音楽

2023/04/28

音楽ライブラリを再構築

私はパソコンを使い始めた直後から音楽 CD をパソコンで鳴らすということをやってきました.当初はパソコンの CD ドライブを単に CD プレイヤーとして使っていたのですが,そのうち CD のデータをリッピング(デジタルデータとして取り込み圧縮する)して,それをパソコンのソフトウェアで並べ替えたりプレイリストを作ったりして楽しむということをやってきました.

その間いろいろな音楽再生ソフトを試しながら,最終的には Windows 標準の Windows Media Player (WMP) を使って Windows Media Audio (WMA) というコーデックでリッピングし,それをそのまま WMP で再生していました.

しかし Windows 11 になってから Microsoft は WMP の開発をやめ, Media Player という非常に中途半端なソフトを推すようになったので,どのソフトに乗り換えたらいいのか再び試行錯誤を繰り返していました.

ここ一年ほどは foobar 2000 という有名なソフトを使ってみたのですが,あまりに自由度が高すぎ,カスタマイゼーションの手間がかかりすぎて困っていました.またこれ単体ではリッピングもできません.

と,そこへきて今回 MusicBee というソフトに出会い,これなら使えるのではないかと思って使い始めました.カスタマイゼーションの自由度は高いのですが,それでも foobar 2000 に比べればある程度の骨格は固まっているので悩むことはありません.リッピングの能力は十分ですし,プラグインを使えば歌詞を表示することもできるので,英語の歌詞を聴き取る練習も可能です.

Reconstructing_music_library

さらにこれを機にコーデックを人気の薄い WMA から汎用性が高い MP3 に変更しました.しかし,ということは,全楽曲をリッピングしなおさなければならないということです.リッピングしたデータはパソコン以外にも宅内 2 か所のオーディオ・プレイヤーで使いますし,クルマの車載プレイヤーでも聴くので,そのフォーマットの選択は重要です.

昨日から手持ちの CD 数百枚のリッピングを始めました.おそらく完了するまでには 2 週間ほどかかると思いますが, 30 数年前から買い続けた CD 一枚一枚を改めて聴きなおしてみると新たな発見があり,これは時間をかけるだけの価値があると思い直しました.

CD の中にはカビが生えていたり,アルミ蒸着層が腐食を始めているものもあったので,そういうチェックをするよい機会にもなりました.現在では CD を買う人は少なくなり,ストリーミングで音楽を聴いたり,アルバムの中の好きな曲だけを MP3 で購入したりというスタイルが流行っていますが,しかしかつてのバイナル盤 LP を模したジャケットライナーノーツを持ち,全楽曲を合わせたアルバムで一つの作品として作られている CD の魅力を捨て去ることはできません.

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2022/09/08

Willie Nelson 珠玉のデュエット集

3 年ほど前の Willie Nelson のアルバムの紹介でもちらっと言及していたのですが,今日は改めてこのアルバムを紹介したいと思います.Willie Nelson のアルバムには従来から女性歌手とのデュエット曲が多く収録されているのですが,このアルバムは女性カントリー歌手とのデュエット専門.それも全部で 18 曲も収録されているという大変お買い得なアルバムです.録音やミキシングも優秀で,何の心配もなく曲の流れに身を任せることができます.

リリースは 2013 年なのでもう 10 年近く前のアルバムなのですが,いつ聴いても良いものは良い.Willie Nelson の優しく端正な歌声が,さまざまな味わいを持った女性歌手の歌声と交わり,溶け合い,絡み合って,あなたの官能を刺激すること間違いありません.

私が特に気に入った曲は,第 7 曲,Carrie Underwood と歌った “Always on My Mind”.アレンジも非常に良いと思います.Taylor Swift のスーパースターぶりの陰に隠れて目立たなくなった Carrie Underwood ですが,歌唱力は American Idol 優勝とグラミー賞の実力.申し分ありません.

第 5 曲,Sheryl Crow と歌った “Far Away Places” も良いです.Sheryl Crow の全く衰えを感じさせない歌声が素晴らしく,夜遅く,できれば深夜に,部屋を暗くして聴くのにぴったり.

