科学

2022/01/21

IOC List v12.1 released

IOC World Bird List v12.1 が 2022 年 1 月 20 日にリリースされました.これは 2022 年 1 回目のリリースです.前回 v11.2 のリリースが 2021 年 7 月 20 日だったので,ちょうど 6 か月の更新間隔,新たな編集長 Pamela Rasmussen に代わってから 4 回目のリリースということになります.

今回収録されたのはが 44 ,が 253,が 2,376 ,が 11,088 (うち絶滅種が 160 ),亜種が 19,883 です.

今回の改訂は前回 v11.2 と比べると大変静かでおとなしい内容になっています.例によって日本のバーダー向けに重要と思われる変更点を書いておきますが,今回は 2 点のみです.

  1. 日本で見られるアオジは従来は Emberiza spodocephala (Black-faced Bunting) の亜種 E. s. personata 亜種アオジ とされてきましたが,これが種に昇格し E. personata (Masked Bunting) となりました.これに伴い,E. personata の和名をアオジと再定義し,亜種アオジを抹消しました.また E. s. personata が出て行った残りの E. spodocephala の和名は,その基亜種 E. s. spodocephala 亜種シベリアアオジがそのまま残されているため,シベリアアオジとしました.
  2. 絶滅したとされ,長らく標本の真正性が疑われていた Todiramphus cinnamominus miyakoensis 亜種ミヤコショウビン (Kuroda, Nagamichi, 1919) が抹消されました.これについては Wikipedia のこの記事が参考になります.

今回は英名の変更が多かったのですが,日本のバーダーにとっては影響はわずかでしょう.一方,種小名のラテン語の性による語尾変化の訂正はごくわずかでした.


IOC 本家の Master List(学名と英名を収録した Excel ファイル)を編集して,Refsort/Ruby 用の辞書ファイル(拡張子が .ref のテキストファイル)を作りましたので,Microsoft One Drive 上に設けた “IOC List Archive„ にアップロードしました.

エンコーディングは UTF-8US-ASCII の2種類です.正版は UTF-8 版で US-ASCII 版は簡易版ですが,詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.


このオリジナル版の辞書ファイルと併せて,全ての掲載種に和名をつけた辞書ファイル 2 種と,IOC Master List の和名追加版(Excel ファイル)も同時にリリースしました.和名追加辞書についても,UTF-8 でエンコードしてあるものが正版ですが,Windows などでの使い勝手を考慮して Windows-31J でエンコードしたものも同時にアップしてあります.詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.

単に種名を調べるためだけであれば,和名追加版の Master List(Excel ファイル)が最も便利です.ただし長大なワークシートなので,目的の名前をスクロールして探すのは非効率です.検索メニューからジャンプするのが良いでしょう.


これらのファイルは前述のとおり,Microsoft One Drive 上に設けた IOC List 専用のフォルダからダウンロードできます.それには,このブログ右側のコラムの最上段の Archive の中の IOC List Archive をクリックしてください.そうすると One Drive のフォルダに入ることができますので,あとは適当に選んでダウンロードしてください.


I am pleased to announce that I have posted reference files for Refsort/Ruby compiled directly from the latest IOC World Bird List v12.1. It contains 44 Orders, 253 Families, 2376 Genera, 11,088 species including 160 extinct ones, and 19,883 subspecies, respectively. Please try it out, and enjoy its capability and speed.

Note that the reference file "ioclist_v121u.ref" is encoded in UTF-8 in order to retain all European accents and umlauts with complete fidelity as they are in the IOC Master List. Therefore, your input file should be encoded in UTF-8 as well, and should contain a magic comment on the top of the file such as;

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

For those who want to use Refsort/Ruby in universal ASCII environments, I have posted another reference file "ioclist_v121a.ref" encoded in pure US-ASCII. Note that characters with accents and umlauts have been simplified to their nearest neighbors. So please be careful in particular when you refer to authorities of species.

I have also posted two different reference files "ioclist_v121ju.ref" and "ioclist_v121jw.ref" (encoded in UTF-8 and Windows-31J, respectively) which include Japanese names for all species. If you want to know Japanese names, please refer to those files.

