日記・コラム・つぶやき

2024/01/01

謹賀新年 2024

Newyeargreeting_2024

明けましておめでとうございます.皆様にとって昨年はどのような一年だったでしょうか?私も昨年を振り返り,今 年の展望について思うところを書いてみたいと思います.

昨年は新型コロナウィルス SARS-CoV-2 によるパンデミック COVID-19 はようやく収まり,マスク無しでの生活が戻ってきました.ただし会議室や通勤電車の中では今でもマスクをするのがマナーとなっているようなので,外出するときにマスクは手放せません.私自身に関しては元々田舎で引退生活を続けているので,マスクをするのは病院へ行くときやスーパーマーケットへの買い出しのときくらいのもので,パンデミック時からマスク無しの生活を続けています.皆様はマスクとの付き合いはどうされていますか?

昨年は引退 6 年目でした.産総研での派遣の仕事を続けており,順調にいけば今年 4 月からの新年度も週 2 日の勤務を続けることになると思います.仕事の内容は少しずつ変化していますが,おおむね若いころからの専門分野内の仕事なので,楽しみながら働いています.難があるとすれば朝晩の通勤時に渋滞に巻き込まれることで,特に夜の車の運転はストレスの元です.田舎の道路は明るい照明が無い割には交通量が多いので,ギラギラしたライトに目を眩まされながら,歩行者や自転車がいないか注意して運転しなければなりません.特に雨が降っていると最悪です.


日課となった学び直しは,独習に限界を感じながらもよたよたと進展中です.昨年はまずちょっと変わった量子力学の教科書を読んでみました.うたい文句が「シュレーディンガー方程式を解かない量子力学の教科書」ということでちょっと期待していたのですが,残念ながらハズレ.密度行列を公理の中心において理論を組み立てていくのですが,わかっている人向けの教科書で,初学者向けではありませんでした.それでも「同時測定」の定義と意味を厳密に与えてある箇所は非常に参考になりましたし,エンタングルメントの部分も同様によかった.しかしスピンの章は説明が簡潔すぎてついて行けず,グリーソンの定理以降はわかっている人向けの簡潔な説明で,私には歯が立ちませんでした.

気を取り直して今度は以前から興味があった量子力学の諸解釈を俯瞰的に扱った本を読んでみました.こちらは厳密な論理を展開するのではなく,各種の解釈の本質的な部分を概説するものなので,比較的気軽に読み進められます.基本的な対立軸はコペンハーゲン解釈実在論的解釈です.直感的には実在論的解釈を支持したいのですが,実験結果が示すのはコペンハーゲン解釈.それを何とかなだめて実在論的解釈に引っ張ろうと多くの物理学者たちが苦闘してきたのですが,形勢はなかなか不利です.コペンハーゲン解釈は実用性の高さもあってその地位は揺らいでいません.私自身のぼんやりした感覚では,因果律の制約を取り外すことができれば,実在論的な解釈が可能になるようか気がします.過去が未来を決定するのではなく,過去も未来も互いに影響し合って現在を作っているという考え方です.因果関係は生物の意識が作る幻想ではないかと.

昨年の夏の終わりころ,ひょんなことから中生代の翼竜に興味が湧いて論文を読んでいるときに鳥の飛行を扱った教科書があることを知り,さっそく購入して読み始めました.航空学を鳥の飛行に応用したものですが,工学だけではなく,骨格や筋肉などの解剖学,筋肉の生理学などを学際的に網羅している稀有な本だということがわかりました.自分だけ読むのはもったいないと思い,日本語への翻訳を試しに始めたところ,まんまと沼にはまり込んでしまい,ヒマさえあれば読んでは翻訳という生活を続けています.このため他の物理の教科書は現在おあずけになっています.原書で 500 ページほどのかなり長い本なのでまだ半分も訳せていません.またすこし長めの訳者注も挿入しています.これは本文のわかりにくい部分を補足するのが主な目的ですが,私自身の考え方を述べる機会にもなっています.日本の出版社に出版を打診しているのですが,断られ続けています.私としては印刷製本せずに電子出版で良いと思っているので,どこかの出版社が手を差し伸べてくれないかなあ?翻訳作業では初めから LaTeX を使い,ハイパーリンクを張りまくっていますので,電子出版でなければ十分にその価値を発揮できません.まあ現実にはこのままボツになってしまう可能性が高いと思いますが,私としては今年前半までには翻訳を完成させたいと思っています.


健康面では尿路結石の再発は無し.コレステロールの値も正常値の範囲内です.平穏な一年間でした.白内障も経過観察中.進行が遅いので医者も手術しましょうとは言い出せないようです.いずれは多焦点眼内レンズを入れたいと思っているのですが.

ところで一昨年に続いて昨夏もダイエットを敢行したおかげで,秋の定期健診では体重や腹囲は正常範囲のままでした.ただし血圧が高めだったのは不本意.ダイエットのコツはわかってきたので,今年も基礎代謝が落ちる夏場には実行しようと思います.


趣味の写真については夏前に APS-C のミラーレス一眼を買ったのが変化点ですが,これに取り付ける超望遠ズームをどうしようかと迷っているうちに他のカメラに目移りしてしまい,非常に中途半端な状況に陥っています.日常的には相変わらず SONY の高倍率ズーム・デジタルカメラを使っています.年を取って腕力が衰えていると思うので,いまさら一眼用の大きく重い超望遠ズームを振り回すことができるのか?値段も高いし.非常に迷っています.