第 8 曲の Loretta Lynn とのデュエット “Somewhere Between” は, Loretta 節がたっぷりと楽しめる逸品.Loretta も衰えていませんねぇ.ありがたいことです.いったいいつ録音したのでしょう?昔の録音の再利用かもしれません.Loretta は今年 90 歳になっているはずです.

第 14 曲の Lily Meola というシンガーは初めて聴きましたが,まだ若いのでこれからが楽しみ.情感表現を磨けばヒットしそうです.調べてみると,彼女は America's Got Talent の出場者.ハワイはマウイ島出身.Willie Nelson がマウイ島に住んでいた時期に発掘されたのかもしれません.

第 17 曲,自身の娘の Paula Nelson と歌った Creedence Clearwater Revival の往年の名曲 “Have You Ever Seen the Rain” も良いです.ゆったりと物憂い雰囲気で歌うのですが,原曲を高校生時代に浴びるほど聴いていた者にとっては,これも一つのアレンジかと思いました.

一方,第 9 曲の Alison Krauss とのデュエットは,彼女の良さが十分に生かされているとは言えず,残念な印象.ラテンの曲の雰囲気が向いていなかったか?

ま,とにかく買って損はしませんので,ぜひ聴いてみてください.

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2021/02/27

梅は咲いたか桜はまだかいな

昨日は終日曇天で肌寒かったのですが,家人が用があるというので近隣の自然公園を訪れました.まだ春には遠く,ちょうど冬と春の端境期に当たっているようで,冬のものはそろそろ終わったものの,春のものはまだもう少し先という感じでした.それでも早産みで知られるアカガエルの卵塊はありましたよ.

葉を落とした広葉樹の林の中では小鳥たちがちらほら.エナガマヒワメジロコゲラシメなどが飛び交っていました.また遠くではオオタカの声が聞こえましたが,そろそろ繁殖期かな?

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公園の駐車場に隣接する梅林では,ウメが五分咲きといったところでしたが,光が悪くてあまり良い写真が撮れませんでした.今頃の季節にふさわしいのは,明治に流行った江戸端唄の「梅は咲いたか,桜はまだかいな」でしょう.梅や桜はそれぞれ芸妓を指しているそうですが,そこまで想像力を働かせなくとも十分に楽しめます.「しょんがいな」というのは「しょうがないな」を端折った言い方なのでしょう.いくつかのパフォーマンスを YouTube から引っ張ってきました.

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2020/11/03

いよいよ投票

4年に一度のアメリカ大統領選挙の投票が開始されようとしています.今回も非常に予測しがたい状況のようで,ふたを開けてみないと何とも言えないというのが正直なところでしょう.

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chayka1270によるPixabayからの画像

私は前回2016年の投開票のまさにその時に仕事でアメリカに出張中だったのですが,南部の某地方都市のホテルで,時差で眠れないのをいいことに夜通し放送されていた開票速報を見ながら,まさか嘘だろ!と思いながらドナルド・トランプ氏の当選を目の当たりにしたことを思い出します.

それにしてもアメリカ社会の分断はここへきて一気に進みました.これはもちろんドナルド・トランプ氏自身が分断を煽ったことに大半の責任がありますが,しかしアメリカ社会の底層では元々分断があり,20年以上前からアメリカのバルカン化などと言われていたのですが,それが誰はばかることなく煽られ顕在化してきたというのが本当のところではないかと思います.

私が就職してすぐのころ,会社で雇った英語教師と一緒に飲みに行ったとき,好みの音楽の話になり,私がスティーヴィー・ワンダーが好きだと言うと,白人の彼は「黒人の音楽は聴かない」と明確に否定したのを聞いてびっくりしたことを思い出します.さらに後年カントリーやブルーグラスに親しむようになって気が付いたことには,コンサートの DVD を見ても聴衆の中に黒人は一人もいません.少なくとも大衆音楽に関する限りアメリカは昔から分断されていたのだと思います.白人教会と黒人教会とがあまりに違うことも分断の事実の一側面を表していると感じます.

