音楽

2009/11/28

カントリー音楽の聖地アスペクタ

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阿蘇南郷谷の続きです.年金運用資金で建てられた大規模保養施設にグリーンピアというものがありました.ずさんな計画と管理運用が露呈してその全てが廃止され,今では自治体や民間に払い下げられています.その一つが阿蘇南郷谷にあるグリーンピア南阿蘇です.敷地は大変広大で,阿蘇外輪山の斜面を利用したロケーションは最高にすばらしく,その中に散らばるようにホテル,レストランなどが点在していますが,ここには巨大な野外ステージ "アスペクタ" があります.ホームページはこちら

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毎年10月に行われるカントリー音楽の祭典カントリー・ゴールドの会場として日本中のカントリーファンには知られています.しかしホテルと同様この野外劇場も存続が危ぶまれています.国がグリーンピアを廃止し,県も不採算の施設を引き取る意思の無いことを表明したためです.このまま行くと,間もなくアスペクタも廃止となりそうです.もう20年以上も続いているカントリー・ゴールドはどうなるのでしょうね?チャーリー永谷さんたちが運動をしていますが,県も地元自治体も財政は苦しいはず.予断を許さない状況が続いています.ロケーションは世界的に見ても抜群なのになぁ・・・

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2009/10/13

素晴らしい洗練を果たした Lonesome River Band

No Turning Back [Import] [from US] - Lonesome River Band

Lonesome River Band は過去にこのブログで一度だけ取り上げています.このときはかなり古い録音の CD を紹介したのですが,このバンドは実は長寿!その後もコンスタントにアルバムを出し続け,しかもその洗練された硬派ぶりは全く軸がぶれません.これほどのバンドなのに,何故か Wikipedia には記事がありません.どうしてなのか全く理解できません.

このアルバムは2008年にリリースされたものですが,硬派ながらも大変洗練されて現代的な Bluegrass を聴かせてくれます.彼らの音楽には相当多くのミュージシャンが影響を受けたはずで,AKUS などはその影響を受けた筆頭ではないかと思います.特に AKUS のアルバム "So Long So Wrong"(*1) や "New Favorite"(*2) は新しい音作りを指向したアルバムとして時代を画しましたが,LRB の影響が濃厚に感じられます.

さて,このアルバムには14曲が収められているのですが,このアルバムに関してはお勧めを選ぶのに大変苦労するほど良質の曲が揃っています.強いてあげると第3曲の "Dime Store Rings",第5曲の "Wires and Wood",そして第9曲の "We Couldn't Tell" でしょうか.第11曲の "Darkness Wept" も素晴らしいです.

いずれにせよ,Lonesome River Band のこの最新のアルバムは,現代 Bluegrass の一つの頂点を表現するものです.録音は大変素晴らしく,昔のカントリーの録音のひどさに比べると,ここ10年ほどの音作りの丁寧さと洗練は隔世の感があります.

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2009/10/04

Eva Cassidyの隠れアルバム

Somewhere [Import] [from US] - Eva Cassidy

Eva Cassidy については,私の特別の思いを何度もこのブログで表明している (*1, *2, *3) のですが,それでも,まだまだ足りないのだということが,このアルバムを聴くとわかります.彼女がメラノーマで亡くなったのが1996年なのですが,このアルバムは何とその12年後の issue なのです.これは一体どういうこと?

アルバムの各曲を聴く限り,これまでのアルバムと同じ音源からピックアップしてコンパイルしたアルバムであることがわかります.過去のアルバムに収録し切れなかった曲を集めてアルバムにしたという感じです.伴奏やアレンジからおおよその判断がつきます.それでも,アルバムのとしての質はいささかも低くありません.これまでこれらの曲が世に出ていなかったということのほうが恥ずべきことでしょう.

第2曲の "My Love Is Like a Red Rose",第8曲の "A Bold Young Farmer" や,第9曲の "If I Give My Heart" は,もっと早く世に出しておいて欲しかったと思わせるに十分な曲です.そしてアルバムタイトルの第12曲 "Somewhere" は,素晴らしいの一言では尽きぬ魅力を持ったフュージョンの傑作.この曲をこれまで出さなかったというのは,どういう魂胆か疑いたくなります.

繰り返しになりますが,彼女が Washington D.C.Maryland というある意味特別な地区,カントリーやフォークに関しては僻地,でのみ活動し知られていたということが,実にもったいなかったという思いは今でも尽きません.もうほかに音源は眠っていないのでしょうね?

