映画・テレビ

2025/10/24

キノコ展とマタンゴ

今日は朝一番で肺炎球菌のワクチンを接種.その後家人のリクエストで近場の植物園で開催中のキノコ展を見に行きました.

キノコについては全くの門外漢なのですが,やはり独特の魅力がある生物であることには間違いありません.まず菌類という生物のグループがなんとも得体が知れません.地面の下で菌糸を張り巡らして植物の根とも栄養交換を行いながら,あるとき胞子を飛ばすために子実体を地上に出してきます.これがいわゆるキノコ.そしてその子実体の形態の多様性があまりにも広く,大きさも,形も,色も,そして匂いも様々.これがキノコの魅力なのでしょう.

今日は屋内でわかりやすく分類されたキノコを見るとともに,植物園の園内でキノコを探して歩いてみました.それらを以下に説明なしで羅列します.

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ところで,このキノコ展を見ているうちに思い出したのが子供のころに観た SF ホラー映画「マタンゴ」.キノコ展の会場で机の上にキノコが満載になっているのを見た私が「マタンゴ!」と声を上げても誰も反応しなかったので,これはある程度の高齢者でないと記憶にないのでしょう.ホラー映画業界では有名な映画らしく今日まで語り継がれているそうです.この映画を子供のころ観たためにキノコを食べることができなくなったという人が多数いるようです.幸い私にはそのようなトラウマは残りませんでした.

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2025/10/14

戦争映画の受け取り方は人さまざま

アメリカン・スナイパー [Blu-ray] - ブラッドリー・クーパー (出演), シエナ・ミラー (出演), クリント・イーストウッド (監督)

アメリカ同時多発テロから始まったイラク戦争で超人的な成績を残した伝説のスナイパー,クリス・カイルの実話を基にした映画です.監督は手練れのイーストウッドですが,監督の意図はいざ知らず,様々な受け取り方ができる映画だと思います.戦争映画としてはプライベート・ライアンを抜いて全米史上最高の興行成績を叩き出したそうです.

アメリカ国内では保守派とリベラル派との間でこの映画の解釈をめぐって大論争が起きました.さもありなんです.今ならもっと深刻な社会を分断する論争に発展していたでしょう.愛国的な映画として賞賛する人たちがいれば,この映画を反戦映画として解釈する人たちもいます.私はどちらかというと娯楽作品として楽しんだくちなのですが.

私はこれまで断片的には観ていたのですが,今回初めて全編を通して鑑賞しました.何しろプライベート・ライアン以後に制作された映画なので戦場のリアリズムに手抜きはありません.かと言ってライフルの銃弾が自分の至近距離をかすめるときの音や衝撃,人が頭部を撃ち抜かれたときどのように脳漿が飛び散るのかを私自身が知っているわけではないので,「何となくすごそう」と素人が感想を述べているにすぎません.戦場はイラクの街中,相手はイラクのテロリスト集団.現代の市街戦です.ブラックホーク・ダウンを彷彿とさせるシーンがたくさん出て来ます.

同時多発テロにショックを受けた主人公は,当初は祖国アメリカを守りたいという動機で海軍の SEALs に志願してイラクに赴き,狙撃手として優秀な成績を上げていきます.しかし映画では敵の中にも凄腕のスナイパーがいて,そいつのせいで仲間が傷つき死んでいくのを目の当たりに見るうち,次第に仇を取るため仲間を守るためという動機で繰り返しイラクに赴任するようになり,最後は敵のスナイパーを仕留めることが目標になっていきます.