一方,カントリー出身で若者に絶大な人気を誇るテイラー・スウィフトは,今回明確に民主党候補への支持を明らかにしました.白人保守層が顧客のほとんどを占めているカントリー界には多少のさざ波が立ったことでしょう.同じことがブッシュ(子)大統領時代にイラク侵攻を非難したカントリーの人気女性トリオディクシー・チックスにも起こり,このとき彼女たちは多くのカントリーラジオ局からボイコットされるという屈辱を味わいましたが,めげずに反撃を続けました.このようにアメリカ社会の分断にアーチストたちも翻弄されてきた歴史があります.

今回,民主党のバイデン氏は社会の分断を良しとせず,社会の統合を掲げて選挙活動を行っているように見えます.それが成功するのか,それともトランプ氏が煽る分断がますます進むのか,私は大変興味深く見守っています.

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2019/10/01

晩年になっても珠玉の作品

Let's Face the Music and Dance [CD] - Willie Nelson & Family

数年前に買って時々聴いてはいたのですが,PC用のデスクトップ・スピーカーで聴くだけだったので,久しぶりにアンプとスピーカーを通して聴いてみたら,うーん,しまったと思いました.もっと早くから聴きこんでおくべきでした.私は Willie Nelson は大好きなアーティストの一人なので,アルバムも10枚以上持っていると思いますが,その中でも上位に入る出来だと思います.

2019年現在御年86歳のはずですが,80歳代に入ってから作ったこのアルバムでも,Willie の端正かつ繊細でやさしい声は健在です.昔のスタンダードナンバーをカバーし,かつ大変リラックスした感じのダンスミュージック風にアレンジしてあるので,素敵な相手と踊るにはもってこいです.こういう歌声に包まれてダンスしたら気持ちがいいでしょうね.同じ年に,カントリーの女性歌手とのデュエットアルバム “To All the Girls...” もリリースしており,こちらも出色の出来です.今年も新しいアルバムを出しているようなので,ファンとしてはまだまだ楽しめそうです.

私はカントリー歌手としての Willie Nelson を聴いてきたのですが,音楽性の幅は大変広いので,なかなか一つの枠には収まり切れません.それがこの歌手の魅力ですが,彼のヒッピー的なスタイルは従来の保守的なカントリー界からはうさん臭く思われていたはずです.しかし,金髪の三つ編みの外見とはうらはらに,ギターと歌唱のレベルの高さ,音楽性の高さは疑いようがなく,また今や伝説となった愛用のギター “Trigger” (*) とともに,これからもファンに愛されていくのだと思います.

本アルバム中,私が最も気に入った曲は,第3曲の “You'll Never Know”.大変ロマンチックな曲で,深夜に聴くにはもってこいです.お勧め!

(*) Martin N-20 ナイロン弦のクラシックギター,これにピックアップを付けて演奏するのが Willie Nelson のスタイル.

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2018/07/07

Gentle on My Mind が出色のでき

WINDY CITY [CD] - Alison Krauss

本当に久しぶりに音楽 CD のレビューを書きたいと思います.今回は昨年発売の Alison Krauss の久々のアルバム “Windy City” です.ここ数年間は AKUS としてのアルバムを出しておらず,ファンとしては音楽性の変遷も感じられて大変気になるところではあるのですが,しかし AKUS としてのツアーは毎年精力的に行っています.スケジュールを見ると全米をくまなく回っており,非常にタイトなものです.これはものすごい負担になっていると想像します.まあ,AKUS くらいの大物になると,ミュージシャン自身は悪臭漂うツアーバスではなくて,ビジネスジェットで移動しているかもしれませんが,スタッフと機材は当然ツアーバスでの移動でしょう.アメリカのステージミュージシャン稼業は過酷ですね.

さて,このアルバムはブルーグラス色を抑え,どちらかというとカントリー・バラード風の曲が多く,ニューグラスの旗手の復活を願うファンとしてはちょっと残念.また,レーベルが Rounder ではなく Capitol に替わっています.しかし,収録された曲はいずれも素晴らしく,安心して聴いていられるものばかりです.録音エンジニアはまたしても Gary Paczosa のようで,これも安心できる要因の一つ.

実は私が最も気に入り,繰り返しそればかり聴いているのは第7曲に収録された少し古めのスタンダードナンバー “Gentle on My Mind” です.オリジナルは Glen Campbell でしたね.とにかく曲のアレンジが素晴らしく,この曲にはこういう魅力があったのかと再発見させられること請け合いです.特にピアノの間奏がとても素敵です.

