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2023年1月

2023/01/29

ガマの穂がうまい?

今朝はおそらく当地のこの冬一番の冷え込み.マイナス 6 度から 7 度まで行ったのではないでしょうか?未明に目を覚ました時に給湯器を短時間運転させておいたので凍結は免れました.冬の朝にお湯が使えないのは辛いですからね.

日中は快晴で日射しがたっぷり.風も弱いので日向を歩いている分にはあまり寒くありません.調整池のヨシ原で粘っているとヒクイナが出てきて,水面に落ちたガマの穂をついばみ始めました.オレンジ色の目と赤茶色の羽毛が印象的です.

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シジュウカラなどもガマの穂をついばんいるので,厳冬期の餌が乏しい時期にはこういうものでも栄養にするのでしょう.おいしいかどうかはわかりませんが.

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Refsort/Ruby v3.75 released

辞書参照型ソーティング・フィルタ Refsort/Ruby (新しいほうから *1 *2 *3 *4 *5)の改訂版 v3.75 をリリースしました.今回の改訂内容は完全に内部的なもので,あるメソッドの実装を自家製から標準ライブラリ収録のものに変更したことと,細かなバグフィックスや最適化です.仕様の変更や機能の追加はありません.

このスクリプトは昨年末のクリスマスにアップデートされたばかりの Ruby 3.20 で動作することを確認しています.また近日中にリリースする予定の IOC World BIrd List v13.1 をもとにした辞書ファイルを使った動作も確認しています.

Refsort/Ruby とそれに関連するコンテンツのアーカイブを Microsoft One Drive に置いています.画面右側コラムの Archive の中の Refsort/Ruby Archive をクリックしていただくと,私の OneDrive 上に設けたライブラリが開きますので,そこから過去分も含めてファイルをダウンロードすることができます. Refsort 本体の refsort.rb は refsort_v375.rb というファイル名でアップロードされていますので,ダウンロード後に refsort.rb に変更するとよいでしょう.改行コードも CR/LF になっていますので,適宜変更してお使いください.エンコーディングは純粋な US-ASCII ですので,そのままでよいでしょう.

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2023/01/28

北風は強いがタシギは元気

昨夜遅くに雪が降り,いったん溶けた水滴が夜明けの放射冷却で凍って,朝は車の屋根に氷の粒が張り付いていました.昼前頃から北西の風が強くなりましたが,快晴のお天気で日射しはたっぷりとあったので迷わず散歩に出かけました.でも寒かった.

草刈り後の調整池にはタシギが定着しています.水たまりは日中でも凍り付いているところが多いのですが,泥の中に長い嘴を突っ込んで食べ物をまさぐっている姿を毎日見かけます.これまでは 3 羽の小さな群れと思っていたのですが,今日は 4 羽目を目撃.周囲の田んぼにもタシギはいるので,食べ物を物色にやって来たのかもしれません.昨シーズンは最大で 8 羽が定着していたので,これからも数が増えるかもしれません.

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このタシギたちが,鳥インフルなどに罹らず,猛禽にも狩られず,たっぷりと栄養を取りながら冬を越し,春には元気に北の繁殖地に帰っていけることを祈っています.

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2023/01/27

ヒクイナがガマの穂に飛びついた

今日は朝の冷え込みは弱かったものの日射しはなくてうら寒い一日.夕方から雪の予報.当地の最高気温は 4, 5 度程度.風が弱かったので何とか散歩に出かける気を削がれずにすみました.

しかし今日は大変面白いものを見ました.ヨシの繁みにいるヒクイナについてはしばしば取り上げており,それがガマの穂を食べることも最近ご紹介しました.ところが今日は,ガマの群落の中の開けたところで,ヒクイナが頭上のガマの穂に飛びついて,それをむしり取って食べているのを目撃したのです.

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ガマの穂にどれほどの栄養があるのかわかりませんが,貴重な栄養源なのか,それとも他に食べるものが見つからずによほどお腹が空いていたのか,この飛びつき行動を何度も繰り返していました.ヒクイナはカエルと違って鳥なので大した努力は要していないのでしょうが,小野道風がこれを見ていたら,やはり書の道に励もうと思ったでしょうか?