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2009/10/03

久々のEmmylou節は健在

All I Intended to Be [Import] [from US] - Emmylou Harris

Emmylou Harris 久々のオリジナルアルバムです.前回のアルバムは確か2003年に出た Stumble into Grace だったので,2008年にリリースされたこのアルバムまで実に5年のブランクがあった事になります.彼女の音楽性は,フォークとカントリーの中間のようなものですが,それがアメリカの土着的なもの,特に西部の乾いた風土に特有なものを加えているところが特徴だと思います.そして衰退し忘れ去られていくものたち(Native American しかり,開拓者たちしかり,風塵と共に去っていく自らの思い出しかり)に対する郷愁を歌い上げているように感じます.

声も唱法も独特なので,一度聴けば記憶にしっかりと刻み込まれる彼女の歌ですが,このようなアルバムを通して聴くと,あまりにもどの曲も同じように聴こえてしまい,かえって特定の曲が記憶に残らないということが起きます.以前このブログで紹介した CimarronRed Dirt Girl は,それらの中にあってはかなり特徴的なアルバムと思っていますので,機会があればお聴きください.

しかし,このアルバムはさすがに4年間ものブランクの後で出されたアルバムだけあって,大変充実した内容であることは間違いありません.長めの曲が13曲も入っているのですが,中でも私のお勧めは,第2曲の "Hold On",第4曲の "Broken Man's Lament",第5曲の "Gold",第12曲の "Sailing Round the Room",第13曲の "Beyond the Great Divide" くらいでしょうか.いずれにせよアルバム全体を通してスカの曲はありませんので,安心してお聴きください.

何と!このアルバムには LP アナログディスクがあるのですね!ここにリンクを張っておきます.

All I Intended to Be [12 inch Analog] [Import] [from US]

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2009/05/31

Susan Boyle 準優勝

先日このブログで紹介し,日本のテレビや新聞でも取り上げられて話題になったアマチュア歌手の Susan Boyle さんですが,日本時間の本日未明に,話題のきっかけを作ったイギリスのオーディション番組 Britain's Got Talent3rd Series の決勝戦が行われ,彼女は残念ながら優勝は逃したものの,第二位という栄冠を勝ち取りました.これに先立つ準決勝での歌唱が,緊張のあまりか良い出来ではなかったので心配していましたが,決勝戦では大変見事な歌いっぷり.予選から決勝までの詳細な星取表はこちら.それぞれのステージでの彼女のパフォーマンスは以下の通り,それぞれのダイジェスト版です.

Show 1(話題になった予選)

Show 8 (準決勝)

Show 13 (決勝)

優勝したダンスグループ Diversity のパフォーマンス

優勝発表シーン

彼女自身については Wikipedia の詳細な解説をご覧ください.特筆すべきはこの社会現象を分析している点.ここでは主として彼女の見かけと実力のギャップが大いに受けた点が強調されています.しかし深層では,Web 2.0 の時代の新しいスター創生システムが生まれつつあること,それが既存のシステムにとって脅威になりうることを,メディア関係者は敏感に感じ取っていることでしょう.

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2009/05/30

Alison KraussファンサービスのDVD

Hundred Miles Or More: Live From the Tracking [DVD] [Import] (2008) - 出演:Alison Krauss

Alison Krauss のスタジオ録音の DVD です.曲はほとんどが2007年のアルバム "A Hundred Miles or More: A Collection" から採られていますが,第5曲の "Shadows" のみはアルバム未収録のものです.このアルバムのレビューはこちら.曲と共演アーティストへのインタビューが交互に繰り返されますが,DVD のトップメニューで演奏のみ,インタビューのみと選択できるので,色々な楽しみ方が可能です.

Alison のファンを喜ばせるための構成であることは見え見えなのですが,もうちょっと深みが欲しかったと思うのは私だけでしょうか?例えばそれぞれの曲のパフォーマンスでは,もう少し共演者の手元をアップするとかカメラアングルに工夫が欲しい.またスタジオ録音の光景にしても,あまりに取り澄まして抑制的な態度のアーティストが映っているのが非常に不自然.もっと互いが目配せし合いながらリズムを取るとか,笑顔を見せるなどの自然さがあってしかるべきです.さらに言うと,スタジオにしては照明がヘン.まるで高級ホテルのスイートルームのような照明や調度品.いちおうマイクスタンドの下にはラグが敷いてはありますが,スタジオらしからぬ演出が過度だと感じました.