繰り返し戦場に赴く夫の精神が蝕まれていくのに気付いた妻は夫を引き留めようとするのですが,夫の決意は固く言うことを聞いてくれません.最終的には敵のスナイパーを仕留めたという確信を得て,主人公は帰国し除隊します.帰国後は自身の PTSD を癒し,また PTSD に苛まれている他の退役軍人たちの更生を手伝うようになるのですが・・・

主役を演じたブラッドリー・クーパーという俳優は非常に優秀です.建物の屋上から地上を警戒しているとき,自爆テロの実行犯が子供だったり女性だったりしたときに撃つのをためらう主人公の内面をよく演じています.映画の後半では射殺されたテロリストが持っていた RPG を子供が拾い上げて操作しようとするシーンがあるのですが,このとき主人公が迷う心理描写は実にうまい.何度テイクしたかは知りませんが.まあしかしこの映画では演技らしい演技はこの程度で,残りはドキュメンタリー映像に近いので役者の出番はあまりありません.

ところでイラクのバグダードでもこの映画が公開されたそうですが,子供が自爆しようとするシーンでは「撃て,爆弾を持っているぞ」と叫ぶ者がいたり,子供が RPG を拾い上げるシーンでは「撃て」という大合唱が起きたそうですから,当地はなかなか複雑な社会心理なのだと思い知らされます.非当事者の私たちが安全なところから呑気に楽しんでいるのとは違うのでしょう.

この映画のエンドロールは見ものです.クリス・カイル本人が PTSD を患った退役軍人から射殺されたときの葬列の実写映像が延々と流れます.道路沿いでは星条旗を持った多数の人たちが葬列を見守ります.また墓地での追悼式の様子も流されますが,そこにも多数の軍人,退役軍人,そして一般市民が集まっています.伝説化された英雄の葬儀とはいえ,アメリカの愛国者の伝統がかくも強いものかと改めて思い知らされます.

一方,自衛隊の殉職隊員追悼式に一般市民が押しかけるという話は聞いたことがありません.追悼式は防衛省敷地内部の慰霊碑地区で防衛大臣の主催で行われるので,遺族以外の一般市民は行きたくても行けないのですが.今年は石破首相も出席してつい先日10月11日に行われました.殉職隊員のご冥福をお祈りします.

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2025/09/17

脱獄ものの古典

アルカトラズからの脱出 [Blu-ray] - クリント・イーストウッド (出演), ダニー・グローバー (出演), ドン・シーゲル (監督)

これは昔から有名な脱獄映画でいわば一つの古典です.今回久しぶりに観たのですが,ショーシャンクの空にを繰り返し見てきた者にとって,多くの気付きがありました.つまりショーシャンクにはアルカトラズに触発された(あるいは拝借した)多くのエピソードがあったということです.

例えば入所翌日の朝,食堂で食事をとるときに受刑者が飼っているネズミに餌を与えるシーンは,ショーシャンクではやはり入所翌日の朝食時に内ポケットに入れたカラスのヒナに餌を与えるシーンに対応しています.これはそっくり.類似度高いです.

シャワー室で同性愛者から言い寄られるシーンはショーシャンクでも同じですが,言い寄ってきた相手を殴り倒して石鹸を口に突っ込むシーンはショーシャンクにはありません.これは主人公の設定に大きな違いがあるからです.ショーシャンクでは主人公は同性愛者たちからの執拗な攻撃に何年も悩まされ続けます.

運動場に壁の削りかすを捨てるシーンは全く同じ.まあこれは脱獄ものでは定番なのでしょう.すぐに看守から見つかるはずなので,これはあくまでフィクションのネタだと思います.

刑務所の運動場は他の受刑者たちと交流できる機会なのですが,アルカトラズでは牢名主のような黒人の囚人から一目置かれるようになります.ショーシャンクではモーガン・フリーマンが演じる “レッド” という庇護者兼相棒と交流する場に置き換えられています.

ショーシャンクでは建物の屋根に防水タールを塗る作業のときに看守長からビールを奢ってもらうエピソードがありますが,アルカトラズにはそのようなホッとできるエピソードは一切現れません.逆に所長から絵を描く特権を取り上げられた受刑者が,木工室で自らの指を斧で切り落とすエピソードが描かれるなど,殺伐としています.

