科学

2026/08/07

ラテン語の翼をください

世界鳥類統一リスト AviList v2025b を使ってどのような情報が引き出せるか試行錯誤しています.そうするうちに「学名あるある」に興味を持って次のことを調べてみました.

種小名の語尾に pennis が付くものが多くある.

これは何だ?と思ってまずラテン語から調べてみました.情報源はタダで使える Copilot 365 です.

例えば albipennis という種小名albipennis から成っています.このうち “albi” とは「白い」という意味です.では後半の “pennis” とは,え?まさか?白いなんて!

期待していたあなた,違います.これは penna という「羽根や翼」という意味の名詞が形容詞化した第3格変化形容詞で,「・・・という羽根を持った」という形容詞となり,その前にある属名を後ろから修飾しているのです.

ですから例えば Penelope albipennis という学名は「白い翼を持った Penelope」という意味で,英名は White-winged Guan,和名はハジロシャクケイとなります.

そして種小名の語尾に pennis を持つものを AviList の中から網羅的に調べてみると,次のような結果になります.ただし亜種は含めていません.

種小名 前置句の意味 種小名全体の意味 出現回数
acutipennis acutus 尖った 尖った翼をもつ 2
albipennis albus 白い 白い翼をもつ 2
atripennis ater 黒っぽい 黒色の翼をもつ 4
brevipennis brevis 短い 短い翼をもつ 2
cupripennis cuprum 銅色の翼をもつ 1
curvipennis curvus 曲がった 湾曲した翼をもつ 1
ensipennis ensis 剣状の翼をもつ 1
falcipennis falx 鎌形の翼をもつ 1
flavipennis flavus 黄色 黄色い翼をもつ 1
fuscipennis fuscus 暗褐色 暗褐色の翼をもつ 1
impennis in- 否定 翼のない 1
lamellipennis lamella 薄板・小片 薄板状の翼をもつ 1
largipennis largus 大きい 大きな翼をもつ 1
latipennis latus 幅広い 幅広い翼をもつ 1
longipennis longus 長い 長い翼をもつ 4
maculipennis macula 斑点 斑点のある翼をもつ 2
nigripennis niger 黒い 黒い翼をもつ 4
rufipennis rufus 赤褐色 赤褐色の翼をもつ 8
serripennis serra のこぎり 鋸歯状の翼をもつ 1

なかなか面白いと思いませんか?このような情報の抽出が簡単にできるようなツールを現在開発中です.

結局,難しく格調高そうに見えた学名も,何のことはない和名と同じような発想で作られていることがわかります.形態の特徴をいくつかの要素に分解してモジュール化しておき,それらを必要に応じて棚から取り出して組み合わせるということをやっているだけです.ただしラテン語の語尾変化には用心しなければなりません.

将来的には遺伝子の特徴に基づく学名が作られるかもしれません.例えば mtDNA にこういう変異があるなになに,という感じです.その場合でも対応するラテン語があるかどうかまではわかりませんが.

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2026/08/01

Refsort/Ruby v3.80 released

辞書参照型ソーティング・フィルタ Refsort/Ruby (新しいほうから *1 *2 *3 *4 *5 の改訂版 v3.80 をリリースしました.開発を休止して3年も経っていたのですが,今回は緊急のバグ修正です.

今回の修正内容は以下の通りです.

  1. 世界統一鳥類リスト AviList のマスターファイルには一例だけ記号 '#' を含むフィールドがあり,それから作成した辞書ファイルにおいて,この記号を Refsort がコメントと判断していることが発覚しました.具体的には各フィールドが,
    0: Tityra leucura
    1: White-tailed Tityra
    2: オジロハグロドリ
    3: "Pelzeln, A, 1868"
    4: "Rio Madeira-Rio Tapajós interfluvium, south-central Brazil"
    5: 
    6: "Tityra leucura is recognized as a valid species based on available evidence. Sometimes treated as a synonym of T. inquisitor, or considered to be of hybrid origin (inquisitor x albitorques), differences in plumage and bill size are more consistent with species status (Whittaker 2008). Genetic analysis of the type specimen would provide additional perspective on the species status of T. leucura. A recently photographed and videotaped individual summarized in SACC proposal #1035 strongly supports its specific status."
    7: avibase-8B9C1238
    というレコードの中の,第6フィールド(Refsort ではフィールド番号はゼロから始まります)の最後の方 “#1035” というのがそれです.このハッシュ記号は英米圏では number という意味で使われるので特に間違いというわけでもなく,今後もこのようなケースに遭遇する可能性は十分にあります.
    これを救済できるよう苦肉の策でスクリプトを修正しました.辞書ファイル中,フィールド内部の記号 '#' をバックスラッシュでエスケープして '\#' とし,コメント記号と見なされないようにしました.そのフィールドを出力する場合にもエスケープしたまま '\#' と出力されますが,出力の再利用を考えるとその方が合理的なので,エスケープを解除してはいません.この手続きは入力にも適用されるので,入力中に '\#' が含まれていればそれもコメントとはみなされずそのまま出力されます.
  2. この修正に関連して, AviList v2025b に対応した辞書ファイルも差し替えますので,今後は新しい辞書ファイルをお使いください.
  3. オプションの処理に関して細かな最適化を行いました.

