり,自分でエサをとっているようです.親鳥もだいぶ手がかからなくなってきたことでしょう.幸いなことに,ヒナの数は 2 週間ほど前から減っていないので,何かに捕食されることはなかったようです.このまま無事に成鳥になって独り立ちするよう祈りたいと思います.

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2022/06/18

親ガメの背中に子バンを乗せて

昨日から気温も湿度も上がってきて,いよいよムシムシした季節の到来です.この季節になると,日本というのは東南アジアの一部なのだと思わずにはいられません.

それでも今日は日射しが無いため,直射日光の下を歩くよりはだいぶマシということで,いつもの散歩に出かけました.大きな調整池には水鳥がいなくなり,わずかにカワセミが往復している程度.サギたちはどこへ行ったのでしょう?サギ山で繁殖にいそしんでいるのか?

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小さな調整池ではカイツブリのヒナが元気に育ってきます.ガマの株の塊で島のようになった場所でいつもアカミミガメ数匹が甲羅干しをしているのですが,今日はそのアカミミガメの背中にバンのヒナが乗っていました.バンはどういうつもりで背中に乗ったのか?カメはどういうつもりで背中に乗せているのか?異種間の関係性がどうなっているのか,大変興味深い光景です.

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2022/06/16

ガマの穂が膨らんできた

北東気流が止んで今日は高温の予想だったのですが,お昼を過ぎても気温は22度程度.しかし湿度は非常に高く,体を動かすと汗ばみます.これが梅雨時の普通です.

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調整池のガマの群落では,だいぶ穂が膨らんできました.いよいよ夏になったなと感じさせる光景です.雄花も雌花も良く育っていますが,雄花が黄色く見えないのでまだ葯(やく)は開いていないようです.それともすでに雄花が花粉を散らした後か?花粉を集めて陰干ししたものは蒲黄(ほおう)という生薬になるそうです.

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2022/06/14

タチアオイが咲き始めた

梅雨に入って蒸し暑い日が続くようになったころに咲き始めるのがタチアオイ.背丈は 3 m ほどにもなり,そこに大ぶりの花が下から上へと多数咲き上がっていくので大変見ごたえがあり,最近よく見かけるようになりました.

日本には古い時代に中国からもたらされたと言われており,万葉集にも源氏物語にも書き込まれています.

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上の写真は花びらが逆光で透けて見えるところを撮ってみました.

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2022/06/13

ヨウシュヤマゴボウ開花

今日は朝から強烈な日射し.まもなく夏至なのでさもありなんという感じですが,冷たい北東気流が入ったおかげで,日陰にいる限りは涼しくて快適です.

散歩コースの調整池のわきに大きな株のヨウシュヤマゴボウがあるのですが,その花が咲いていました.小さな花ですがこれが実ってあの黒紫色の果実に育っていくわけです.

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毒性のあるこの植物がなぜ日本に移入されたのかわかりませんが,根も葉も果実も有毒だそうですから,あまり触らないほうが良いでしょう.

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手練れの役者と制作陣による秀作

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 [Blu-ray] - メリル・ストリープ (出演),トム・ハンクス(出演),スティーブン・スティルバーグ(監督)

久々に,ほぼ2年ぶりに映画のレビューです.と思って見返してみると,おや?前回レビューしたのもトム・ハンクス主演だった.あれ?どういう相性?

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」は比較的最近の映画なのですが,舞台はベトナム戦争が続いていた 1970 年代初めころ.ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンの主演で大ヒットした「大統領の陰謀」が題材にした事件の前段となるアメリカ政治の大スキャンダル.時代背景はデイヴィッド・ハルバースタムの名著「ベスト・アンド・ブライテスト」を読むとよくわかるのですが,詳しいことは省略.

この映画でのマクナマラ国防長官は,現実の政治力学に押し流されながらも良心の呵責に耐え切れず,後世の批判を仰ぐために秘密報告書をスタッフに書かせます.お蔵入りしていた報告書がスタッフによって新聞社に流出して大騒ぎになるというお話です.報告書が暴いた数々の欺瞞の別の側面については,昔書いた「マクナマラ回顧録」の書評をご覧ください.

そしてこの秘密文書をまずニューヨーク・タイムズがすっぱ抜きます.ニクソン政権は驚愕してそれをつぶそうと躍起になります.ちょうどそのころ,ワシントン DC の一地方紙であったワシントン・ポストも何とかしてスキャンダルを追いかけたいと考え,秘密文書の流出元との接触に成功.そして新聞の一面を飾ろうとするのとですが,そこに様々な横やりが入ってきます.そのときの新聞社の社主は元オーナーの娘で,不慮の死を遂げた後継社主の妻.新聞社はちょうど株式を上場した直後で,家族経営から株式会社に変化しようとしていたまさにその時.投資家たちからも厳しい目で見られており,彼女は非常に重い決断を迫られます.

シナリオは非常によくできていて観るものを飽きさせません.しかも映像は見事の一言.ここはさすがスピルバーグです.新聞社のオフィス,高級レストラン,裁判所,主人公たちの自宅など,舞台装置もセットも実に自然でリアル.何の変哲もないシーンの照明もよく考え抜かれたものです.

