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2023/07/16

BOP付けずに掘ったのかよ?

北海道蘭越町地熱発電用の試掘井を掘削中に熱水が暴噴.まずいことに濃度の高いヒ素が含まれていたので近隣の土壌や水系を汚染中です.

やらかしたのは三井石油開発というれっきとした石油開発企業なので,数千メートルの試掘井も掘れる試掘のプロのはず.それが地熱地帯を甘く見たのか,浅いうちは大丈夫だろうとBOP (Blowout Preventor) 防噴装置を付けずに掘っちゃったらしいのです.これは業務上の過失ですね.地元への補償が必要でしょう.

地熱地帯でのドリリングでは岩盤の割れ目が多く逸泥のリスクが高いので,そちらにばかり気が行っちゃったのか?いやいやプロなんだからそんなはずはない,地熱地帯での水蒸気暴噴のリスクはよく分かっていたはず.逸泥すると静水圧が低下して沸点が下がるから暴噴しやすくなるのです.それなのにBOPなしで掘ったのはなぜ?坑内冷却はしていたのかな?硫化水素対策は?

水蒸気暴噴の一例

暴噴を止めるのに数週間もかかるらしいのですが,その間にヒ素の汚染は進行します.社外のプロの手は借りないのかな?暴噴を止めるプロは世界中にいるはずですが.

ヒ素が出てきたのは不運でした.まあ日本では少ないですが,世界的には地下水にヒ素が含まれているところはあり,例えばバングラデシュでは井戸水はそのままでは飲めないそうです.しかし,まあヒ素についても予備調査はしなかったのでしょうかね?

これで地熱発電に対する社会の認識が低下するのが残念.もっとプロらしい仕事をしてほしかった.

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工学・エンジニアリング」カテゴリの記事

コメント

俊さん

私もちょっとひどいなと思いました。水用の井戸ではないし、高温水の深井戸なのでBOPが必要なことは分かるはずです。

近年、品質検査も含めて日本の産業の技術力が急速に低下しているように感じます。

投稿: きたきつね | 2023/07/16 21:51

8月20日の報道では,坑内冷却によりようやく噴出は止まったようです.この後,坑井を埋め戻すらしいです.

坑井のロギングはやらないのでしょうか?せっかく掘ったのだから,埋め戻す前に層序くらいは調べておいたら良いのでは?

投稿: 俊(とし) | 2023/08/20 19:46

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