このスクリプトは最新の Ruby 4.06 で動作することを確認しています.

Refsort/Ruby とそれに関連するコンテンツのアーカイブを Microsoft One Drive に置いています.画面右側コラムの Archive の中の Refsort/Ruby Archive をクリックしていただくと,私の OneDrive 上に設けたライブラリが開きますので,そこから過去分も含めてファイルをダウンロードすることができます. Refsort 本体の refsort.rb は refsort_v380.rb というファイル名でアップロードされていますので,ダウンロード後に refsort.rb に変更するとよいでしょう.改行コードは LF になっていますので適宜変更してお使いください.エンコーディングは純粋な US-ASCII ですので,そのままでよいでしょう.

なお Refsort の開発自体はすでに終了しており,今回のようにバグが見つかった場合にのみ修正版を出すことにしています.現在は IOC List や AviList などのデータに対して分類学上の Query (問い合わせ)を行えるようなツールの開発を進めており,ある程度目鼻が付いたら早いうちに紹介したいと考えています.

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2026/06/25

AviList v2025b released

世界の鳥を網羅したチェックリストAviListは2025年6月に最初の版v2025がリリースされたのですが,それから1年たった2026年6月10日に微修正された版v2025bがリリースされました.内容の変更はほんのわずかで,分類体系や学名,英名の変更は無く,周辺の情報のみが微修正されただけです.従来と同様AviListのWeb siteから自由にダウンロードできます.

この微修正版にもとづくRefsort/Rubyの辞書ファイルを作りましたが,基本的な情報は本年5月にアップロードしたものと同一なので,無理に置き換える必要はないでしょう.ただしAviListのワークシートはフォントと背景色が改良されてだいぶ見やすくなったので,それに和名を追加したものは使い出があると思います.これもアップロードしておきます.

AviListをもとにしたRefsort/Rubyの辞書ファイルのエンコーディングUTF-8のみです.AviListのワークシートを見ればわかりますが,Authorityや参考文献に非英語圏の単語が多く出現しており,これをUS-ASCIIだけで表現するのは無理だと判断したからです.

Windowsで利用する場合は標準のエンコーディングをUTF-8に変更してお使いください.変更方法はWeb空間に多数アップされていますので検索すればすぐにわかります.複数のやり方があり,適用範囲と副作用も異なるので,自分に合った方法を選択することをお薦めします.もちろん入力ファイルもUTF-8でエンコードされている必要がありますが,最近はWindowsのメモ帳ですらデフォルトのエンコーディングはUTF-8ですし,世の中のほとんどすべてのエディタもUTF-8に対応していますので,これを機会にUTF-8に移行してはいかがでしょうか?

ダウンロードするにはここから入ってください.このブログ右側のカラムArchiveにもAviListという項目を追加しておきます.

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2026/06/01

鳥の飛行力学 入門 第 7 版

2025年3月にこのブログ上で初版をリリースした「鳥の飛行力学 入門」の改訂第7版をリリースします.いよいよ改訂を打ち止めできると感じていますが,実際はどうなりますやら.

Birdflight_v7_ch4

今回は見た目には小規模な改訂で,上図に示したようなKuttaの条件が成立しない場合の流線の図を追加し,また小さな数表を段落中に埋め込んで紙面を節約したことが目立つ程度です.

しかし目立たないところでは,細かな誤記の修正,語句や表現の改良や書き直し,図の作り直しなどを続けてきました.今回は用語や仮名遣を出来る限り統一したつもりなので表記の揺らぎはかなり減ったはずです.特に「言う」と「いう」の使い分けには悩まされました.日本語は日本人にとっても難しいですね.英語ではFowler'のような用法辞書が昔から重宝されているのですが,日本語にはそういうものはないのでしょうか?