ショーシャンクでは独房の壁を飾る女優のピンナップが時代とともに移り変わっていくのですが,アルカトラズは短期間で脱獄に至るため,そのような時間の流れを感じさせるエピソードもありません.

またショーシャンクでは元銀行家という職業の専門性を生かして所長や看守たちの税務コンサルタントのような役割を務め,その見返りとして図書室の建設と蔵書の充実という生きがいを与えられるのですが,そういう互恵的なエピソードはアルカトラズには一切ありません.

全体として,ショーシャンクのどこか希望や人間性の価値を信じられるエピソードの多さに比べると,アルカトラズは殺伐とした硬派です.その分脱獄技術の描写は詳細です.アルカトラズが面白いのは,冷静で頭の良い主人公が,時間をかけながらも脱獄計画を練り,信頼できる仲間を集めて計画を成功に導いていく,そのプロセスでしょう.まるで緻密な事業計画を成功裏に実行する有能で冷静な経営者を見るようなものです.

脱獄映画は世に多いのですが,脱獄という行為のどの側面に焦点を当てて描くかは,作品ごとに非常に異なると感じます.

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2025/07/27

クルト・ユルゲンスが素晴らしい

眼下の敵 [Blu-ray] - ロバート・ミッチャム (出演), クルト・ユルゲンス (出演), ディック・パウエル (監督)

もう観るのは 3 回目くらいなのですが,何度見ても良い作品です.第 2 次世界大戦中の南大西洋.アメリカの駆逐艦とドイツの U ボートの戦術的駆け引きを描いた作品です.当初,民間出身の無能な船長と思われていた駆逐艦の艦長が,連戦練磨の U ボートの艦長相手に互角の戦いを繰り広げる,その駆け引きが非常に良く描かれています.

あまりリアリズムを追求した映画ではないため,よく見るとおかしなところもいろいろと出てくるのですが,それはそれとして,二人の軍人の息詰まる駆け引きが見るものを飽きさせません.

アメリカ海軍の駆逐艦艦長役はロバート・ミッチャム.まだ比較的若いころの作品なので,この 5 年後に撮られた「史上最大の作戦」のときのような鈍重さは見られません.当初は乗組員たちから船酔いする素人と軽んじられていたのが,実は対潜水艦戦の達人だということがわかって大いに尊敬を勝ち取ります.また終盤では人間性のある軍人としても英雄的に描かれます.

しかし何といっても存在感があったのは U ボート艦長役のクルト・ユルゲンス (Curd J ü rgens).ヒットラーが始めた戦争に疑問を持ちながらも,何とかして駆逐艦をまこうとあの手この手を繰り出します.この人は表情を通した内面表現が見事ですね.舞台俳優出身なのでしょう.たくさんの戦争映画にナチスの将校役で出ているのもうなずけます.

最終的には相討ちに近い結末を迎えるのですが,まあここはいかにも作り話.ちょっとヒューマニズムに寄りかかり過ぎで,私はあまり好みではありません.もっと殺伐とした結末の方が良かった.

個人的には潜水艦戦には惹かれるものがあって,子供のころは小沢さとるさんの連載漫画「サブマリン 707」が大好きでしたし,イギリスの特撮人形劇「海底大戦争 スティングレイ」もよく観ていました.大人になってからでは「レッドオクトーバーを追え!」が秀作だったと思います.一方「クリムゾン・タイド」は駄作でした.

大変古い映画ですが,機会があればご覧になることをお勧めします.

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2025/06/06

D-day に寄せて

5 月は一度も投稿できませんでした.なんやかやと用事が立てこみ,またネタになるような写真が撮れなかったのが最大の理由です.船上から海鳥を見るツアーから帰って来てようやく落ち着けるようになってきましたが,今月はまだ野鳥の調査が 2 回,探鳥会のガイドが 1 回残っています.