一方,昨年は良い知り合いに恵まれて,近海航路で海鳥を見ることができました.一回目は低気圧の通過後で波が荒かった三宅島航路.アホウドリ 3 種をコンプリート.帰路では東京湾内で カツオドリ の漁を見ることもできました.二回目は大洗ー苫小牧航路.これは長時間の二泊二日の船旅でしたが,クロアシアホウドリを飽きるほど見ることができましたし,カマイルカの群れにも何度か遭遇しました.ミズナギドリ類もたくさん見ましたが,識別がなかなか追いつきませんでした.今年はもう少し頻度を上げて鳥見に励みたいと思います.


PC のハードウェアを昨春に更新しました.CPU を当時最新の 13700K にして空冷で頑張っています.ただしビデオカードは取り付けていません.ここ2年ほどでハードウェアの価格が2倍ほどに上がり,とくにマザーボードの値上がりには困り果てました.昨春の更新では,ピンポイントで希望のスペックかつ安価なマザーボードが発売されたので飛びついたのですが,来年あたりに次の更新をおこなうときに,手ごろな価格でマザーボードが入手できるのか非常に不安です.冷却は空冷を堅持したいのですが,巨大なクーラーは巨大なケースを要求するので,これもどうしたものか.もういっそのこと自作は止めて,超小型のデスクトップに移行してしまうのも手かなと思い始めています.

OS に関しては Windows 11 を 1 年以上使い続けていますが,特に大きな不満はありません.気嚢や安定性は十分ですし,新旧のアプリケーションも問題なく走ります.昨年は生成 AI が爆発的にヒットして,生成 AI が作った架空の美人の写真集まで発売されたのですが,ちょっと触った限りではまだまだ完成度に難ありです.この記事の最初に年賀状の図案を載せましたが,これは実は生成 AI に作らせたものです.なかなか希望通りのものが出来なくて難儀しました.今後少しずつ改善されていくのでしょうが,質にこだわると実用化はもうちょっと先のような気がします.

昨年は仕事の上で必要になったため,とうとう Python を使い始めました.しかしライブラリの管理やパッケージへの依存度合い,またメソッドの統一感の無さなどに戸惑っています.まるで建て増し建て増しで大きくなった山あいの温泉旅館のよう.ついRuby と比べたくなるのですが,Ruby の簡潔さに比べると言葉数が多くかつパッケージごとの訛りが強いという印象です.たいていのことはパッケージからメソッドを拾ってくれば出来るようになっているところはさすがなのですが,Web 上で検索してコードの断片を切り張りするとコーディングが完成するというスタイルは好きではありません.ま,しかし仕事で必要な最小限のリテラシーは身に着けたいと思います.

翻訳に明け暮れているせいで,読書はそれ以前に読んだ本で止まっています.面白かったのは塩野七生さんのベネチアに関する本.ルネサンス著作集の中の上下 2 巻を Kindle で読みました.この政治的にも経済的にも特異な都市国家が,どのように発展し衰退していったのかおおよその感じをつかむことができたと思います.やはりアドリア海貿易から抜け出せずに強大化するオスマントルコの影響をもろに受け,大航海時代に大西洋に出ていけなかったのが致命傷だったと思います.しかし政治体制としてはなかなか良いものを持っていたのではないかとも思います.

再びベネチアを訪ねてみたいとの思いは強いし,ベネト州のおいしいプロセッコ(発砲ワイン)も飲みたいのですが,コロナ明けの観光ラッシュはすごいらしく,私のような貧乏旅行者にはなかなか近寄りがたい雰囲気です.また周辺の島々にも行ってみたい気がします.映画「ベニスに死す」の舞台となったリド島にはぜひ行ってみたいです.


昨年観た映画は本数が少なくてたったの 41 本.その中で何を上げるかというと,ジュディ・ガーランドの晩年を描いた「ジュディ 虹の彼方に」がいち推しです.あの「オズの魔法使」の主役を演じて大スターになったものの,ハリウッドに心も体も蝕まれて晩年は幸せだっとは言い難い人生を,レネー・ゼルウィガーが見事に演じました.しかも全ての歌唱シーンを吹き替え無しで彼女自身が歌っています.これは見もの聴きものです.華やかさの影にこんな悲しい物語があったなんて.芸能界あるあるの一つなのかもしれませんが,ハリウッドのいやらしさや闇の部分も垣間見た気がします.彼女のエピソードは NHK の映像の世紀でも取り上げられていました.MGM の社長から強烈なセクハラを受けていたことも.

もう一つ印象深かった映画は,ウィンストン・チャーチルの伝記映画「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」です.これと併せて NHK の映像の世紀でもチャーチルのことを学びましたが,非常に特異な政治家だとわかりました.一言でいうとヒットラーと対決し打ち負かすことに特化し,そのことに生きがいを感じていた政治家でした.それ以外の政策は成功したとは言い難く,今日のパレスチナの混沌もイギリスが蒔いた種で,チャーチルにも責任の一端があります.ただしヒットラーにだけは完勝した.イギリス国民は結果的にはチャーチルに感謝すべきだったのでしょう.下手にヒットラーと講和などしないで本当に良かったと.戦時に強い政治家でしたが,平時には向かず,また長期的な世界観や歴史観を持っていたかというと疑問に思います.それがよくわかる映画でした.