そう思ってWebを調べてみた限りでは,出版社の編集部はそれぞれ独自の用法ポリシーを定めていて,表記の揺れが無いように努めているようです.しかしそれらはあくまで組織内部で共有されるもので外部に公開されてはいません.公開されているものとしては文化庁が公文書における用法を定めた『公用文作成の考え方(建議)』があります.内容は非常に充実していて全て読み通すことは困難な分量.これを霞が関や自治体の職員が完全に咀嚼して使いこなすことは難しいと思うので,こういうものこそ生成AIに学習させて用法チェッカーとして使うべきです.すでにデジタル庁は動いているのではないかな?

私の場合,統一作業にはWZエディタの用語統一機能を利用しています.統一するための辞書は自分で作らなければならないので,それを作るまでは試行錯誤の連続である程度の時間が必要になりますが,いったん作ってしまえば,あるいは作成途中であっても,統一作業そのものは短時間で行えます.やはりツールは使うものですね.辞書を作るとき上記の『公用文作成の考え方(建議)』は大いに参考になりました.しかし常用漢字の枠は窮屈なので,自分なりに適当にアレンジしています.

もう一つ頭を悩ませているのは参考文献の扱い方です.従来はLaTeX組み込みのbibliography機能を素朴に使っていました,そろそろBibTeXの後継と見なされているBibLaTeXを活用して文献情報を本文とは別のファイルに切り離し,文献リスト作成の自動化と表現形式の統一を計りたいと思います.ところが素のBibLaTeXは日本語の文献表示には全く対応していないので,例えば多数の著者名をまとめるときに “ et al. ” とやっちゃうのです.ここは “,他” としたいところ.

Webを検索するとBibLaTeXでも日本語に対応できると称するカスタマイズ法がいろいろ上がってはいるのですが,コピーして使ってみるとどうもイマイチ.それらの中から最も私のスタイルに近いものを拾ってきて,さらに自分なりに改造して使い始めたところです.まだ試運転中なのですが最低限の設定はできたと思うので,思い切って今回のリリースに使ってみました.以前のものとはあまり見分けがつかないと思いますが,おかしなところがあったらご指摘ください.

この本は自分の趣味として書いたもので,販売して金銭を得ることを考えていません.私のOneDriveに置いておきますので,ここから自由にダウンロードしてください.コピーや転載も自由です.

質問は奥付に書いたアドレスへのメールで受け付けますが,素早い応答は期待しないでください.ある程度質問の数がまとまったらWeb上で質疑応答をやれるといいなと思っています.

ファイル名: BirdFlight_v7.pdf
総バイト数: 6,854,863

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2026/05/25

AviList v2025 の反復名

今月上旬にアップした世界統一の鳥類チェックリストのAviListについて,反復名 tautonym を調べてみました.

生物分類学の動物命名規約では反復名が許容されていますが,それは属名と種小名が同一の綴りである種(つまりその属の模式種)の名前のことです.さらに基亜種も定義されていれば,それは種小名と同一なので,結局3つの同一のラテン語が並んでいる亜種名が存在することになります.

以下の表は,反復名の種と,亜種名まで含めて反復している亜種を網羅したリストです.AviList v2025では反復名は 96 種,うち亜種名まで反復しているものが 54 亜種あることがわかります.

Tautonym で有名なものはカササギPica pica でしょうか?私はワシミミズクBubo bubo も鳴き声を連想させてとても良いと思いますし,タシギの Gallinago gallinago も大好きです.

以下に表を載せますが,AviListではIOC Listと比較すると科や属のシーケンス(並び順序)がかなり変わったので,見た目はIOC Listの反復名と異なっていますが,内容はほとんど同じです.