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2023/01/26

寒さに負けず餌探し

10 年に一度という寒波がシベリアから中国東北部,朝鮮半島を舐めて日本列島にも達しました.昨日の最高気温は当地で 2 度程度.今朝の最低気温はマイナス 5 度程度.しかも昨日は北西の風が強かったため,いくらストーブを焚いてもも隙間風で部屋の温度が高くなりません.今日はそれに比べると風が弱く,外気温も 7 度くらいまで上がり,外を散歩できる程度には暖かくなりました.

調整池では異変が起きていました.全面結氷していたのは想定内ですが,アオサギが死んで水中に横たわっていました.アオサギの死体は今季 2 羽目.昨年までこのようなことはなかったので,今年は異常です.鳥インフルかもしれません.さらにそのアオサギのすぐ近くに,ハクビシン 2 頭の死体が水中に沈んでいました.これまで水の透明度が低くてゴミだと思っていたのですが,実は哺乳類の死体でした.もう 2 週間以上ここにあったことになります.

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氷が溶けていないヨシ原ではタシギが採餌中でした.今日は特に近距離で見られたのがよかった.しかし彼らは横目でしっかりこちらを見ています.全く油断はしていません.近づきすぎるのはまずいので,節度を持って早々にその場を離れました.

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2023/01/22

人馴れしてきたヒクイナ

今日は朝の冷え込みこそ弱かったものの,日中の日差しがほとんどなく寒い一日でした.しかし昨日よりは風が弱く,散歩に出ても寒さで手がかじかむようなことはありませんでした.

調整池では一昨日に続いて今日もヒクイナを間近に見ることができました.ヒクイナは元々は大変用心深い習性で,人影が見えるとすぐにヨシの繁みに走り込んだものですが,今シーズンは結構大胆に近距離で姿を見せてくれます.おかげで近くから写真を撮ることができました.

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このような写真から,ヒクイナの羽衣 (plumage) やたくましい趾(あしゆび)がどのようなものかよくわかります.

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2023/01/21

やっとタシギが来訪

昨夜から今日明け方にかけては強い北風が吹き荒れ,暖かだった空気が冷たい空気に入れ替わりました.今日日中の高空にはすじ雲が多く見られ,上空にも寒気が押し寄せつつあることが見て取れます.外を散歩すると気温が下がったことが肌で感じられます.

さて散歩コースの調整池がきれいに草刈りされたので,やってくるべきはタシギたちです.昨日はまだ姿を見なかったのですが,今日こそはと思って探してみると,いました,いました,冬のご常連タシギです.調整池が草刈りされるまでは近くの田んぼの水たまりにいることは分かっていたのですが,調整池には姿を現さず寂しい思いをしていました.

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このような環境に見事に溶け込む保護色をしているので,写真を見てもなかなか見分けにくいと思います.Photoshop でレタッチしてタシギ以外をモノクロにしたものもお見せしたいと思います.

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2023/01/20

ヒクイナが出てきた

散歩コースの調整池の草刈が完全に終了し,道路わきの背の高いヨシオオブタクサなどが一掃されたため,非常に見通しが良くなりました.水辺のヨシも水面より高い場所に生えていた株は刈り取られたので,これまでよりも格段に鳥が見やすくなりました.

どれどれ,ということで歩いてみると,早速ヒクイナを目撃.道路との距離が数 m しかなく,人影がすぐ近くに見えるにも関わらず,この個体は大胆に道路わきで採餌していました.

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面白かったのは地面に落ちてボロボロになったガマの穂をついばんでいたこと.こんなものを食べて栄養があるのだろうかと思うのですが,なにがしか腹の足しにはなるのでしょうね.

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逆光の中,かつコントラストが低い被写体なので,カメラがフォーカスを合わせてくれません.動きもせわしないので,大量のピンぼけ写真を作ってしまいました.

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2023/01/18

若いメスのモズ

散歩コースの調整池でようやく草刈が行われました.一昨年までは12月初めに行われており,草刈後にはさまざまな野鳥が姿を見せて楽しませてくれていたのですが,今シーズンは年を越してからようやく実施されました.市役所の予算執行の関係でしょうか?

草刈が行われている最中は大型の重機が入るので鳥たちは寄り付きません.が数日たって環境が落ち着けば,まずはこれまでヨシに遮られて見えなかった領域が見えるようになること,さらに刈り取られたヨシ原で採餌する鳥たちがやって来ることから,散歩コースが魅力的な野鳥観察フィールドに変貌します.