翻って,ロシアの侵略に対して徹底抗戦を続けているウクライナですが,いつまで人命の損失と国土の荒廃に耐えていくのか,指導者たちの胸の内はなかなか読めません.しかしチャーチルと同じくゼレンスキー氏も,結局はアメリカ頼みの抵抗を続けるしかないのが現実です.かたやロシアは僻地の低所得層を徴兵して戦場に駆り出す一方で,都市部の富裕層は今でも海外旅行三昧.どのように戦争に決着をつけるべきか,チャーチルのエピソードは参考になるのかならないのか,考え出すと悩みは尽きません.


今年は引退生活の 7 年目に入ります.旅行に出かけたり人との交流を増やしていきたいと思っています.そのためにお金も使うつもりです.生きているうちに使わねば.皆様も健康第一でお過ごしください.どうかお元気で.

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2023/08/23

ガソリン価格

ガソリン価格の高騰がニュースで頻繁に取り上げられています.しかしガソリンの価格は地域差が大きく,また各種割引やポイントなどの利用によっても変わるので,ニュースで見るような都内の価格が平均的かどうかは大いに疑問です.

日本では輸入された原油は,瀬戸内と太平洋側にしかない製油所でガソリンに精製され,そこから内航船の小型タンカーかタンクローリー,あるいは貨車で石油元売会社の油槽所に運ばれます.そこからさらにタンクローリーに積み替えて各ガソリンスタンドに配送されるという仕組みです.

製油所がない都道府県のほうがずっと多いので,そういう地域では輸送コストが上乗せされます.特に島しょ部が多い県の島内では多重の輸送コストがかかるので,小売価格は高くなってしまいます.また価格競争の多寡も小売価格に反映され,業転玉を扱うガソリンスタンドが近くにあるような場所では,小売価格は低めになります.

今日,一月以上ぶりにガソリンを入れたのですが,石油元売のクレジットカードを使い,さらにスマホアプリの QR コード割引を使って 168 円/L でした.さらにドコモの d ポイントも付きます.ついでにルーチンとしてタイヤの空気圧もチェック.皆さんがご利用のガソリンスタンドではおいくらくらいでしょうか?

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全国のガソリンスタンドの価格情報は gogo.gs というサイトでまとめてみることができますので,ここで下調べをするのはありです.

ちなみに私が乗っている最新型のハイブリッド車では,夏場のエアコン常時稼働状態での実燃費は 29.5 km/L .これはかなり優秀なほうだと思います.満タンにすれば楽に 800 km は走ることができます.エアコンを使わない冬はもっと良くなるかというと,実は空気密度が大きくなって空気抵抗が増すからか,あまり変化はありません.潤滑油の粘性の影響もあるのでしょう.

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2023/07/23

メディアの貧困

最近テレビのニュースを見ていて,違和感を感じることを二つほど.

囲碁や将棋の対戦

囲碁や将棋の対戦,特に将棋のタイトル戦はしばしば報道されるのですが,どちらがどういう手を指しているかは一切言わないくせに,昼食に何を食べたかを映像付きで長々と紹介します.これは実に視聴者を馬鹿にした報道の姿勢だと思います.

メディアが考えていることはおそらく

どうせ一般視聴者は将棋の手なんかわからないから(俺たち自身もよくわかっていないし),食い物の話でもしておけば視聴率取れるに違いない.

ということでしょう.コアなファンは ABEMA などで解説付きの実況中継を見ているはず(2017 年の藤井聡太と佐々木勇気の竜王戦決勝の AbemaTV の視聴数は 1,240 万を越えた)なので,一般向けのニュースではこの程度の画の出し方が一番視聴率が取れる,という安易な発想だと思います.

しかし,実況中継を見るほどではないが囲碁や将棋はある程度知っているという人口は多いはずです.序盤はこういう手でどちらが攻めて,中盤にどういう展開になって,終盤にこういう手でどちらが投了した,くらいの情報は15秒もあれば伝えられます.将棋を知っている人はそれを聞いただけで盤面の展開が頭に浮かぶはずです.対戦の最も基本的な情報を伝えずに,食い物の画だけ出して視聴率取ろうというのは実に姑息.報道する側のリテラシーの無さも情けないです.

東京ドーム何個分?

これはニュースに限らずバラエティや情報番組でも氾濫している無意味な表記法.

そもそも東京ドーム何個分の面積,東京ドーム何杯分の体積と言われて定量的なイメージが湧く人がいるのでしょうか?私はいないと思います.湧くという人がいたとしても,そのイメージは実際とは大きくずれているでしょう.

東京ドームのグラウンド面積は 13,000 m2,たったの 1.3 ha,114 m 四方です.野球場なんてこんなものでしょう.ほかに東京ドームの建築面積というものもあって,こちらは 46,755 m2 もありますが,これが何を意味するのかよくわかりませんし,そもそもメディが使う東京ドームの 1 個分が何 m2 のことなのか,それに言及して言葉を使っているメディアは皆無です.これも視聴者を馬鹿にした受けねらいの表現です.