さて 1944 年 6 月 6 日 火曜日は,第 2 次大戦の一大イベント,ノルマンディー上陸作戦ことオーヴァーロード作戦が決行された日です.私は子供のころ,映画館で史上最大の作戦を観て,それから 2000 年ころにプライベート・ラインをビデオで観て,さらにさまざまなドキュメンタリー作品を観て,この軍事イベントに対する興味を持ち続けてきました.

メディアでは前線での派手な戦闘に焦点が当てられがちなのですが,私が興味を掻き立てられたのは,これほどの大作戦をどのように立案し,計画し,最終的に決行するに至ったのか,いわば裏方たちの,恐らくは凄まじいまでの試行錯誤と労力です.連合国軍はすなわち多国籍軍でした.イギリスやアメリカの兵士は言うに及ばず,フランス,カナダ,ポーランドの兵士たちも多数加わっています.どのように兵士たちを集め,訓練し,必要な物資を調達し,必要な場所に運搬したのか.気が遠くなるほどの規模だったはずです.軍の官僚組織や仕事を請け負った企業がどうにかこうにか仕事を回していったのだろうと思います.

1944_normandylstA LCVP (Landing Craft, Vehicle, Personnel) from the U.S. Coast Guard-manned USS Samuel Chase disembarks troops of the U.S. Army's First Division on the morning of June 6, 1944 (D-Day) at Omaha Beach.  Public domain; official U.S. Coast Guard photograph

しかし当然のことながら数多くの失敗や見込み違いがありました.イギリスの海岸で最終的な上陸演習(タイガー演習)を行っているときに,連絡の不備から味方同士が相打ちし,さらにドイツ軍の攻撃を受けて 900 人以上のアメリカ兵が死亡しました.また上陸作戦のために開発され期待が寄せられた水陸両用戦車D.D. シャーマンは海岸にたどり着く前に沈むものが多く,あまり役に立たちませんでした.プライベート・ライアンでも「戦車は沖で沈みました」と報告を受けるシーンがあります.

80g45720National Museum of the U.S. Navy - https://www.history.navy.mil/content/history/museums/nmusn/explore/photography/wwii/wwii-europe/operation-overlord/invasion-normandy/us-navy-ships/80-g-45720.html

しかし何といっても私が最も心を痛めたのは,この作戦のために死傷したフランス国民のことです.以下,Wikipedia の記事によりますが,この作戦に先立って連合国はドイツ占領下のフランスやベルギーの都市に対しては大規模な事前爆撃を行い,この準備段階の空襲だけでノルマンディーを中心として住民 15,000 人が死亡し,19,000 人が重傷を負ったそうです.そして上陸直前の空襲によって 24 時間以内に死んだノルマンディーの住民は 3,000 人にのぼり,これはアメリカ軍の死者の 2 倍以上.そして最終的に連合国の空爆によって死亡したフランス国民の総数は 70,000 人に達したそうです.

416thbga20ddayUnited States Army Air Force - United States Army Air Force via National Archives
A-20 from the 416th Bomb Group making a bomb run on D-Day, 6 June 1944

当初からチャーチルは空襲の対象をドイツ軍の基地や弾薬の集積所に限るべきだと主張していたのですが,この要請をアイゼンハワールーズベルトは拒否し,都市爆撃を行ったのでした.爆撃対象はしょせん他国であり,かつ爆撃強度を高めた方が自国の兵士の命が助かると考えたのでしょう.

自由を勝ち取るための戦いとはいえ,救助され解放されるべき人たちがこのように多数殺されなければならなかったのか?もっと他の戦術は考えられなかったのか?今でも疑問が残ります.戦闘員たる兵士たちよりもはるかに多くの住民が犠牲となって解放されたノルマンディー.誰のため何のための解放だったのか?それで本当に良かったのか?軍の司令官たちの良心は痛まなかったのか?