今日はまだ重機が作業をしていたので見られた鳥はごくわずか.その中で若いメスのモズが見られました.この辺りで生まれ育った個体ではないかと思います.胸の細かい模様が美しいです.

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まだ野生動物らしいきびきびした動きをしておらず,世間の荒波にもまれていない様子.無事に冬を越して大人になっていってほしいものです.

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2023/01/15

オオジュリン

朝の冷え込みはなかったものの,昨日に引き続きぱっとしないお天気.夕方からは弱い雨の予報.散歩に出かけましたが,日差しが無くてうら寒いお天気.それでも季節は少しずつ進んでいるようで,シジュウカラが囀り始めました.

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調整池のヨシ原にようやくオオジュリンがご到着.ヨシの葉髄に潜むビワコカタカイガラモドキを食べに来たのでしょう.それにしても今年は冬鳥の数が少ない.

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2023/01/08

サーマルソアリング

強い冬型の気圧配置が緩み,明け方は冷え込んだものの日中は 12 度くらいまで気温が上がりました.風も弱いため,強い日射で窪地や住宅地の上には上昇気流が発生.もしも人間の目で見ることが出来たらあちこちにサーマルプルームがキノコのように立ち上がっていたはずです.

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そんな中を一羽のノスリ滑翔していました.全く羽ばたかず,翼と尾羽の微妙なひねりだけで長時間飛び続けています.

ノスリの体型から推定できる揚抗比 L/D(揚力と抗力の比)は 5 から 8 程度だと思うのですが,仮に 8 だとして,秒速 10 m/s の対気速度の滑空で高度を維持するためには,上昇気流の速度は 1.25 m/s 以上なければなりません.この程度のサーマルが発生することはごく普通のことで,グライダーでサーマルソアリングを行う場合は数 m/s の上昇速度を持つプルームを探すようです.

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2023/01/06

寒の入りだそうで

今朝は当地でのこの冬一番の冷え込み.夜明けの気温はマイナス5度程度.庭木のカクレミノの葉がクシャクシャに縮こまっているので分かります.散歩に出ると調整池の水面の半分程度が凍ったまま.おそらく終日溶けないのでしょう.

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二十四節季では今日は小寒,または寒の入り.冬至の次の節気で,次の節気は大寒.一年で一番寒い時期だというのですから,この二十四節季というのは実によくできています.

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しかし,梢を見上げるとすでにコブシの花芽が目立っており,ここ数年では最も付きが良いように思います.よく見るとここにもガマ吹雪の種がくっついています.春の開花が楽しみです.

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2023/01/05

ガマ吹雪

昨日,今日と強い冬型の気圧配置で,終日強い北西の風が吹いています.風が強いの朝の冷え込みは弱くなり,霜が降りないというメリットがある半面,洗濯物を外に干せない,外を歩くだけで寒さ疲れするというデメリットがあります.

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散歩コースの調整池では,風に吹かれたガマの穂から大量の種が吹き上がり,まるで吹雪のようになっていました.下流の住宅では洗濯物にたくさんの種が引っかかるのではないでしょうか?ガマの穂はまだ種をたくさん蓄えているので,この調子でいくと一冬中,強風の日にはガマ吹雪が吹き荒れそうです.

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2023/01/03

青い鳥を探しに

お正月三日目.今日は風は強めながらも相変わらずの快晴.家でじっとしているのはもったいないので,近くの森林公園に出かけて散歩.

歩き始めてしばらくすると,望遠レンズの一群が一本の木を取り囲んでいます.双眼鏡で遠くから確認すると,ルリビタキのオスが木にとまっていました.やや青色が薄いので,まだ 2, 3 歳の若い個体のようです.

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ルリビタキにしては動きが少なく,また特有の鳴き声も出さず,大人しくしていたので写真は撮りやすかったことでしょう.この公園はルリビタキがよく出ることで最近有名になってしまったので,ちょっとでも出物があるとすぐに遠くから人が集まってくるのが玉にきず.

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今シーズンは冬鳥が非常に少なくて,何が原因なのか気を揉んでいます.日本では冬鳥として扱われる鳥たちの繁殖地であるシベリア東部や沿海州,中国大陸東北部などで鳥インフルエンザがいつ頃からどの程度流行っていたのか気になります.繁殖地でばたばた死んでいれば,当然渡りも少なくなるはず.それとも今年の寒さの到来が遅いため,まだ暖地まで降りてきていないだけなのか?