東京ドームの容積は 1,240,000 m3 だそうです.一辺が 107 m の立方体と同じですが,こう言ったほうがよほどわかりやすくありませんか?あるいは直径が 100 m の円柱状の桶に入れたとすると,深さが158 m ほどになります.ちなみにクフ王が建てたギザの大ピラミッドは,底辺が 231 m の正方形,高さが 146 m なので,その体積は約 2,600,000 m3.東京ドームの 2.1 倍です.これも東京ドームよりはわかりやすいと思います.

東京ドームを特に体積の単位として使う場合のわかりにくさは,扁平なドームの容積を使っているからだと思います.東京ドームは外から見ると平べったく丸っこい背の低い建物です.その容積がどれくらいかは非常にわかりにくい.内部に入ると非常に大きく感じますが,それは印象にだまされた錯覚で,実際には上述の通りピラミッドの半分以下です.

このような分かりにくい単位を使って面積や体積を比較するのは,東京ドームという「良くわからないがとにかく大きいとされているもの」を持ち出すことによる印象操作であって,何ら定量的な表現にはなっていません.このような感覚的な表現で大きさを強調して伝えるメディアは,数量リテラシーの貧困を再生産しているとも言えます.そろそろほかの表現に改めてほしいと思います.

こんなサイトもあります.

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2023/05/26

深夜の漏電

昨夜ちょうど寝入ったころのこと,何かピッピッと音がして,ドアフォン子機の液晶画面が点灯したことに気づきました.同時に寝室の常夜灯が消えています.これは停電だなとすぐに判断し,復旧するのを待っていたのですが,いつまでたっても復旧しません.

仕方なく布団から出て家の周囲を見回してみると,他家では灯りがついているではありませんか.停電しているのはうちだけのようです.となるとこれはトラブルです.非常照明を持ち出して分電盤をチェック.案の定漏電ブレーカーが落ちています.

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漏電ブレーカーのスイッチを入れてみると,再びすぐに落ちてしまいました.これはどこかで漏電が発生しているということです.家の中のどの回路で漏電が発生しているのか,それを見るには回路ごとにスイッチを切ってどの回路で漏電が発生しているのか確かめるしかありません.20 個ほどある回路スイッチをしらみつぶしに調べていくと,どうやら一階の照明回路に問題があるということがわかりました.

え?照明?なんでそういうところで漏電が発生するのか見当がつかず途方に暮れてしまいました.仕方なく電力会社の停電コールセンターに電話.状況を説明し,駆けつけてもらうことにしました.ここは 24 時間対応.ただし有償です.

近場の営業所からやってくるはずですが,それを待つ間にもがいてみようと思い,冷静になって考えてみました.そういえば玄関の庭園灯が数年前から内部の腐食のためにスイッチを入れても点灯しなくなっていました.漏電するとすればこれが一番怪しい.これは一階の照明回路の一部です.

外に出て,庭園灯専用の屋外ボックスの中のブレーカーを切り,改めて漏電ブレーカーを入れてみると,ビンゴ!漏電ブレーカーはいつまで経っても落ちません.こいつだ!

ほどなく電力会社のサービスカーが到着.経過を説明し,原因絞り込みのためにやったことを説明すると,間違いなくそれだろうと同意してくれました.彼が客先の分電盤をチェックすると料金が発生するのですが,私の説明を聞いたうえで,大変親切にも,無償の範囲で簡単な点検だけで済ませてくれました.そのおかげで費用はゼロで済みました.

すでに零時を回っていたのですが,ようやく停電から解放されて再び寝床に入ることができました.外に出ているときに見た星がきれいで,遠くでフクロウが鳴いていました.やれやれ.

庭園灯の修理はどうしようかな?

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2023/04/12

自衛隊ヘリコプターの墜落原因

宮古島から陸上自衛隊の師団長の視察のために飛び立った UH-60JA Black Hawk が墜落したと思われるのに,機体や遺体が見つからないのは一種のミステリーです.自衛隊は総力を挙げて周辺海域を捜索し,ソーナーまで繰り出してサンゴ礁の海底を捜索しているそうですが,日数を経てもほとんど何の手掛かりも見つかっていません.

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https://lockheedmartin.com/ より

謎です.海面から水しぶきが上がり,その後 20 分以上も黒煙が上がり続けたという目撃情報もあるのですが,レーダーから機影が消えたという時刻とは 2 時間もずれています.

私は以下のような可能性を考えてみました.

  • ダウンバースト.地元漁師によるとこの地域この季節には急に風向きが変わり海が荒れる「二月風廻り(ニングヮチカジマーイ)」という現象が起こることがあるのだそうです.それを晴天ダウンバーストと解釈してみます.すると低空を飛んでいたヘリはあっという間に海面に叩きつけられて破壊されることになります.当時,付近には雹を降らすような積乱雲は無かったはずなのでこの解釈には無理がありますが,しかし高空では晴天乱流は珍しいものではありません.何らかの強い突風が吹いてヘリが墜落したと考えることは十分合理的です.
  • 爆発物を仕掛けられた.次は破壊工作があったと仮定してみることです.なにしろ第 8 師団の師団長が乗っていたわけですから,破壊工作を仕掛ける側からすれば格好の獲物です.自衛隊の基地内部でこのような工作ができる余地がどれくらいあるのか部外者には全くわかりませんが,おそらく自衛隊はこの可能性も真剣に検討し捜査しているはずです.
  • 機内でのいざこざ.これは可能性としては低いと思いますが,新任の師団長が張り切りすぎて,何か余計なことを言ったり大げさな身振りをしたりして,本人あるいは別の搭乗者が飛行安全に関係する何らかの装置に意図せず触れて墜落に至ったという,なんとも情けない可能性です.
  • 整備不良や操縦ミス.これが意外と可能性が高いかもしれません.ヘリコプターは頻繁な整備が必要な航空機です.とくにメインローターのピッチ制御機構には入念な整備が必須です.これを怠ると重大な事故につながります.今回は師団長を乗せるということで十分な事前整備が行われていたはずですが,一般的に言ってヘリは事故率が高い航空機なので,この可能性は否定できません.