戦後作られた映画でこの点に触れたものはほとんどありません.映画パリは燃えているかの中でも言及はありませんでした.フランス解放に貢献したレジスタンスと英米軍を賞賛する映画ですから,シナリオ段階でボツになったでしょうし,たとえセリフに書き込まれたとしても,当時のド・ゴール政権の厳しい検閲に引っかかって出せなかったでしょう.私がこのような事実を知ったのは最近数年間でいくつかのドキュメンタリー作品を観たからです.

さてこのオーヴァーロード作戦でヨーロッパ全土が解放されたわけではもちろんありません.連合軍は 3 か月後に敢行されたマーケット・ガーデン作戦ではドイツ軍の強い反撃を受け多大な損害を出して撤退し,オランダは解放できたものの,ドイツ本土への侵攻は半年後になってしまいました.この作戦は後に遠すぎた橋バンド・オブ・ブラザーズに描かれました.ノルマンディーへの上陸後,事がトントン拍子に進んだわけでは決してないのです.そしてその間,前線の兵士たちだけではなく戦場となった地域の住民たちの受難も続いたのです.

世界中の戦争や紛争ができるだけ早く終息することを願います.

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2025/04/02

やはり名作「夜の大捜査線」

夜の大捜査線 [Blu-ray] - シドニー・ポワチエ (出演),ロッド・スタイガー (出演),ノーマン・ジュイソン (監督)

数年ぶりで観ましたが,やはり名作は名作です.出演者たちがみなとても上手い.シドニー・ポワティエの表情がインテリぶって硬いのが気になりますが,他の白人俳優たちがみないいのです.南部の黒人差別が強い地域の白人たちを非常に上手く演じています.演技指導が相当入ったのかもしれませんが,撮影が 1960 年代という公民権運動が盛り上がっていた時期だったことも影響しているのかもしれません.

役者たちをクローズアップで撮るとき,特に逆光気味のときの照明がきつめなのが今となっては気になるのですが,当時はこれが普通の撮影ルーチンだったのでしょう.「熱いトタン屋根の猫」を観るとそれがよくわかります.一方,夜のシーンはすでに高感度フィルムがあったせいか実に自然です.

この映画の中には何カ所か名シーンと呼ばれるものがあるのですが,まず最初はタイトルロールの長距離列車のシーン,次は警察署長のギレスビーがシドニー・ポワティエ演じるティッブスを駅のプラットフォームで引き留めるシーン,そして最後は帰っていくティッブスをギレスビーが駅で見送るシーンです.ギレスビー役のスタイガーの演技は素晴らしいもので,アカデミー賞の主演男優賞をとったのもうなずけます.これらのシーンから,当時はアメリカ国内でも長距離旅行は鉄道が一般的だったことがわかります.ビジネスマンが飛行機で出張するようになったのはもう少し後の時代です.

ちなみに,シドニー・ポワティエの有名な出演映画,いつも心に太陽を招かねざる客,そしてこの夜の大捜査線はすべて 1967 年の作品.これは偶然なのでしょうかね?私は中学生の時に地元の映画館で,いつも心に太陽をを観て感動したことを覚えています.

この映画の音楽はすべてクインシー・ジョーンズの作で,タイトル曲はレイ・チャールズが歌っています・・・とくると,USA for Africa が思い出されるのですが,案の定 USA for Africa の収録スタジオにはシドニー・ポワティエが招待客として顔を出していました.絆は深いのですね.

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2024/06/29

やっぱり「ミッドナイト・ラン」

ミッドナイト・ラン ユニバーサル 思い出の復刻版 ブルーレイ [Blu-ray] - ロバート・デ・ニーロ(出演),チャールズ・グローディン(出演)

2019 年 2 月にこのブログで紹介したのですが,非常に良い印象があったので再びこの映画を観てしまいました.プロットを追って観ていくと,見た記憶がないシーンが次々と現れ,あれ?俺は一体何を見ていたんだろうと情けなくなってきました.