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2023/01/02

浄土庭園のハシビロガモ

穏やかな冬晴れのお正月の二日目.元日は混むだろうと避けていた神社への初詣と,年中行事になっていた大仏寺参りに出かけました.

大仏寺には浄土式庭園というものがあり,その池にたくさんのコイが飼われているのですが,そこにはなぜか多数のハシビロガモも群れています.池の端では「コイの餌」なるものが一袋 100 円で売られているのですが,これを水面に撒くとコイとハシビロガモの争奪戦が繰り広げられます.

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間近で見るハシビロガモはけっこう小柄で,マガモカルガモに比べるとやや小ぶりです.フィールドで観察しているときには,大きな嘴が目立つせいかマガモと同サイズであるように見えるのですが,実際には小ぶりなのですね.

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なぜ野生のハシビロガモがこのように人馴れして群れているのかよくわかりませんが,この寺院の別の池には毎年ヨシガモの群れが入っており,今年も 10 数羽のヨシガモだけの群れを確認しました.

参詣に来ている人間のほうは多国籍で,日本人が最も多いものの,かなりの割合のベトナム人,タイ人,そしてなぜかヒンドゥー教徒のインド人も目立ちます.イスラム教徒の姿は見かけませんでしたが,観光地と思えばどのような宗教の人たちが来てもおかしくはありません.

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2023/01/01

恭賀新年 2023

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明けましておめでとうございます.皆様にとって昨年はどのような一年だったでしょうか?私も昨年を振り返り,今 年の展望について思うところを書いてみたいと思います.

昨年も新型コロナウィルス SARS-CoV-2 によるパンデミック COVID-19 が継続しましたが,新しい株は無症状か軽症が多く私たちも対策に疲れてきたことから,だいぶ緊張感が緩んだと思います.欧米ではとっくにマスク無しの通常の生活に戻っていますし,日本でも新たな感染のピークが予想されながらも,行動制限は緩和されたままです.このままインフルエンザなみにまで影響度が落ちれば,パンデミックも一段落ということになるのでしょう.長い 3 年間でした.しかしインフルエンザで亡くなる人は少なくないことも忘れてはいけません.私は昨秋もインフルのワクチンは打ちました.

私自身に関しては,昨年も書いた通りコロナ禍の直接の影響は何も受けていません.東京には年に 1, 2 回しか行かないので人混みとは無縁.この 3 年間で電車に乗ったのはたった 6 回ほど.田んぼを見下ろす高台の自宅で規則正しい日課を続けており,仕事に行かない日の午前中はおもに学び直しのお勉強.昼食後に 1 時間ほど散歩して,帰ってからは写真のレタッチやブログの記事の更新などを行い,夕方になるとビールを飲みながら録画しておいた映画やドキュメンタリーを観ています.


昨年は引退 5 年目でした.春に非常勤の仕事を退任したので暇になってしまったのですが,登録しておいた派遣会社から夏になって声がかかり,秋から地元の産総研ドローンの開発の手伝いをするようになりました.ただしもうフルタイムで働きたくはないので,一週間のうち二日程度のパートタイム勤務です.地方なので通勤には車を使わざるを得ず,筑波研究学園都市の朝晩の渋滞にはうんざりしています.

仕事の内容は私の専門の流体力学に関するもので,固定翼ドローンの空力性能の予測が主なものです.まあちょっと変わった形の模型飛行機と思って間違いありません.そのため模型飛行機や人力飛行機の愛好家のコミュニティで使われているツールをもっぱら使っています.最初は NACA翼型の復習から始め,次に XFOIL の後継である XFLR5 という翼型評価ツールを使って 3 次元の機体の空力計算に手を付けたのですが,私たちが開発中のヘンテコな機体形状に対しては役不足だったので,NASA Ames で開発された OpenVSP という 3D モデリングツールに乗り換えて今に至っています.

OpenVSP は XFLR5 と比較するとより多様な形状を作成できます.また XFLR5 と同様に渦格子法やパネル法を用いた空力計算も出来るので,機体の空力係数や表面圧力分布を見て設計にフィードバックできます.しかも NASA 公認のフリーソフトであり,ノート PC でも十分に動き,ユーザーズコミュニティも活発で開発者や世界のユーザーと質疑応答ができます.何か質問すると開発責任者から 15 分後に回答が来て驚いたことがあります.また膨大な量の公式チュートリアルが You Tube にアップされています.良い時代になったものです.