そして,手練れの役者が演じる主人公たちもこれまた文句のつけようがありません.トム・ハンクスはベテランのジャーナリストの心意気を非常にうまく演じました.白眉はもちろん悩める社主を演じたメリル・ストリープですが,マーガレット・サッチャーを演じきった経験がある彼女にとっては,今回の役はむしろ簡単だったかも.「訛りの女王」との別称もあるくらいなのですが,今回はややイギリス訛りのある英語を披露しています.彼ら以外にも優秀な俳優たちが色を添えています.

新聞社が雇った法律事務所の弁護士たちが秘密報告書の報道を懸命に止めようとした一方で,いざ決断が下され出版された後の最高裁の審判では,彼ら弁護士たちが報道の自由を守るべく弁舌を振るいます.法曹家たちのプロフェッショナリズムが良く描かれていたと思います.これを演じた俳優にも好感が持てます.

面白かったのは,新聞社の印刷工場での作業.版面を作る過程が短時間の早送りのように紹介されるのですが,タイプを打つとその活字が自動的に拾われて組版できるような装置があったのですね.また大きな見出しは直接鉛を鋳造して作っています.これには少々驚きました.映画撮影当時にも残っていたとは.そして新聞第一面の組版が出来上がってチェックする場面は,今となっては懐かしいでしょう.

スピルバーグとハンクスたちはこの映画を非常に短期間で撮り終えたようです.彼らのような経験豊かなプロにとっては,すべてのツボはわかっているので,そのツボさえ事前におさえておけば,撮るのはきっと簡単だったのでしょう.

この映画は政治対ジャーナリズムという枠組みで語られることが多いと思いますが,私はどちらかというと,難しい決断を迫られたリーダーが,どのような心理的葛藤を経て最終決断を下すのか,その一例を示したものとして楽しむほうが良いのでは?と思いました.予想される非常に大きなリスク,そのリスクを十分に評価しながらも,より重要な価値あるものも忘れず,最後の決断を下さなければならいというリーダーの仕事は,どのような組織でも,そして家庭や個人においても,たびたび直面しなければならないものです.

そして,その決断の価値は,結果ではなくて決断を下すプロセスにある,ということを教えてくれたのが,籠屋邦夫さんの「意思決定の理論と技法―未来の可能性を最大化する」という本でした.私は籠屋さんが講師となった研修を受けると同時にこの本を読んだおかげで,決断を下すときの重苦しさから解放された気がしたものです.

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2022/06/12

花の命は短くて・・・

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先日ポストしたばかりのタイザンボクの花ですが,小雨降る今日の散歩で確かめたら,花びらが茶色く変色,さらに雄しべが全て落ちて雌しべだけになっていました.花の命は短いものです.ちゃんと受粉できたのでしょうか?受粉者は誰かな?

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一方,清音の前奏を付けて囀ると紹介したオオヨシキリは今日も元気に囀っていました.このところ新参者が入り乱れて乱戦模様の縄張り争いが続いているのですが,もうメスも到着しているはずで,うまく繁殖に参加できるとよいのですが.

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2022/06/10

オオヨシキリが清音でも囀る

今日は北東気流が収まって気温が上がり,ほぼ平年並みの陽気.しかし上空には寒気が入ってきているとのことで,発雷確率は高め.確かにときどき黒い雲が湧いてはパラパラと雨粒が落ちてきます.

さて,調整池のヨシ原でオオヨシキリの縄張り争いが乱戦模様になってきたのですが,今日は思いがけず面白い音が録れたので紹介したいと思います.再生開始から約 7.5 秒あたりから「ピョーピョーピョー」と澄んだ声でオオヨシキリが前奏を歌い,それからいつものギョギョシという囀りを始めています.遠くに刈り掃い機の音やその他雑音が入っているのはご容赦ください.

これはある個体だけの特徴で,調整池周囲に 6 羽程度いるオオヨシキリのオスの中では,この個体だけの特徴です.下にその 7.5 秒以降のスペクトログラムをのせておきます.澄んだ声の部分がよくわかります.

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オオヨシキリは高調波だらけのしゃがれた声でしか囀らないのかと思っていたら,こんなきれいな純音でも歌えるのですね.なんだ,やればできるじゃないか.

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2022/06/09

コチドリ乱入

今日の散歩のしょっぱな,休耕畑でいきなりコチドリの声がするので,え?と思って双眼鏡を覗くと,たしかにコチドリが 3 羽.しかも互いに争っているように見えます.この畑の隣の田んぼでは春にコチドリが一時やって来ることはあるのですが,田植えが終わった今ごろなぜやって来たのかはわかりません.近くの太陽光発電所にコチドリが営巣したことがあったようですが,ネコやハクビシンが出入り自由な場所で営巣が長続きするわけはありません.

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数 10 秒ほどこの畑で追いかけごっこをしていましたが,やがて 3 羽とも遠くへ飛んで行ってしまいました.安全に営巣してヒナが見られたら最高なのですが.