話の筋や印象は前回書いた通りなので省略して,今回は個々の役者について書いてみたいと思います.主演のデ・ニーロはアメリカの男性俳優の中でもトップクラスの実績を持つ人ですが,キャリアの比較的前半,1987年の「アンタッチャブル」(アル・カポネ役)と1989年の「俺たちは天使じゃない」の間に撮ったフィルムがこの作品です.すでに1974年の「ゴッド・ファーザー PART II」でアカデミー賞主演男優賞,1976年の「タクシー・ドライバー」でアカデミー主演男優賞ノミネートの栄誉を得ていた彼ですが,ミッドナイト・ランの役柄は非常に気に入っていたようで,自分の作品の中でも最も好きな作品の一つと言っているそうです.

この作品はロードムービーであると同時にコメディでもあるのですが,中でもFBI捜査官アロンゾ・モーズリーを演じた黒人俳優ヤフェット・コットーの演技が素晴らしかった.デ・ニーロに何度も騙されコケにされながらも,最後は彼との取引に応じ,マフィアの大物の逮捕に成功します.威厳を装いながらどこか間の抜けた役を見事に演じました.

デ・ニーロ同様のバウンティ・ハンターのライバルとして登場し,抜きつ抜かれつを繰り返しながらもどこか冴えない中年男マービンを演じたのはジョン・アシュトンです.この人はこの映画よりもビバリーヒルズ・コップの巡査部長ジョン・タガート役のほうが有名でしょう.ビバリーヒルズ.コップ2を撮った翌年の作品が本作です.主役のデ・ニーロに何度も痛めつけられる可哀そうな役ですが,めげないところにいい味を出しています.

マフィアのボスを演じたデニス・ファリーナは何とシカゴ市警察に18年間勤務したという異色の経歴.悪役にしてはアクのない演技を見せましたが,元警察官がマフィアの役をやるのは大変面白いです.

そして最後はデ・ニーロと旅を共にする逃亡犯でインテリ会計士のデューク役を演じたチャールズ・グローディン.この人はアクターズ・スタジオのメンバーだったそうで,これはデ・ニーロも同じ.インテリ会計士の役柄を見事にこなすとともに,デ・ニーロと次第に友情を交わすようになっていく心理を大変うまく演じました.酒場で紙幣を奪う演技は即興だったそうですが,さすがはアクターズ・スタジオの卒業生たちです.

この作品は全体として軽快なテンポで話が展開していくシナリオが非常によくできており,また音楽もそれを大いに盛り立ててくれます.安心して観ていられるアクションコメディとして最高レベル.まだ観ていないあなた,これを観ずして天国に行くのは損です.ぜひ観てからにしましょう.

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2023/11/19

クライ・マッチョ

クライ・マッチョクリント・イーストウッド(監督)

約一年ぶりで映画のレビュー.イーストウッドの映画はいろいろ見てきたのですが,主演作品となるとこれがおそらく最後のものになるかもしれません.御年91歳で監督・主演した作品です.

映画の企画としてはかなり古く,75年に出版された同名タイトルの小説が原作です.元ロデオスターの老人が主人公.仕事の雇い主に頼まれて,メキシコに住む彼の息子をアメリカに連れて帰る,そのロードムービーになっています.当初はシュワルツネッガーが主演俳優に選ばれたのですが,当人のスキャンダルで製作が中止され,2020年にイーストウッド本人が主演も務めることが発表され,COVID-19 のさなかに撮影が行われました.

実際に観て思ったのは,やはり高齢のイーストウッドはもう演技に耐えられないということです.セリフ回しは問題ありませんが,動きは良くありません.馬に乗るシーンもあるのですが,引きのショットばかり.女性とダンスを楽しむ姿もかろうじて,という感じです.グラン・トリノでは非常に良い演技だったのですが,あれから13年の歳月が残酷に流れたのだと思わざるをえません.一方,若者に人生の教訓をとつとつと話し,マッチョの意味を考えさせる演技はとても良いです.この作品のハイライトの一つでしょう.