In order to sort a list properly using these reference files, you need to align the encoding of the input file to that of the reference file, and you should add a magic comment specifying the encoding in the first line of these files, such as UTF-8, US-ASCII or Windows-31J. You can skip this process if your iput file is encoded in the default encoding of your platform, e.g., US-ASCII or Windows-31J for Windows, UTF-8 for macOS or Linux.

A master list in Excel format containing a column of Japanese names has been posted as well. This would be most convenient for quick reference.

You can download an appropriate file from my area of Microsoft One Drive by clicking "IOC List Archive". Enjoy, and bon appétit.

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2022/01/16

Emberiza spodocephala の和名?

年に 2 回の改訂を行っている世界鳥類目録 IOC World Bird List の 2022 年第 1 回目のドラフトが公開されましたので,早速内容を精査しているのですが,和名の扱いで困ったことが起きています.

Emberiza_spodocephala

by Takashi Yanagisawa with Pixabay

アオジです.今日も散歩の途中で見てきたばかりです.従来は Emberiza spodocephala (Black-faced Bunting) が種としてのアオジ,亜種 E. s. personata が日本で見られるアオジでした.ところが IOC は今回の改訂 v12.1 で,この亜種を種として独立させ, E. pesonata (Masked Bunting) としたのです.

ということは,少なくとも日本においては E. personata を種としてのアオジにしたいのですが,そうするとこの personata が出て行った残りの E. spodocephala の和名をどうするのかが問題です.アマサギの場合同様,これまでにも同様の事例が多数出てきていて,そのたびに頭を悩ませている構図の一つです.

E. spodocephala の和名を暫定的にタイリクアオジにしようと思いますが,いかがでしょうか?

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2022/01/15

トンガの海底火山が大規模噴火

すでにニュースで報道されていますが,トンガの海底火山 Hunga Tonga が大規模な爆発を起こしました.下は気象衛星ひまわり 8 号の日本時間 14 時 20 分の画像です.この前後の画像を連続して見ると,衝撃波のようなものが広がっているのも見えます.ひまわり 8 号の高解像度画像はこういうときにも威力を発揮するのですね.おそらく世界各所で空振を観測できたことでしょう.

Eruption_hungatonga

提供:情報通信研究機構 (NICT)

トンガ周辺のプレート構造は,インド・オーストラリアプレート太平洋プレートが東側から潜り込んでいるそうなので,そのプレート境界で火山活動が起きていると思われます.日本の東北地方と似た構造です.

とりあえず日本には津波は来ないようですが,本当に心配すべきは火山灰による気象への影響です.今回の噴煙は成層圏にまで達したという報道があります.すると火山灰は長期間成層圏に滞留し地表への日射を弱めます.現在南半球は真夏ですが,これから冷夏になりはしないか?あるいは火山灰が北半球にも広がって,今年の夏季がいつもと違ったものにになるのではないか?今後の注意深い観測と予測が必要です.

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緊急着陸して滑走路を外れたB2

昨日の記事にコメントとして書きましたが,面白いので改めてスレッドを立てます.Google Earth にはこういうものもばっちり写っているのです.

2021 年 9 月 15 日,訓練飛行中に不具合が生じて緊急着陸した B2 です.火災や乗務員の怪我は無かったとのこと.事故を伝える米軍の広報誌の記事はこちら

B2_off_the_runway

上は私がピンを立てた画像で,この日付と場所の kmz をここに(ダウンロード - b220off20the20runway.kmz)アップしておきます.

緊急着陸時になぜ滑走路を外れたのかは不明です.昨日の記事のコメントには乗務員が射出した可能性を書きましたが,この画像を見る限りは射出はしていない模様.しかし,滑走路のタイヤ跡を見るとわかりますが,途中から滑走路を外れています.滑走路を塞がないように意図してタクシーしたものか?エンジン排気口の周囲が白く見えるのは,やはり予防的に消火剤をかけたからではないでしょうか?

こういうタイミングでちょうど衛星が真上に来ていたというのも実に面白いです.Street View では誰それさんの奥さんがごみを出しているところが写っていた,なんていうのがありましたが.

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2022/01/14

B2ステルス爆撃機が丸見え

今日は野鳥ではなくて軍用機の話.