なお,録音とミキシングはお約束どおり Gary Paczosa でした.相変わらず完璧です.

全体としては大変楽しめるアルバム.豪華な共演者のパフォーマンスだけでも観る価値があります.Region Free の DVD なので,日本の DVD プレイヤーでも問題なく再生できます.

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2009/05/26

実力有り余るプロの新バンド

The Steeldrivers [Import] [from US] - The Steeldrivers(アーティスト)

The Steeldrivers は非常に新しいバンドです.デビューは2008年なのでつい昨年のこと.しかしメンバーのキャリアが若いかというとまるで正反対.彼らはSession Musicianあるいはスタジオ・ミュージシャンと呼ばれるアーティスト達で,Nashville のステージや録音スタジオで十分に経験を積んだ実力派ぞろい.彼らは声がかかるとステージやスタジオに出かけて行って請け負い仕事を行うプロ中のプロ.弁護士や会計士と同じです.

十分すぎる実力の割には顔や名前が売れるチャンスが少ないハンディキャップを負っていますが,しかし,彼らの顧客は一般リスナーではなくてプロデューサーや同業のミュージシャンたちなので,狭い業界では評判は十分に知れ渡ることでしょう.一方,演奏技術に高度なものが求められる割には,ルックス,立ち居振る舞い,個性,スターとしての華を求められることは無いため,それらを持ち合わせたミュージシャンは少ないのではないかと想像しています.この点で彼らがどのような位置にあるのか興味のあるところ.

このアルバムを聴くとまず非常に安定感のあるパフォーマンスを印象付けられます.スタジオ・ミュージシャンなので当たり前と言ってしまえばそれまでですが,まずは安心して聴いていられるところがポイントです.スカは一曲も無く,大変お買い得なアルバムと言ってよいでしょう.

次のポイントはヴォーカルの実力でしょう.これはメンバーの一人でギター弾きの Chris Stapleton という人が歌っているらしいのですが,ちょっとしゃがれた声質を張り上げる唱法が目立ちます.好みが分かれるところでしょうが,アルバム第一曲の "Blue Side of the Mountain" でいきなりこの唱法を印象付けられます.この曲で2009年の Grammy にノミネートされたそうですから,なるほどと頷くのも当然でしょうか.

最後のポイントは,先に述べた華の部分の有る無し.これは何とも難しい判断ですが,やはりそれほど強い個性は感じられません.華も・・・今はあまり感じられません.しかしこれから一つのバンドとして個性を磨いていけば,やがてリスナーの心を揺さぶる音楽を創ってくれそうな潜在力に満ちたバンドであることは間違いありません.あの Eagles も最初は Linda Ronstadt のバックバンドでした.

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2009/05/06

ブルーグラス女性ヴォーカルの星

Catch Tomorrow [Import] [from US] - Dale Ann Bradley(アーティスト)

いやぁ,驚きました.あまりぱっとしないおばさんが写っているジャケット写真.それなのに値段は他のカントリーの CD に比べるとずいぶんと高め.しかし評点は大変高い.どういうものかと思って Amazon.com でクリックして買い求めたものを聴いてみてビックリ.Dale Ann Bradley って素晴らしいヴォーカリストではありませんか!声質だけを取れば,好みもありますが,Alison Krauss よりも上かもしれません.なにせ Alison 自身が裏ジャケットで彼女に対して "Dale Ann Bradley is one of the most gifted vocalists bluegrass and country music has ever heard. She is a dream." と最大級の賛辞を贈っているくらいです.しかも,このアルバムのプロデューサーはかの Alison Brown,このブログで何度も取り上げた(*1 *2 *3 *4)インテリ女性バンジョーイスト.彼女のレーベル "Compass Records" からのリリースです.このような女性歌手がいたことを知らなかった自らの不明を恥じるばかりです.長年実績を積んだヴォーカリストのようで,ライナーノーツに自ら書いた文章の冒頭には "当年とって41歳,歌を歌って26年" というフレーズがあるくらいです.もう相当のベテランなのですね.2007年と2008年の "IBMA Female Vocalist of the Year" に選ばれていますので,これはもう最大級のお墨付きを得たということでしょう.

実に良い曲が多いです.フォークとブルーグラスで構成されたアルバムですが,ジャケット写真の通り,草原を風が寂しげに吹き渡っていくという風情の曲が中心です.このような哀愁を含んだ短調の曲に彼女の声は非常によく合います.唱法はテクニックを弄するわけでもなく淡々としたものですが,旋律を渡り歩くときにわずかに小節を効かせているのが特徴でしょうか.