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だいぶヒナが育った

今日は明け方まで雨が降っていましたが,夜明けとともに雨は上がり,薄日が射すこともあるような一日でした.お昼前に散歩に出かけましたが,調整池では子育て中のカイツブリとバンを確認することができました.

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今日確認できたカイツブリのヒナは 3 羽.以前確認できていた 4 羽から 1 羽減っています.そのうち 1 羽は親鳥にべったりと張り付いたまま.他の 2 羽は自分で勝手に動き回っており,彼らは今後の成長も大丈夫そう.ヒナの個体によって成長の度合いにだいぶ差があります.

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バンのヒナは相変わらず頭頂部が赤く禿げあがった 2 羽のまま.こちらも親鳥が面倒を見ています.子離れはいつ頃かな?

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2022/06/08

梅雨空の下で開花

関東・甲信地方は九州よりも早くすでに梅雨入り.今週はオホーツク高気圧の影響で北東気流が強く入り,湿って涼しい日が続いています.しかし雨さえ降っていなければ散歩にはむしろ好都合.

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調整池の周囲の台地のマント群落ではタイザンボクが開花していました.大きな花なのでたいそう見ごたえがあるのですが,梅雨空の下の混みあった暗い林の中ではなかなか目立たなくてもったいないです.アメリカ東南部原産でミシシッピ州とルイジアナ州の州花.新しいミシシッピ州旗の中心に描かれています.

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またようやくムラサキシキブも花を開き始めました.ほとんどはまだ蕾の状態なのでこれから毎日が楽しみ.秋には紫色の美しい実を見たいと思います.

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2022/06/05

バンのヒナも育つ

今日は朝から薄日が射したり小雨が降ったりの梅雨のようなお天気.まもなく梅雨に入るのだろうと予感させるようなお天気です.

散歩コースの 2 つの調整池では,カルガモ,カイツブリ,バンのヒナたちが育っています.バンのヒナは当初は 3 羽いたらしいのですが,すでに 2 羽に減っています.そう言えば先日はバンの親がずっと警戒音らしい声で鳴いていたので,しょっちゅう外敵がやって来るのではないかと思います.

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バンのヒナの外見はあまりよくありません.黒い羽毛が生えていたり嘴が親と同じく赤かったりするのはいいのですが,頭のてっぺんが丸く赤く禿げているので,人間から見ると可愛くありません.生まれた直後の鳥のヒナはみな爬虫類のようなものなので,それ相応だと思えなくもありません.しかし親は食べ物をあげたりしていますので,きっと可愛く見えているのでしょう.

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2022/06/03

オオヨシキリの囀り

昨日から今日にかけて上空に寒気が流入して不安定な天気が予想されているのですが,当地は雲は沸いているものの風も弱くて穏やかなお天気.突風や雷雨の兆候は無し,ということで朝から散歩コースを歩きました.

この季節のヨシ原は一言で言うとオオヨシキリウシガエルの天下.とにかく両者ともうるさいくらいです.囀りは英語では song というのですが,オオヨシキリの場合にはそう言う事がためらわれます.今日は今シーズン初めて PCM レコーダーを持ち出してオオヨシキリ D の囀りを録音してみました.住宅地に隣接しており旅客機の進入路下でもあるので,どうしても騒音が入ってしまうのはご容赦ください.

パソコンに取り込んで分析してみると,オオヨシキリのあの耳障りな声は,思っていた通り非常に広い帯域の高調波を含んでいることがわかります.スペクトログラムで見る限りは,1.5 kHz から 12 kHz くらいまでの本当に広い範囲.しかも基音が急に上昇してはストンと落ちるという特異なパターンもわかって大変面白いです.

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鳥の囀りが同種間のコミュニケーションに使われていることは間違いありませんが,その意味までを検証するのは難しい課題です.それでも長年の研究の成果があがりつつあり,日本でも画期的な成果が出てきたことは大変喜ばしい事です.

そして,このオオヨシキリの結構複雑な囀りパターンの一部は同種オスへのメッセージ「あっちへ行け,出て行け,Buzz off!」という意味になるはずと仮説を立て,検証することが出来たら大変面白いと思います.

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2022/06/02

カルガモのヒナ育つ

散歩コースの調整池では,例年カルガモがヒナを連れて子育てをしている光景が見られます.今年は現在のところ一家族を確認するのみですが,ヒナたちは育っているようです.

周囲にはイタチアライグマハクビシンタヌキ,野良猫,さらには大型のサギなど,ヒナの天敵がうろうろしているので,子育てはなかなか大変だろうと思います.実際,ヒナの数は時間とともに減っていくのが普通です.

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親ガモが用心深く育てているせいか,なかなか姿を見ることはできません.本日の散歩でたまたま確認できたヒナは 9 羽.親ガモと一緒に,水面近くで何かを無心に食べていました.これが今後どの程度減っていくのか,見守りたいと思います.

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真逆光でコントラストが低く,いい絵が撮れなかったのが残念.

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