一方,息子役の俳優ですが,私に言わせればちょっと良い子すぎてアクが無さすぎです.これはちょっとキャスティングを間違ったのではないでしょうか?もう少しクセの強い若手俳優が良かったと思います.子役のころのディカプリオとかリバー・フェニックスとか.まあこういう逸材はいつも見つかるわけではありませんが.

ドライブ中の主人公たちを迎え入れかくまう役の女優ナタリア・トラヴェン.派手な顔立ちで微笑が絶えない魅力的な人ですが,ちょっと場違いな感じのキャスティングだったと思います.掃き溜めにツルですね.もう少しリアルで殺伐とした演出にしたほうが私の好みには合っていますが,こういう救世主がいたほうが安心して観ていられるのは確か.

全編を通してラテン音楽がとてもよかった.非常に端正なラテンで,これに合わせてダンスをするシーンは非常にしっくりします.キューバ音楽もそうですが,端正なラテン音楽には非常に惹かれます.

かなり長いエンドロールがあるのですが,私はエンドロールもきっちり最後まで観るタイプです.前半は非常に美しいデザインで驚かされました.このような美しいエンドロールは初めて見ました.ただしエンドロールで使われていたカントリー音楽は私の好みには合わず,ちょっと残念.最後までラテンで通してほしかった.

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2022/10/10

少年の一途な心に感動

友達のうちはどこ?アッバス・キアロスタミ(監督)

もうかなり古い 1987 年のイラン映画.監督の名前は有名な映画「桜桃の味」を観て知っていたのですが,この監督が有名になるきっかけとなった作品です.舞台はイラン北部,カスピ海近くのコケールという寒村.

小学校の先生は宿題に対して大変厳しく,正式なノートに書いてこないと認めてもらえません.宿題をノートではない紙に書いてきたモハマッドはみんなの前でひどく叱られ,もう一度同じことをやったら退学だと言い渡されてしまいます.隣に座っていたアハマッドはそのやり取りを神妙に聞いていたのですが,家に帰って宿題をやろうとすると,なんと間違ってモハマッドのノートを持ち帰ってきたことに気づきます.

さあ大変,このままではモハマッドは退学になってしまいます.でもモハマッドが住んでいるのは隣の村.子供の足では近くはありません.それでもアハマッドは,母親や祖父や様々な大人たちの理解のなさに挫けず,モハマッドの家を捜し続けます.この少年の一途な誠意が大変感動的.この子役の少年の表情は素晴らしいです.

この映画は職業俳優を使わずに撮ったそうで,道理で大人たちの演技はぎこちないものですが,しかし少年たちの演技がそれを補って余りあります.画づくりも曇天か夜景の彩度を抑えた色彩で,詩情がかきたてられます.

ところが,途中からあれぇ?と感じました.どうも既視感がある.Déjà Vu なのです.そうそう,張芸謀(チャン・イーモウ)の「あの子を探して」と雰囲気が似ているなぁ?どれどれ,ははぁ「あの子を探して」は 1999 年の映画なので,ひょっとすると張芸謀はこの映画を観てインスピレーションを得たのではないでしょうか?私の直感にすぎませんが,しかしこれら二つの映画にはいくつも共通点があるように思います.

今年観た映画の中でもベストスリーに入る作品.複数の映画祭で賞を得ただけのことはあります.ちなみに,このコケールという山村は撮影の数年後に地震で壊滅して今は廃墟になってしまったそうです.

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2022/06/14

タチアオイが咲き始めた

梅雨に入って蒸し暑い日が続くようになったころに咲き始めるのがタチアオイ.背丈は 3 m ほどにもなり,そこに大ぶりの花が下から上へと多数咲き上がっていくので大変見ごたえがあり,最近よく見かけるようになりました.

日本には古い時代に中国からもたらされたと言われており,万葉集にも源氏物語にも書き込まれています.

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上の写真は花びらが逆光で透けて見えるところを撮ってみました.

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