半面 XFLR5 に較べると日本のユーザーは非常に少なく,学生や研究者が形状設計に使った論文はあるものの,使い方に関する解説記事はほとんど見たことがありません.XFLR5 は日本の人力飛行機コミュニティに対してすでに十分な機能を提供しており,それに比べると OpenVSP はオーバースペックなのかもしれません.しかし多様な形状のドローンの設計にはこちらのほうが向いています.十分に使い込んだら解説記事でも書きましょうか?

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というわけで学生時代に戻ったかのように目を輝かせながら生き生きと仕事をしていると自分では思っているのですが,傍目には,しかめっ面で顔のしわを深くしたジジイが,眼をしょぼしょぼさせてディスプレイと睨めっこしているのでしょう.それでも一派遣労働者として謙虚な態度で仕事をしているので,周囲の若い人たちからはそれほどウザいジジイとは思われていないと信じております.だよね?


日課となった学び直しは,独習に限界を感じながらもよたよたと進展中です.一昨年に公理論的な量子力学を勉強してえらく気分が良かったので,同じ著者が書いたこれまた公理論的な熱力学の教科書上下 2 巻に取り組みました.引退初期にも田崎本を読んで味をしめていたのですが,その再現を狙ったものです.

これがドンピシャリの大正解で,熱力学の理論体系を非常にすっきりと理解できたと思います.特にこれまで現象論を理解するレベルで終わっていた相転移の熱力学を理解できたことは大きい.相図の読み方がよくわかりましたし,三重点内部でも理論が破綻せずに定式化できるところがすごい.温度や圧力などの示強変数を使わず,エネルギーや体積などの相加変数を理論の基礎に置いたことの成果です.

理論体系が非常に頑強にできているので,例えば強い重力場のもとで相対論的効果が無視できないような場合でも,便宜的な仮定を密輸入せずに温度などを理論自身から定義できます.ブラックホール近傍の温度はこのように補正されるのだと思うと非常に興味深いです.これで熱力学は卒業できたと思っているのですが,まだ情報熱力学には未練が残っているので,近い将来手を出すかもしれません.

次に手に取ったのは Amazon の書評で評判が良かった一般相対性理論のコンパクトな教科書.物理学者ではなくてエンジニアが書いた異色の本です.しかしこれは失敗でした.まず本の字面,特に数式が異常に読みにくい.数式に不慣れな編集者と印刷屋が関わったのでしょうか?さらに相対性理論のキモである,座標系に拠らない普遍的な物理法則を記述するためにテンソルという数学的ツールが必要で,そのために四元化を行うのだというポリシーが良く説明されていません.このために,複雑な曲率テンソルの式は追えるようになり,言われるがままにアインシュタインの重力方程式にたどり着くことはできるものの,なぜこれで良いのかは理解できないままです.

このような内容にも関わらず Amazon で高評価を集められることが不思議です.私は Amazon では低めの星 2 つ★★☆☆☆の評価としました.一般相対性理論についてはもう少しまともな,しかしあまり数学寄りではない教科書で学べないか探索中です.

さて今年は再び量子力学の,それも解釈の問題について論じた本を読もうと準備しています.コペンハーゲン解釈多世界解釈などです.昨年ノーベル賞を受賞した量子もつれとも深い関係があります.読みこなせるかなあ?


健康面では尿路結石の再発は無し.コレステロールの値も正常値の範囲内です.平穏な一年間でした.白内障も経過観察中.進行が遅いので医者も手術しましょうとは言い出せないようです.いずれは多焦点眼内レンズを入れたいと思っているのですが.

ところで一昨年の定期健診で体重と腹囲の増加,さらには血圧の上昇が発覚して不名誉な思いをしたので,そのリベンジを果たすべく昨夏はダイエットを敢行し,秋の定期健診までに体重を5 kg ほど絞ることに成功.健診では腹囲も血圧も正常値に収まってホッとしました.ダイエットのコツがわかったので,今年も基礎代謝が落ちる夏場には実行しようと思います.


趣味の写真については特に変化はありません.相変わらず SONY の高倍率ズーム・デジタルカメラだけを使っています.世の中ではミラーレス一眼がいろいろ出てきて面白そうなのですが,野鳥を撮ろうと思うと長く重たい超望遠レンズに手を出さざるを得ず,私ごとき年金ジジイでは金力も筋力も不足です.新たに買うとすれば APS-C のミラーレス一眼になるのですが,APS-C 用にはなかなか良いレンズがありませんね.今なら FUJI か? Canon か?