よくまあこんなものを探し出したと思うのですが,Google Earth の衛星写真に,訓練中かフェリー中かわかりませんが,アメリカ空軍のステルス戦略爆撃機 B2 が写り込んでいるのが発見されました.アメリカの Web サイト MilitaryTimesこの記事をご覧ください.

思わずへー?と思って自分で Google Earth で探してみたのですが,比較的簡単に見つかりました.衛星画像取得日は 2016 年 5 月 6 日です.私がピンを立てた画像を以下に示します.Missouri 州中部の広大な農場地帯の中を横切っています.衛星のカメラは三原色の画像を別々に撮影して合成するので,高速で動く物体はこのようにずれて写るようです.

B2_stealth_bomber

非常に高価な爆撃機で,これまで 21 機しか生産されていません.アメリカ空軍の虎の子中の虎の子です.初飛行は意外と古くて 1989 年.もう 30 年以上前です.形態は特異な全翼機なので,航空ファンなら誰でも知っているでしょうが,実物を見たことがある人は少ないでしょう.無尾翼なのでヨー安定性を取るために,両翼端にドラッグ・ラダーを装備して,巡行時はそれでヨー安定性を得ているそうです.ちょっと不格好だし燃費が悪くなります.しかしステルス性能が必要な時にはドラッグ・ラダーを閉じ,左右のエンジンの推力制御でヨー安定を得ているのだとか.ステルスって大変ですね.

この爆撃機の母港は Missouri 州の Whiteman (KSZL) にあるので,この辺りではよく見られるのかもしれません.初実戦は 1999 年のコソボ紛争.このときは Whiteman から離陸し,途中空中給油を受けながらバルカン半島まで往復 2 泊 3 日の無着陸ミッションを行っています.これを初めて聞いた時には,これぞ現代戦なのだなと思いましたが,ベオグラードの中国大使館を誤爆したこともエピソードの一つ.

Google Earth に UFO が写っていたら面白いのに.

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2022/01/10

Refsort/Ruby v3.64 released

辞書参照型ソーティング・フィルタ Refsort/Ruby (新しいほうから *1 *2 *3 *4 *5)の改訂版 v3.64 をリリースしました.今回の改訂はタブ区切りテキストを読み込んだ場合の処理に見つかったバグの修正が主で,仕様や機能の変更はありません.

少し詳しく説明します.辞書ファイルがタブで区切られて次のようになっていたとします.

#!R "\t"
<tab>abc<tab>def<tab>ghi<tab>

ここで<tab>はタブコードを表します.これは埋め込みオプションによってタブがフィールド区切り記号に指定されているので,このレコードをフィールドに分割すると

{} {abc} {def} {ghi} {}

とならなければなりません.ところが Refsort v3.63 以前では

{abc} {def} {ghi}

と認識されていました.タブを区切り記号として空白と区別していなかったために生じたものです.これはかなり重大なバグで,表計算のワークシートからコピーしてきたデータを使えば簡単に出くわすはずなのですが,私のこれまでの使用例では発覚しなかったものです.このバグを修正したのが v3.64 です.

一方,これに合わせて Refsort on Excel も改訂しなければならなくなったのですが,こちらは見かけ上の仕様変更があります.これまで先頭のカラムがコメント記号 "#" で始まる場合には,そのレコード全体をコメント行として無視していたのですが,今後はどの "#" で始まるカラムもフィールドと見なし,辞書ファイルとの照合を試みます.これは Excel のワークシートからデータを読み込んだ際に Refsort 内部で例外が発生し処理が止まってしまうことを防ぐためです.もちろん照合には失敗するのでミニコンソールには "Not found ... " とメッセージが出ますが,これは単に無視すればよいだけです.新しい Refsort on Excel v2.41 からはこのように仕様が変更されていますのでご注意ください.

Refsort/Ruby とそれに関するコンテンツのアーカイブを Microsoft One Drive に置いています.画面右側コラムの "Archive" の中の "Refsort/Ruby Archive" をクリックしていただくと,私の OneDrive 上に設けたライブラリが開きますので,そこから過去分も含めてファイルをダウンロードすることができます. Refsort 本体の "refsort.rb" は "refsort_v364.rb" というファイル名でアップロードされていますので,ダウンロード後に適宜 "refsort.rb" に変更するとよいでしょう.改行コードも CR/LF になっていますので,適宜変更してお使いください.