早く機体や遺体が発見され,事故原因が究明されるよう祈っています.

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2023/01/01

恭賀新年 2023

Newyeargreeting_2023

明けましておめでとうございます.皆様にとって昨年はどのような一年だったでしょうか?私も昨年を振り返り,今 年の展望について思うところを書いてみたいと思います.

昨年も新型コロナウィルス SARS-CoV-2 によるパンデミック COVID-19 が継続しましたが,新しい株は無症状か軽症が多く私たちも対策に疲れてきたことから,だいぶ緊張感が緩んだと思います.欧米ではとっくにマスク無しの通常の生活に戻っていますし,日本でも新たな感染のピークが予想されながらも,行動制限は緩和されたままです.このままインフルエンザなみにまで影響度が落ちれば,パンデミックも一段落ということになるのでしょう.長い 3 年間でした.しかしインフルエンザで亡くなる人は少なくないことも忘れてはいけません.私は昨秋もインフルのワクチンは打ちました.

私自身に関しては,昨年も書いた通りコロナ禍の直接の影響は何も受けていません.東京には年に 1, 2 回しか行かないので人混みとは無縁.この 3 年間で電車に乗ったのはたった 6 回ほど.田んぼを見下ろす高台の自宅で規則正しい日課を続けており,仕事に行かない日の午前中はおもに学び直しのお勉強.昼食後に 1 時間ほど散歩して,帰ってからは写真のレタッチやブログの記事の更新などを行い,夕方になるとビールを飲みながら録画しておいた映画やドキュメンタリーを観ています.


昨年は引退 5 年目でした.春に非常勤の仕事を退任したので暇になってしまったのですが,登録しておいた派遣会社から夏になって声がかかり,秋から地元の産総研ドローンの開発の手伝いをするようになりました.ただしもうフルタイムで働きたくはないので,一週間のうち二日程度のパートタイム勤務です.地方なので通勤には車を使わざるを得ず,筑波研究学園都市の朝晩の渋滞にはうんざりしています.

仕事の内容は私の専門の流体力学に関するもので,固定翼ドローンの空力性能の予測が主なものです.まあちょっと変わった形の模型飛行機と思って間違いありません.そのため模型飛行機や人力飛行機の愛好家のコミュニティで使われているツールをもっぱら使っています.最初は NACA翼型の復習から始め,次に XFOIL の後継である XFLR5 という翼型評価ツールを使って 3 次元の機体の空力計算に手を付けたのですが,私たちが開発中のヘンテコな機体形状に対しては役不足だったので,NASA Ames で開発された OpenVSP という 3D モデリングツールに乗り換えて今に至っています.

OpenVSP は XFLR5 と比較するとより多様な形状を作成できます.また XFLR5 と同様に渦格子法やパネル法を用いた空力計算も出来るので,機体の空力係数や表面圧力分布を見て設計にフィードバックできます.しかも NASA 公認のフリーソフトであり,ノート PC でも十分に動き,ユーザーズコミュニティも活発で開発者や世界のユーザーと質疑応答ができます.何か質問すると開発責任者から 15 分後に回答が来て驚いたことがあります.また膨大な量の公式チュートリアルが You Tube にアップされています.良い時代になったものです.

半面 XFLR5 に較べると日本のユーザーは非常に少なく,学生や研究者が形状設計に使った論文はあるものの,使い方に関する解説記事はほとんど見たことがありません.XFLR5 は日本の人力飛行機コミュニティに対してすでに十分な機能を提供しており,それに比べると OpenVSP はオーバースペックなのかもしれません.しかし多様な形状のドローンの設計にはこちらのほうが向いています.十分に使い込んだら解説記事でも書きましょうか?

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というわけで学生時代に戻ったかのように目を輝かせながら生き生きと仕事をしていると自分では思っているのですが,傍目には,しかめっ面で顔のしわを深くしたジジイが,眼をしょぼしょぼさせてディスプレイと睨めっこしているのでしょう.それでも一派遣労働者として謙虚な態度で仕事をしているので,周囲の若い人たちからはそれほどウザいジジイとは思われていないと信じております.だよね?


日課となった学び直しは,独習に限界を感じながらもよたよたと進展中です.一昨年に公理論的な量子力学を勉強してえらく気分が良かったので,同じ著者が書いたこれまた公理論的な熱力学の教科書上下 2 巻に取り組みました.引退初期にも田崎本を読んで味をしめていたのですが,その再現を狙ったものです.

これがドンピシャリの大正解で,熱力学の理論体系を非常にすっきりと理解できたと思います.特にこれまで現象論を理解するレベルで終わっていた相転移の熱力学を理解できたことは大きい.相図の読み方がよくわかりましたし,三重点内部でも理論が破綻せずに定式化できるところがすごい.温度や圧力などの示強変数を使わず,エネルギーや体積などの相加変数を理論の基礎に置いたことの成果です.

