やっぱり「ミッドナイト・ラン」
ミッドナイト・ラン ユニバーサル 思い出の復刻版 ブルーレイ [Blu-ray] - ロバート・デ・ニーロ(出演),チャールズ・グローディン(出演)
2019 年 2 月にこのブログで紹介したのですが,非常に良い印象があったので再びこの映画を観てしまいました.プロットを追って観ていくと,見た記憶がないシーンが次々と現れ,あれ?俺は一体何を見ていたんだろうと情けなくなってきました.
話の筋や印象は前回書いた通りなので省略して,今回は個々の役者について書いてみたいと思います.主演のデ・ニーロはアメリカの男性俳優の中でもトップクラスの実績を持つ人ですが,キャリアの比較的前半,1987年の「アンタッチャブル」(アル・カポネ役)と1989年の「俺たちは天使じゃない」の間に撮ったフィルムがこの作品です.すでに1974年の「ゴッド・ファーザー PART II」でアカデミー賞主演男優賞,1976年の「タクシー・ドライバー」でアカデミー主演男優賞ノミネートの栄誉を得ていた彼ですが,ミッドナイト・ランの役柄は非常に気に入っていたようで,自分の作品の中でも最も好きな作品の一つと言っているそうです.
この作品はロードムービーであると同時にコメディでもあるのですが,中でもFBI捜査官アロンゾ・モーズリーを演じた黒人俳優ヤフェット・コットーの演技が素晴らしかった.デ・ニーロに何度も騙されコケにされながらも,最後は彼との取引に応じ,マフィアの大物の逮捕に成功します.威厳を装いながらどこか間の抜けた役を見事に演じました.
デ・ニーロ同様のバウンティ・ハンターのライバルとして登場し,抜きつ抜かれつを繰り返しながらもどこか冴えない中年男マービンを演じたのはジョン・アシュトンです.この人はこの映画よりもビバリーヒルズ・コップの巡査部長ジョン・タガート役のほうが有名でしょう.ビバリーヒルズ.コップ2を撮った翌年の作品が本作です.主役のデ・ニーロに何度も痛めつけられる可哀そうな役ですが,めげないところにいい味を出しています.
マフィアのボスを演じたデニス・ファリーナは何とシカゴ市警察に18年間勤務したという異色の経歴.悪役にしてはアクのない演技を見せましたが,元警察官がマフィアの役をやるのは大変面白いです.
そして最後はデ・ニーロと旅を共にする逃亡犯でインテリ会計士のデューク役を演じたチャールズ・グローディン.この人はアクターズ・スタジオのメンバーだったそうで,これはデ・ニーロも同じ.インテリ会計士の役柄を見事にこなすとともに,デ・ニーロと次第に友情を交わすようになっていく心理を大変うまく演じました.酒場で紙幣を奪う演技は即興だったそうですが,さすがはアクターズ・スタジオの卒業生たちです.
この作品は全体として軽快なテンポで話が展開していくシナリオが非常によくできており,また音楽もそれを大いに盛り立ててくれます.安心して観ていられるアクションコメディとして最高レベル.まだ観ていないあなた,これを観ずして天国に行くのは損です.ぜひ観てからにしましょう.
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