アルバムタイトルになっている第3曲の “Windy City” と,第1曲の “Losing You” も素晴らしい曲です.これら2曲がこのアルバムの性格をよく表現していると言ってもいいくらいだと思います.Alison Krauss のヴォーカルは全く衰えを知らず,実に安定した美しさを保っています.いったいどれくらいのヴォイストレーニングや日常生活の節制を強いられているのか知る由もありませんが,とにかく天使の歌声は今も健在です.

私としては,そろそろ AKUS 本来のニューグラスのアルバムが欲しいところです.“So Long So Wrong” や “New Favorite” のような名アルバムが再びリリースされることを願っています.

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2016/07/18

夏の欧州は野外音楽のシーズン

先週は再び北イタリアへ行っていたのですが,もう夏休みが始まっていて,観光地はどこも大賑わい.私が滞在したのは比較的小さな世界遺産の街なのですが,街の中心部には大きな広場があり,そこで日暮れ時から野外コンサートが開催されていました.その日のオーケストラはスイスのチューリヒからやって来たそうで,そういえば乗り継ぎの空港には楽器を抱えた人もちらほらいましたっけ?

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こういう音楽や舞踏の生のコンテンツを身近に楽しめるところが欧州の良いところの一つです.歴史と文化の厚みが違います.どんなに優秀なオーディオ機材を揃えたとしても,生のコンテンツに接する機会があるのとないのとでは,その人のセンスや鑑賞眼の磨かれ方に差が出てくるのは当然でしょう.子供のころから,こういう一流の生のコンテンツに触れて育つ環境にある欧州から,一流の芸術家が多く出てくるのは必然のような気がします.

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2014/06/15

ブルーグラスのもうひとつの頂点

Memories & Moments [CD, Import] - Tim O'Brien & Darrell Scott

Tim O'Brien は日本でコンサートを聴きに行ったこともありますが,ブルーグラス界では最も脂が乗りきったベテランの一人といっても良いでしょう.このブログでも過去何度か紹介しています(*1 *2).とにかく,曲作り,演奏,歌唱の全てをオールラウンドにこなし,しかも驕ったところや有名人ぶるようなところが全くない,実に誠実な人柄に好感が持てる人です.

一方の Darrell Scott という人は,実は私はこのアルバムで初めて聴くのですが,カントリー系のミュージシャン,しかも超一流のセッション・インスツルメンタリストのようです.Tim O'Brien も多種類の楽器を高度なテクニックで危なげなくかつ飄々と弾きこなす人なのですが,彼にアルバムのパートナーとして選ばれていることから判断して相当な実力を持った人であるのでしょう.
アルバム全体を聴いていると,男声のハーモニーが実に心地よく感じます.Darrell Scott 自身がソロで歌う小節もあるので,彼自身の声もよく確認できます.Tim O'Brien の端正でのびやかなテノールと比べると,微かにしゃがれて泥臭さを感じさせる声質ですが,しかし歌も非常にうまい人であることがすぐにわかります.

演奏は二人とも超一流なので全く安心して聴いていられます.テクニックをひけらかすようなことは一切ないのですが,しかし安定した,かつ適度に情感表現を含む演奏は超一流のプロの仕事のレベルを見せつけられる思いがします.ブルーグラスのもう一つの頂点がここにあるといっても過言ではありません.

録音とミキシングの質が高いことも付け加えておきましょう.ピュア・オーディオの機材でじっくりと聴くに値します.こういうところが現代のブルーグラスらしくて好きです.とにかくおすすめのアルバム.ただしライナーノーツが付いていないので,詳しいことはこのサイトでお確かめください.ついでに動画もつけておきます.

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2014/06/01

Ron Block 久々のアルバム

Walking Song [Import] - Ron Block

もう音楽アルバムのレビューを久しくサボっているのですが,音楽を聴いていないわけでも,アルバムを買っていないわけでもないのです.しかし何というか,以前のようにワクワクしながら新しいアルバムのレビューを書くという気分になれないのです.倦怠期ですかね?