理論体系が非常に頑強にできているので,例えば強い重力場のもとで相対論的効果が無視できないような場合でも,便宜的な仮定を密輸入せずに温度などを理論自身から定義できます.ブラックホール近傍の温度はこのように補正されるのだと思うと非常に興味深いです.これで熱力学は卒業できたと思っているのですが,まだ情報熱力学には未練が残っているので,近い将来手を出すかもしれません.

次に手に取ったのは Amazon の書評で評判が良かった一般相対性理論のコンパクトな教科書.物理学者ではなくてエンジニアが書いた異色の本です.しかしこれは失敗でした.まず本の字面,特に数式が異常に読みにくい.数式に不慣れな編集者と印刷屋が関わったのでしょうか?さらに相対性理論のキモである,座標系に拠らない普遍的な物理法則を記述するためにテンソルという数学的ツールが必要で,そのために四元化を行うのだというポリシーが良く説明されていません.このために,複雑な曲率テンソルの式は追えるようになり,言われるがままにアインシュタインの重力方程式にたどり着くことはできるものの,なぜこれで良いのかは理解できないままです.

このような内容にも関わらず Amazon で高評価を集められることが不思議です.私は Amazon では低めの星 2 つ★★☆☆☆の評価としました.一般相対性理論についてはもう少しまともな,しかしあまり数学寄りではない教科書で学べないか探索中です.

さて今年は再び量子力学の,それも解釈の問題について論じた本を読もうと準備しています.コペンハーゲン解釈多世界解釈などです.昨年ノーベル賞を受賞した量子もつれとも深い関係があります.読みこなせるかなあ?


健康面では尿路結石の再発は無し.コレステロールの値も正常値の範囲内です.平穏な一年間でした.白内障も経過観察中.進行が遅いので医者も手術しましょうとは言い出せないようです.いずれは多焦点眼内レンズを入れたいと思っているのですが.

ところで一昨年の定期健診で体重と腹囲の増加,さらには血圧の上昇が発覚して不名誉な思いをしたので,そのリベンジを果たすべく昨夏はダイエットを敢行し,秋の定期健診までに体重を5 kg ほど絞ることに成功.健診では腹囲も血圧も正常値に収まってホッとしました.ダイエットのコツがわかったので,今年も基礎代謝が落ちる夏場には実行しようと思います.


趣味の写真については特に変化はありません.相変わらず SONY の高倍率ズーム・デジタルカメラだけを使っています.世の中ではミラーレス一眼がいろいろ出てきて面白そうなのですが,野鳥を撮ろうと思うと長く重たい超望遠レンズに手を出さざるを得ず,私ごとき年金ジジイでは金力も筋力も不足です.新たに買うとすれば APS-C のミラーレス一眼になるのですが,APS-C 用にはなかなか良いレンズがありませんね.今なら FUJI か? Canon か?


PC のハードウェアも更新無しです.本当は昨年中にメインマシンを新調したかったのですが,半導体不足とやらでパーツが高騰.夏あたりからようやく需給が緩んでメモリーは買いやすくなりましたが,マザーボードやビデオカードは円安の影響もあって高騰したままです.今週の CES で Intel が新しいプロセッサファミリーを追加発表するはずなので,それをよく見た後で春ころまでにマシンを更新したいと考えています.

と,そういう欲求不満が溜まっていたのでしょうね,年末になってハッと気が付くと,メインマシンの OS をいつの間にか Windows 11 にアップデートしていました.いつやったのでしょうか?もう一人の自分がいるのでしょうか?恐ろしいことです.今のところ大きな不具合には遭遇していませんが,小さな不具合にはそこそこ出くわしています.そのうちこれは個性なんだと諦められるようになるでしょう.


昨年はタダ同然で手に入れた Kindle 版の宮本武蔵(吉川英治)を読み終わり,さらに続けてやはりタダ同然の半七捕物帳(岡本綺堂)を読んだのですが,これが非常に面白くて楽しめました.捕物帳ジャンルの嚆矢となる作品なのですが,とにかく化政から幕末の江戸の情緒や風情というものが活写されているところが素晴らしいです.今では失われてしまった言葉も多く出てきます.たとえば「ご新造さん」.惜しまれる言葉です.詳しくはこちらのレビューをご覧ください.

その後は吉川英治の私本太平記を Kindle 版で読みましたが,非常に長いわりには盛り上がりが無くて十分には楽しめませんでした.しかし鎌倉幕府がどのようにして滅び,その後南北両朝の鼎立を経て室町幕府がどのようにして形成されたのかはよくわかりました.ただし終盤は作者が病床で書いたこともあって駆け足での話運びです.オリジナルの太平記とはかなり異なる歴史観,人物観で書かれたようですが,オリジナルを読んだことはないので比較はできません.

しばらく間をおいて,塩野七生さんの若いころの作品,ルネッサンス 7 部作の Kindle 版を購入して読み進めているところです.しかし著者自身が吐露しているとおり,若い作者の例にもれず肩に力が入っていて文章が生硬で読みにくい.文学部の学生の卒業論文を読んでいるよう.歴史を生き生きと語ることができていません.著者後年の「ローマ人の物語」の文体とはまるで違います.したがって読んでいてもあまり楽しく感じません.

