以前からたびたび経験していたのですが,今回改めて感じたことを.それは Web サイトに現れる広告について.
最近,腕時計をインターネット通販で買ったのですが,買うまでにはいくつかのサイトを巡回して価格や在庫を調べました.そういうことをやっていると,すぐにポータルサイトの右側あたりに,買いたいと思っている時計の広告が勝手に出るようになります.これは HTTP coockie という仕組みを通して私が立ち寄った通販サイトが私の興味の対象を判断し,Google や Facebook などのプラットフォーム企業が運営する広告出稿事業を通して,半ば当てずっぽうに広告を出してくるものです.
これは「行動ターゲティング広告」と呼ばれるもので,プラットフォーム企業にとっては最も重要な収入源.なのでいくら苦情が出ても止めることはありません.最近ではプライバシーが侵害されているとの主張から,cookie のうちでも 3rd party cookie と呼ばれるものを排除する Web ブラウザも増えてきていますが,ユーザの行動履歴に基づいた(半ば当てずっぽうの)広告を目にしない日はありません.

launchpressoによるPixabayからの画像
ところで,私は結局ある通販サイトで腕時計を購入したのですが,奇妙なことにそれから何週間経っても買ったばかりの腕時計の広告が出稿され続けるのです.これは全く無駄な広告なので,もっとほかの商品の広告を見せてくれないかと思うのですが,よほど広告選択のアルゴリズムがお馬鹿なのか,出稿を依頼している企業は(私がその広告をあえてクリックすれば)無駄な広告料を Google AdSense に払うことになります.そうしてやってもいいんですけどね.
さらにもっとお馬鹿だと思うのは,私が自宅で LAN を共有している家族のパソコンで家族が訪れた Web サイトの商品広告が,私のパソコンに多数掲載されることです.おかげで女性用下着の広告がずらりと並ぶ光景には慣れてしまいました.Cookie の詳細な仕組みはわかりませんが,LAN 内の異なるパソコンを区別できないようでは,ターゲット広告とは言えません.
こんなこともあるので,私は定期的にパソコン内に数千個も溜まっている cookie を一掃するようにしているのですが,それでもすぐにターゲティング広告はやって来ます.インターネット上の情報のやり取りが無料だということの代償なので,それではインターネットを通した情報のやり取りに従量課金してその代わり広告なしの世界にする,という発想にはならないようです.例えばメール一通につき 1 円と課金すれば,スパムメールは瞬時に無くなると思うのですが,そうすると弊害や副作用,特にインターネット広告で食っている連中が死んでしまうので,なかなかそうはならないようです.
インターネットの仕組みは,山あいの温泉旅館のように建て増し建て増しされて来て,現在では新々別館が建ったような段階ですが,スパムやウィルスの無いプロトコルをスクラッチから作り直してもいいような気がします.しかしそれは世界の IT 覇権(特に DNS )を脅かすことになるので,大親分のアメリカは絶対にウンと言わず,むしろ中国がコッソリやらかしそうな気がします.
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