さて,Ron Block といえば知る人ぞ知る AKUS のバンジョーやギターの顔であり,かつ非常に優れたソングライターです.だいぶ前になりますが,このブログでもソロアルバムを紹介しています(*1 *2).特に,最初に紹介したアルバムは今でもニューグラスの金字塔と言える出来です.このような人が地味に埋もれているのは本当にもったいない.

で,今回のアルバムですが,前作でブルーグラスからやや距離を置くような路線を試したのですが,今回のアルバムでは再びブルーグラスに回帰.曲のほとんどは自らの作曲.詩を書いたのはアメリカの女性詩人 Rebecca Reynolds という人らしいですが,とにかく Ron Block の曲作りの才能を改めて見せつけられるアルバムに仕上がっています.

ライナーノーツを読むとびっくりするのですが,ブルーグラスのスターたちが多く共演しています.あれ?このフィドルはひょっとして,と思って確かめると Stuart Duncan だったり,このハーモニー・ヴォーカルはやっぱり,と思って確かめると Alison Krauss だったりします.さらに AKUS のメンバーは総出演.AKUS は互いのアルバムに脇役で参加する場合が非常に多いのですが,それも Alison Krauss のようなスーパースターが地味に入るところがブルーグラスらしくて非常に好ましく感じます.大御所 Dolly Parton が多数のブルーグラス女性歌手のアルバムにひっそりとハーモニー・ヴォーカルで入ったりしていますから,これは業界全体の傾向なのでしょう.

第1曲は非常に美しい曲で冒頭から引き込まれます.Kate Rusby とのデュエット.第5曲も非常に素晴らしい曲であり,かつ Ron Block らしい曲だと言っても良いと思います.これも Kate Rusby とのデュエット.この人の歌声は素晴らしいですね.今度アルバムを買ってみましょう.第6曲は AKUS にアルバムに入っていたとしてもまったく違和感のない曲で,Alison Krauss がハーモニー・ヴォーカルを務めています.

特筆すべきは第9曲.ライナー・ノーツを読むまで気が付かなったのですが,なんと,Sierra Hull がマンドリンを弾いています.ハーモニー・ヴォーカルは AKUS の仲間 Dan Tyminski です.豪華ですね.曲相も非常に Ron らしくて良いです.第11曲にはドブロの Jerry Douglas が登場しますが,曲が美しすぎてドブロの泣きが十分に生かせなかったのが残念.

これ以外にも素晴らしい曲がひしめいています.とにかく,現在のブルーグラスの水準を図る指標としても聴いておくべきアルバム.ぜひお試しください.

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2013/04/02

7年目も乾いていたAmos Lee

Mission Bell [Import] - Amos Lee

Amos Lee の最初のアルバムは2006年4月にレビューをしていますが,それからもう7年も経ってしまいました.映画のタイトルではありませんが,7年目の何々というのは,ちょうどその時間の長さが何かを変えてしまう,忘れてしまう,あるいは次の何かを始めてしまう,そのような時の長さを意味しているのでしょう.

そしてこの人 Amos Lee ですが,あまり多作な人ではなさそうです.今回のこのアルバムは 2011 年のリリース.最初のアルバムが 2005 年のリリースなので,彼自身にとってはその間に 6 年が経っているのですが,しかし一聴してみてわかるのは,そのような時の流れをほとんど感じさせないというものです.

乾いたサウンドは相変わらず.声の質もほとんど変わっていないように感じます.普通はデビューから 10 年間ほどは,スタイルや音楽性が試行錯誤を続けて落ち着くべきところを探してさ迷うのが普通だと思うのですが,この人の場合はまだそこまで行っていないのか,あるいは初めから自分のスタイルに自信を持って変えようとしないのか,その辺りは良くわかりません.

このアルバムの聴きどころは最後の 2 曲にあります.11 曲目は Lucinda Williams とのデュエット.そして最後の 12 曲目は何と Willie Nelson とのデュエットです.これらの曲を聴くと,このアーティストの類い稀な才能を改めて思い知らされます.特に最後の曲は,アルバムの最初の曲の再録でもあり,アルバム全体が一つの輪のように閉じる,ということを示唆しているように思えます.それも表裏が捻られたメビウスの輪のように.

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