まあ買ってしまったので最後までお付き合いするつもりですし,ベネチアの歴史を学ぶには大変良い題材だとは思っています.なにしろベネチアは 2 度ほどくまなく歩き回ったことがあり(1 回目2 回目),この特異な都市国家がどのようにして生まれ発展し衰退していったのか,大変興味が湧いたので.


昨年観た映画は合計 55 本.強烈な印象が残った映画はなかったのですが,そこそこの佳作を多く観ることができたと思います.まず年末になって観た「地獄の黙示録ファイナルカット」.これまでのバージョンではカットされていた奥地のフランス人の荘園を訪ねる場面をようやく観ることができましたが,素晴らしく手間と費用をかけたシーンでした.年初めに観た「ブレードランナー 2049」もまあまあの出来.「天井桟敷の人々」は名作の誉高い作品.古いパリの風情を映したという意味では面白かったのですが,話の中身やキャスティングは今ひとつ.中国映画「長江哀歌」はベネチアで金獅子賞を取った作品ですが,私に言わせればアジアに異国情緒を感じる欧米の審査員のバイアスがかかったのでしょう,作品自体はそれほどのものではありませんでした.なにより画が汚い.どうも作風が「世界」に似ていると思って調べたらやはり同じ監督でした.それよりはインド映画の「きっと、うまくいく」や,イラン映画の「友達のうちはどこ?」のほうがはるかに良かった.後者のレビューはこれ.年末も押し詰まって,北米線の機内で繰り返し観て大好きになった映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」を再び観ることができて満足でした.ま,こんな感じで映画の雑食を続けています.


今年は引退生活の 6 年目に入ります.今年こそは旅行に出かけたり人との対面の交流を増やしていきたいと思っています.皆様も健康第一でお過ごしください.どうかお元気で.

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2022/07/15

吉田茂氏の国葬の日

再び時事ネタにかこつけた昔ばなしです.

安倍晋三氏の国葬が営まれることになったそうです.自民党の一部に強い意向があり,それに反対することがはばかられた結果,すんなりと決定されたものと推測します.

現行憲法には国葬の規定がないため,国葬には法的根拠が無いのだそうです.すると 1967 年に行われた吉田茂氏の国葬も法的根拠が無いまま行われたことになります.ということで調べてみると,法的根拠はなかったが,当時の佐藤栄作首相の強い意向で閣議において決定され,宗教色を排して挙行されたそうです.

私はこのとき小学 6 年生でした.ははぁ歳がばれますね.覚えているのは,エライ政治家が亡くなって国葬というものが行われる,学校は半ドンになる,歌舞音曲は慎むべしということくらい.要するに国民全員が追悼の意思を示せということでした.

当日 10 月 31 日火曜日,国葬は日本武道館で行われましたが,テレビで中継したかどうかは記憶にありません.というのも・・・半ドンになったことをいい事に,父は私を誘って街の中心部に映画を観に行ったからです.確かクレイジー・キャッツのドタバタ喜劇で,おそらく直前に封切られた「クレージーの怪盗ジバゴ」.大いに笑い楽しんで帰ってきたことを覚えています.堅物の高校教師だった父がこのような挙に及んだのは,何か胸に一物あったからかもしれません.

平安時代よろしく歌舞音曲を慎めとは言われていましたが,首都から遠く離れた地方都市では,映画館もパチンコ屋も喫茶店もいつも通り営業していましたし,きっと夜は居酒屋やキャバレーも賑わっていたはずです.国葬といっても当時はこんなものだったのです.実に健全でよろしい.

秋に行われることになった安倍晋三氏の国葬のときに,どのようなお達しや自粛や忖度が行われるのか今から楽しみにしていますが,私はきっと普段通りの生活をするだろうと思います.

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2022/07/13

統一教会洗脳旅行とアカプルコ

安倍晋三氏が殺されました.白昼堂々の殺害だったので暗殺とは呼べないでしょう.犯人は家庭を破壊させた統一教会への恨みが募り,関係があると思って安倍氏を殺そうと決意したそうです.動機としては理解できなくもありませんが,相手を少々間違えました.

さて統一教会そのものについては,カルト教団という以上の詳しいことは知らないのでここで書くことはしませんが,昔の面白かったエピソードを一つ.

統一教会は影響力のある人たちを信者あるいはシンパにするため,社会各階層への浸透に熱心でした.おそらく今でもそうでしょう.そして今から 40 年ほど前,東京大学の赤門前に事務所を構え,東大生への勧誘を学内でも路上でも熱心に行っていました.勧誘のためのニンジンはうまくカムフラージュしてあり,アメリカへの無料の「研修旅行(指導者セミナー)」に参加しませんか?というものでした.指導者セミナーとはアメリカの統一教会を訪ねて洗脳教育を行うもので,期間は一週間前後だったと思います.

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フリー素材ドットコムからの画像

当時海外旅行は庶民にとって,ましてや学生にとっては高嶺の花だったので,このニンジンに釣られて参加する学生もいたようです.そして一つのエピソードが生まれました.

