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2024年7月

2024/07/31

ケンローついに帰らず

世界的な登山家で山岳映像作家の平出和也さんと,ケンローこと中島健郎さんが, 6 年の準備期間をかけて挑んだ K2 西壁で滑落し,亡くなりました.急斜面で止まっていて救助には行けず,また動きもないことから救助活動は打ち切られました.二人が所属していた石井スポーツが正式に発表しました.

私はこの登山家のケンローが妙に気に入っていて,特に NHK のグレート・ヒマラヤ・トレイルのシリーズは録画して何度も観ていました.とてつもない技量と体力を持った登山家でありながら,非常に柔和な物腰の対比が魅力でした.撮影ドローンを飛ばす技量もなかなかのものです.世界の果てまでイッテ Q!のイモトさんのサポート役としても有名な存在でしょう.

K2_2006b

Svy123, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3411046 による

K2エベレストなどのヒマラヤの山々とは異なり,人里から完全に隔離されたとんでもない奥地にある山で,地元の山岳民族ですら山の姿を見たことがある人はいないそうです.観光地化したエベレストとは異なり,登る人も少なく未開拓のルートがほとんど.今回は西壁からの初登頂を目指したのですが,やはり「非情の山」は非情の山でした.

地球上にこういう場所があることは望ましい,そうあってほしいとは思うのですが,私の推しの一人がそれに挑んで命を落としたことは大変残念.もっとも本人は落ちた瞬間に諦めがついていたとは思います.

何十年,何百年と冷凍されたままで残るのでしょうが,エベレスト山頂直下でマロリーの遺体が発見されたように,いつの日か遺体が地上に還ることもあるでしょう.お二人のご冥福をお祈りします.

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2024/07/25

Ruby を自力ビルドしてみた

もう一週間ほども続く熱波で,仕事に出かける日以外は家の中に閉じこもっています.本当はこれを引きこもりと言うのだと思いますが,どこにも出かける気がしないので,写真が撮れず,ブログの更新もままなりません.

いきおい PC の前に座り込んで一日中何かしていることになるのですが,このところちょっと気になっていることがあり,それに対処してみました.それはRuby というプログラミング言語の更新についてです. Ruby はもう 10 年以上親しんでいる言語で,楽しくプログラミングができるので重宝してきました.Linux でも Windows でも使えるのですが,本家開発チームが Ruby 本体を更新するたびに,Windows であれば有志の開発者が速やかに Windows 版をアップロードする体制が整っています.

Linux 版はやや複雑で,リポジトリが更新されるか否かはディストリビューションごとにバラバラです.私が愛用している Ubuntu では最新版への追随性は良くなく, Ruby の最新版が 3.3.4 であるのに対して, 3.2 が最新版として登録されています.Linux には Snap というリポジトリもあり,こちらは今年前半までは良く追随してくれていたのですが,現在更新は 3.3.2 で止まっています.

さらに気になるのは Ruby の公式の Web サイトです.英語サイトには常に最新情報がアップされ,セキュリティリスクに対する警告などもタイムリーに掲載されるのです,日本語サイトは現在更新が止まっており,Ruby本体の更新が行われたことすら掲載されていません.

Linux 上ではソースから自力でビルドすることも可能で,これが一つの標準的な方法でもあるので,今回は Windows11 の WSL2 上でビルドしてみました.これは本質的には Ubuntu そのものなのですが,カーネルには Microsoft の手が入っており,つい最近 3 年ぶりにようやく 5.5 系列から 6.6 系列に更新されたばかりです.ちなみに Ubuntu 本家のカーネルは 6.8 系列です.

Built_rubysnapshot

ビルドそのものは大変順調で,コンパイル速度も生の Ubuntu と変わりません.ビルド後にテストスイートも走らせましたが,エラー無く終了.安心してインストールしました.いくつか自作のスクリプトを走らせてみましたが,全く問題ありません.

これまで Linux では Snap 版の Ruby を使ってきたのですが,今後も更新が期待できないのであれば自力ビルドに切り替えようと思います.

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2024/07/15

Excel上でPythonが使える

1 年弱ほど前に Microsoft からアナウンスされテストが続けられてきた Excel 上で Python が使えるようになる機能ですが,ようやく一般ユーザーにもプレビューが降りてきました.私の環境では先週あたりからメニューのツールバーに Python のロゴが現れ,それをクリックすると Python のスクリプトをセルに代入できるようになりました.

まずは NumpyPandas の機能を試してみたのですが,何ら違和感なく Excel のセルのデータを使えます.特に Pandas に慣れている人には, Excel のセルは Pandas のオブジェクトそのものとして扱われるので非常に親和性が高いと思われます.

試しにちょっと違うパッケージを使ってみようと思って scikit-learn の PCA クラスを使ってみました.測定データの主成分分析をやってみます.PCA クラスのインスタンスを作り, Excel のセルを ndarray に変換して渡せばそれで終わり.簡単に回帰直線の傾きなどを知ることができます.また matplotlib のグラフをワークシートに張り付けることもできます.

Python_on_excel

これまでわざわざ JupyterLab を立ち上げてスクリプトを書いていたような仕事は Excel 上で完結できるものが多くなるでしょう.それでも,機械学習のように膨大なデータを読み込んでニューラルネットワークの計算を行うような仕事は,ワークシート上に長大なデータを置いておく手間が煩わしいでしょうから,あまりメリットはないかもしれません.

それにしても,これは世の中を変えるポテンシャルがあると実感できます.

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