PC のハードウェアも更新無しです.本当は昨年中にメインマシンを新調したかったのですが,半導体不足とやらでパーツが高騰.夏あたりからようやく需給が緩んでメモリーは買いやすくなりましたが,マザーボードやビデオカードは円安の影響もあって高騰したままです.今週の CES で Intel が新しいプロセッサファミリーを追加発表するはずなので,それをよく見た後で春ころまでにマシンを更新したいと考えています.

と,そういう欲求不満が溜まっていたのでしょうね,年末になってハッと気が付くと,メインマシンの OS をいつの間にか Windows 11 にアップデートしていました.いつやったのでしょうか?もう一人の自分がいるのでしょうか?恐ろしいことです.今のところ大きな不具合には遭遇していませんが,小さな不具合にはそこそこ出くわしています.そのうちこれは個性なんだと諦められるようになるでしょう.


昨年はタダ同然で手に入れた Kindle 版の宮本武蔵(吉川英治)を読み終わり,さらに続けてやはりタダ同然の半七捕物帳(岡本綺堂)を読んだのですが,これが非常に面白くて楽しめました.捕物帳ジャンルの嚆矢となる作品なのですが,とにかく化政から幕末の江戸の情緒や風情というものが活写されているところが素晴らしいです.今では失われてしまった言葉も多く出てきます.たとえば「ご新造さん」.惜しまれる言葉です.詳しくはこちらのレビューをご覧ください.

その後は吉川英治の私本太平記を Kindle 版で読みましたが,非常に長いわりには盛り上がりが無くて十分には楽しめませんでした.しかし鎌倉幕府がどのようにして滅び,その後南北両朝の鼎立を経て室町幕府がどのようにして形成されたのかはよくわかりました.ただし終盤は作者が病床で書いたこともあって駆け足での話運びです.オリジナルの太平記とはかなり異なる歴史観,人物観で書かれたようですが,オリジナルを読んだことはないので比較はできません.

しばらく間をおいて,塩野七生さんの若いころの作品,ルネッサンス 7 部作の Kindle 版を購入して読み進めているところです.しかし著者自身が吐露しているとおり,若い作者の例にもれず肩に力が入っていて文章が生硬で読みにくい.文学部の学生の卒業論文を読んでいるよう.歴史を生き生きと語ることができていません.著者後年の「ローマ人の物語」の文体とはまるで違います.したがって読んでいてもあまり楽しく感じません.

まあ買ってしまったので最後までお付き合いするつもりですし,ベネチアの歴史を学ぶには大変良い題材だとは思っています.なにしろベネチアは 2 度ほどくまなく歩き回ったことがあり(1 回目2 回目),この特異な都市国家がどのようにして生まれ発展し衰退していったのか,大変興味が湧いたので.


昨年観た映画は合計 55 本.強烈な印象が残った映画はなかったのですが,そこそこの佳作を多く観ることができたと思います.まず年末になって観た「地獄の黙示録ファイナルカット」.これまでのバージョンではカットされていた奥地のフランス人の荘園を訪ねる場面をようやく観ることができましたが,素晴らしく手間と費用をかけたシーンでした.年初めに観た「ブレードランナー 2049」もまあまあの出来.「天井桟敷の人々」は名作の誉高い作品.古いパリの風情を映したという意味では面白かったのですが,話の中身やキャスティングは今ひとつ.中国映画「長江哀歌」はベネチアで金獅子賞を取った作品ですが,私に言わせればアジアに異国情緒を感じる欧米の審査員のバイアスがかかったのでしょう,作品自体はそれほどのものではありませんでした.なにより画が汚い.どうも作風が「世界」に似ていると思って調べたらやはり同じ監督でした.それよりはインド映画の「きっと、うまくいく」や,イラン映画の「友達のうちはどこ?」のほうがはるかに良かった.後者のレビューはこれ.年末も押し詰まって,北米線の機内で繰り返し観て大好きになった映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」を再び観ることができて満足でした.ま,こんな感じで映画の雑食を続けています.


今年は引退生活の 6 年目に入ります.今年こそは旅行に出かけたり人との対面の交流を増やしていきたいと思っています.皆様も健康第一でお過ごしください.どうかお元気で.

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