第2曲の "Live Forever" は珠玉の一品.素晴らしいメロディーラインの一言に尽きます.第3曲の "Holding on to Nothing" は Marty Raybon との美しいデュエット.第6曲の "Memories, Miles and Tears" も素晴らしい曲ですが,これは彼女自身の作曲.曲作りの才能もなかなかのものですね.第9曲の "Grandma's Gift" も彼女自身が作曲の佳作です.有名ミュージシャンも伴奏やハーモニー・ヴォーカルで参加しています.私は特に第11曲の "When the Mist Comes Again" で Irish Folk のバンド LúnasaTim O'Brien らとの競演をしているのが非常に気に入りました.Lúnasa は日本での Tim O'Brien のコンサートで競演しているのを聴いたことがあります

とにかくお勧め!また素晴らしい女性ヴォーカリストにめぐり逢えて私は大変幸せです.

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2009/05/05

実力派の新作アルバム

Call Me Crazy [Import] [from US] - Lee Ann Womack(アーティスト)

Lee Ann Womack はカントリー女性歌手の中でも安定した実力を持った叙情派の一人に数えられます.私のお気に入りの歌手の一人なので,この望湖庵日記でも過去に2度ほど(*1 *2)取り上げており,特に私は彼女のデビューアルバムである "Lee Ann Womack" が大好き.彼女の唱法は,わずかにざらついた声の質の良さもさることながら,声の転がし方というのでしょうか,声を自在に操れるところがすごい.しかもその声を叙情たっぷりに歌い上げてくれるものですから,たいていの人は好感を持って聴くことができるでしょう.彼女の歌にはスティールがよく似合いますね.

このアルバムは彼女にとってはほぼ3年ぶりのアルバムとのことなので,待ち焦がれていたファンも多いことでしょう.内容は大変充実しており,全曲を安心して聴いていられます.叙情感たっぷりの情感表現はこの人ならではのもの.思わずうっとり聴き入ったりすることも多いと思います.私のお勧めは,第1曲の "Last Call".聴感神経にまとわり付くようなねちっこさの無いさらさらした情感表現が見事.第9曲の "If These Walls Could Talk" はいかにも彼女らしい素晴らしく叙情的な名曲."King of Country" ことGeorge Strait とのデュエットの第10曲 "Everything But Quits" もヴォーカルのハーモニーが美しい曲です.最終第12曲の "The Story of My Life" も大変素晴らしい締めの一曲.

ふだんカントリーを聴かないという人にも自信を持ってお勧めできます.

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2009/04/17

この天使の歌声を聴け

おそらく今週世界で最も有名になった女性はこの人,Susan Boyle,47歳,失業中.4月11日に英国はグラスゴーで収録されたテレビ番組 "Britains Got Talent" の Series three の初回で見事な歌声を披露した女性.一見ものすごくダサいおばさんで,三人の審査員たちも最初は半信半疑で相手をしており,きっと笑いを取るためのエントリーだと思っていたらこれが大間違い!最初の一小節を聴いただけで彼らの顔色が変わります.まさに天上の天使の歌声.彼女が歌ったのはミュージカル "Les Misérables" の中の "I Dreamed a Dream".三人の審査員全員が YES と判定.客席は歌っている最中から総立ちの喝采で彼女を讃えました.

まずはここをクリックして,彼女のパフォーマンスを堪能してください.(このリンクはすでに切れているのでこちらをご覧ください.HD画質で見ることができます)

この "事件" はイギリス中で大変な評判になったらしく,早速 BBC が自宅取材のインタビューを流しています.一躍時の人ですね.それにしても素晴らしい歌声.プロフェッショナルではないごく一般の素人の中にも,素晴らしい才能が埋もれているのを発掘することが出来たことで,このようなオーディション番組に対する評価は当分維持されることでしょう.

驚いたことに,すでに Wikipedia には彼女についての詳細な解説がアップされています.まだ書かれたばかりなので,これから多少の修正が入るとは思われますが,この早さはさすが Web 2.0 だけのことはあります.

さらに驚いたことに,上に記した "Britains Got Talent" や "Les Misérables" の解説記事に,すでにこの Susan Boyle のパフォーマンスのことが書かれているのです.彼女がステージで歌ったのは4月11日なので,まだ一週間も経っていません.なんという早さ!なんという世界同時性!本当に地球は一つということを実感させられた出来事でした.

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