これは伝聞かつ武勇伝なのでどこまで本当かはわかりませんので,そのつもりで聞いてください.ある学生がこの研修旅行に参加したのですが,彼は飛行機がアメリカに着いてすぐに行方不明になってしまいました.研修ご一行様は予定通り洗脳教育を終えて帰国のためにアメリカの空港に来てみたところ,行方不明になっていた学生が何食わぬ顔で現れて,同じ便で日本に帰国したそうです.

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PublicDomainPictures による Pixabay からの画像

彼は研修をエスケープしてメキシコのアカプルコに飛び,リゾートを満喫していたのでした.タダでアメリカまで往復できたことになります.帰国後教団からどのような文句や嫌がらせや恫喝を受けたのかは知りませんが,彼がその後も教団に入会などしなかったのは言うまでもありません.これは当時赤門界隈では有名だった武勇伝です.どこまで本当かなぁ?

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2022/03/18

日本が難民に冷たい理由は?

世界で紛争が起こり難民が発生するたび,日本がその受け入れに冷淡だということが言われます.いろいろな統計数値を見てもその傾向は顕著で,例えばドイツが受け入れている難民の数よりも 3 桁から 4 桁少ない数しか日本は受け入れていません.申請者の大部分が偽装難民という問題があるにしても,それは他国も同じはずで,この差はあまりにも極端です.

さらに出入国在留管理庁の収容所に拘留されていたスリランカ人女性が,適切な治療がされないまま病死するという事件も起きています.担当した刑務官たちは処罰されるべきですが,これは単に彼らの職務能力が低かったという問題ではないような気がします.

日本は島国なので国境を越えて難民が押し寄せて来るというイベントを経験していません.また自分たちも,戦争が起きたからといって海を渡って他国に逃れるという行動をとったことがありません.(*ただしこれに準ずるイベントとして,第 2 次世界大戦後に外地の日本人が日本に引き揚げてきたことはあります.軍人・軍属が 350 万人,一般人が 300 万人という膨大な数です.帰るべき土地や家がある家族はよかったでしょうが,それが無かった家族は祖国に帰国できても難民同然でした.)

Ruinsg70ef9fa24_1280Pixabay より転載

おそらく,日本人は自分自身が難民になって他国をさまよい歩く可能性があるとは考えていないのだと思います.難民の報道を見ても明日は我が身という発想が起きないのでしょう.中東やアフリカや南アジアで大規模な紛争が起こって大量の難民が発生しても,そんなことが自分たちに起きるはずはないと決めてかかっているのです.だから難民に対しても冷淡な態度が取れるのだろうと思います.

その固定観念を最初に破って見せたのは小松左京の小説「日本沈没」でした.皇室はスイスへ避難,数千万人の国民が世界中に分散して難民と化していくのです.イベントは現実にはあり得ないような地殻変動でしたが,イベントの種類は何でもよいのです.例えば,日本のどこかで Aso-4 クラスのカルデラ噴火が起きれば,日本の半分以上の面積に数百年間人が住めなくなります.どこかの原発がミサイルで破壊されると,ひとつの県程度の面積に 200 年以上人が立ち入ることはできなくなります.これらは十分に現実的な想定と考えておくべきです.そんなことはあり得ないと思う人は,原発を壊すような津波なんてあり得ないと考えていた当時の東電幹部と同類で,安全保障に対する想像力が欠如しています.

日本人が日本という島に住んでいられなくなったらどうするか?という問いに対して,想像力を欠いたまま統治と生活が行われていることが,難民に対する態度の背景にあると思います.自分が難民になることがあるかもしれないと思っていれば,難民に対して今とは異なる対応ができるはずです.明日は我が身だからです.明日の自分を助けると思って,今日の他人を助けるのです.そうすることで国境を越えた助け合いの精神は厚みを増していきます.そのような発想を日本人も持ってほしいと思います.

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2022/03/17

ジャベリンの大見本市を画策

昨夜遅く強い地震で目が覚め,揺れのパターンからちょうど 11 年前の 3.11 をまざまざと思い出し,茨城沖のプレート境界型地震を思い浮かべたのですが,実際には宮城・福島沖のスラブ内地震でした.昨夜の当地の震度は 5 弱だったので,特に倒れたり壊れたりしたものはありませんでした.

と,朝になってニュースを見てびっくり.米国バイデン大統領が,ウクライナに 8 億ドルにのぼる追加の軍事支援を行うとのことで,その中身は,ホワイトハウスの声明その他のニュースソースによれば,スティンガー 800 発,ジャベリン 2,000 発, 1,000 発の軽量対戦車兵器, 6,000 発の AT-4 対戦車弾,その他ドローンや小火器となっています.

これはアメリカによる携行式兵器の大見本市です.先日の記事に書いた通り,ジャベリンは一発が 2,000 万円,スティンガーは 400 万円もする高価な兵器.従って,ジャベリンを 400 億円分,スティンガーを 32 億円分供与するということになりますが,これは十分元が取れると踏んだのでしょう.とにかく実戦で威力を誇示できたものは強い.ウクライナを助ける正義を装いながら,裏ではしっかり算盤をはじいているのが見え見えです.

この戦争が終結したのち,対戦車戦を想定している国はこぞってジャベリンに群がってくるはずです.アメリカの兵器産業は増産や技術指導で忙しくなるでしょう.バイデン氏は,この軍事援助に限って言えば,アメリカ兵器産業の最良のセールスマン役をやっていることになります.これが戦争の現実でありいやらしいところ.しかし避けては通れない部分でもあります.

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