来週くらいには IOC List の改訂版 v12.1 がリリースされるはずなので,その後すみやかにそれに準拠した辞書ファイルやユーザーズガイドをまとめてリリースしたいと思います.ドキュメント類はそれまでお待ちください.

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2021/12/19

田んぼの氷の奇妙な造形

強い寒気に覆われて,今朝は今シーズン最強の冷え込みでした.それでもマイナス 3 度程度だったので,これからより強い冷え込みに襲われることは覚悟しなければなりません.日中は快晴で陽光はたっぷり.気温はあまり上がりませんが,日向を歩く分には何も問題ありません.

Takasakiforest_dec2021_0001m

今日は近隣の自然公園へ出かけたのですが,田んぼの水たまりので面白い氷の造形を見つけました.氷が年輪状に凍っているように見えます.どういうメカニズムでこのような形になるのかわかりませんが,周囲の至るところに同様の造形がありましたので,ある特定の水たまりだけの特殊事情ではなさそうです.

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2021/11/08

月と金星が接近

今日の夕方,久しぶりに酒でも飲もう,その前にカーテンを閉めようと南側の窓に行ってみてびっくり.三日月宵の明星が非常に近い位置に見えます.夕暮れの空の非常に美しい光景です.早速カメラを持ってきて何枚か写真を撮ってみました.

Stars_2021_0007m

こういう被写体の場合は,フォーカスもさることながら露出補正が最も重要です.今日は -3.0 EV まで露出を切り詰めて,月面に対してはほぼ適正な露出でした.しかし金星に対してはこれでも露出オーバー.像が白トビを起こしているので,もっと露出を減らさないといけません.

拡大してよく見てみると金星は月齢でいえば 10 程度.道理で円盤像が小さいわけです.

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2021/10/16

クイナ,ヒクイナ同時鳴き

真夏の暑い間はなかなか鳴いてくれなかったヒクイナですが,このところキョッ,キョッ,キョッという声が聞こえることが増えてきました.しかし姿は深いヨシの茂みに隠れて全く見ることができません.

昨日の散歩では,クイナヒクイナが近距離で同時に鳴いていたので,録音してみました.ともにヨシ原の中なので,姿を見ることはできませんが,明らかに声の質が違う声が中央と右側からするのがわかると思います.中央がクイナ,右側奥がヒクイナだと思います.明渠への水の落ち口の近くで水音がしたり,周囲の雑音が入ったりして録音環境が良くなかったのが残念.

ここ数年の実績から言って,彼らはこのまま越冬すると思われます.

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2021/10/07

ヒクイナの声の詳細分析

一昨日ポストした記事の最後の部分で,文章では説明したもののデータを示してはいなかったので,その補足をします.下の図は,44.1 kHz, 16 bit PCM でステレオ録音されたヒクイナの声のひと鳴き分を,時間軸を引き延ばして波形を示し,かつ同じ時間軸での短時間スペクトルを,周波数範囲を絞って示したものです.

Zoomed_spectrum_20211007

ヒクイナのひと鳴きは大変短く,開始時刻がだいたい 22.675 s,終了時刻がだいたい22.700 s 程度なので,持続時間は 25 ms 程度,つまり 1/40 s しかないことがわかります.

短時間スペクトルで主要な周波数帯を見ると,鳴き始めの 10 ms 程度の間は 1.5 kHz 付近のピークが安定して持続しますが,10 ms を過ぎるあたりからピークの周波数は低下していき,鳴き終わり付近では 0.8 kHz 辺りになっていることがわかります.

スペクトルに関して細かいことをいうと,前半は 1.5 kHz の基本波(基音)が強く高調波は少ない澄んだ声ですが,後半は波形を見てもわかるように,高調波の多いざらついた声になっています.と言っても全体で 25 ms しかないので,聴感上独特な感じがする一音に聞こえると思われます.

この声の特徴はヒクイナの発声機構と密接が関係があるはずです.このデータから言えることは,発声の初期は調和振動の機構がうまく働き,振動のパラメータも安定しているのですが,後半は鳴管の張力が緩むなどして振動のパラメータが低周波側に変化し,さらに何らかの非線形な要素も加わって高調波が増える仕掛けになっているようです.

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