属名 種小名 亜種名 英名 和名
Casuarius casuarius   Southern Cassowary ヒクイドリ
Coscoroba coscoroba   Coscoroba Swan カモハクチョウ
Cygnus cygnus   Whooper Swan オオハクチョウ
Anser anser Greylag Goose ハイイロガン
Radjah radjah Raja Shelduck シロガシラツクシガモ
Tadorna tadorna   Common Shelduck ツクシガモ
Histrionicus histrionicus   Harlequin Duck シノリガモ
Pipile pipile   Trinidad Piping Guan ナキシャクケイ
Pauxi pauxi Helmeted Curassow カブトホウカンチョウ
Mitu mitu   Alagoas Curassow チャバラホウカンチョウ
Lerwa lerwa   Snow Partridge ユキシャコ
Lagopus lagopus Willow Ptarmigan カラフトライチョウ
Falcipennis falcipennis   Siberian Grouse カマバネライチョウ
Perdix perdix Grey Partridge ヨーロッパヤマウズラ
Crossoptilon crossoptilon White Eared Pheasant シロミミキジ
Gallus gallus Red Junglefowl セキショクヤケイ
Francolinus francolinus Black Francolin ムナグロシャコ
Coturnix coturnix Common Quail ヨーロッパウズラ
Poliocephalus poliocephalus   Hoary-headed Grebe シラガカイツブリ
Tetrax tetrax   Little Bustard ヒメノガン
Guira guira   Guira Cuckoo アマゾンカッコウ
Leucogeranus leucogeranus   Siberian Crane ソデグロヅル
Antigone antigone Sarus Crane オオヅル
Grus grus   Common Crane クロヅル
Crex crex   Corn Crake ウズラクイナ
Porzana porzana   Spotted Crake コモンクイナ
Porphyrio porphyrio   Purple Swamphen ヨーロッパセイケイ
Himantopus himantopus   Black-winged Stilt セイタカシギ
Vanellus vanellus   Northern Lapwing タゲリ
Jacana jacana Wattled Jacana ナンベイレンカク
Limosa limosa Black-tailed Godwit オグロシギ
Gallinago gallinago Common Snipe タシギ
Alle alle Little Auk ヒメウミスズメ
Ichthyaetus ichthyaetus   Pallas's Gull オオズグロカモメ
Puffinus puffinus Manx Shearwater マンクスミズナギドリ
Ciconia ciconia White Stork シュバシコウ
Sula sula Red-footed Booby アカアシカツオドリ
Anhinga anhinga Anhinga アメリカヘビウ
Urile urile   Red-faced Cormorant チシマウガラス*
Cochlearius cochlearius Boat-billed Heron ヒロハシサギ
Nycticorax nycticorax Black-crowned Night Heron ゴイサギ
Apus apus Common Swift ヨーロッパアマツバメ
Coeligena coeligena Bronzy Inca ブロンズインカハチドリ
Ensifera ensifera   Sword-billed Hummingbird ヤリハシハチドリ
Bubo bubo Eurasian Eagle-Owl ワシミミズク
Clanga clanga   Greater Spotted Eagle カラフトワシ
Milvus milvus Red Kite アカトビ
Buteo buteo Common Buzzard ヨーロッパノスリ
Colius colius White-backed Mousebird セジロネズミドリ
Todus todus   Jamaican Tody ジャマイカコビトドリ
Galbula galbula   Green-tailed Jacamar ミドリオキリハシ
Indicator indicator   Greater Honeyguide ノドグロミツオシエ
Pyrilia pyrilia   Saffron-headed Parrot アカメインコ
Mascarinus mascarinus   Mascarene Parrot マスカリンインコ
Manacus manacus White-bearded Manakin シロクロマイコドリ
Rupicola rupicola   Guianan Cock-of-the-rock イワドリ
Porphyrolaema porphyrolaema   Purple-throated Cotinga ハシブトカザリドリ
Cotinga cotinga   Purple-breasted Cotinga ムネムラサキカザリドリ
Suiriri suiriri Suiriri Flycatcher スイリリハエトリ
Tyrannus tyrannus   Eastern Kingbird オウサマタイランチョウ
Pyrope pyrope Fire-eyed Diucon アカメタイランチョウ*
Tchagra tchagra Southern Tchagra マユジロヤブモズ
Xenopirostris xenopirostris   Lafresnaye's Vanga クロアゴハシボソオオハシモズ
Oriolus oriolus   Eurasian Golden Oriole ニシコウライウグイス
Pyrrhocorax pyrrhocorax Red-billed Chough ベニハシガラス
Temnurus temnurus   Ratchet-tailed Treepie キリオオナガ
Pica pica Eurasian Magpie ユーラシアカササギ
Incana incana   Socotra Warbler ソコトラムシクイ
Riparia riparia Sand Martin ショウドウツバメ
Curruca curruca Lesser Whitethroat コノドジロムシクイ
Erythrogenys erythrogenys Rusty-cheeked Scimitar Babbler ホオアカマルハシ
Regulus regulus Goldcrest キクイタダキ
Troglodytes troglodytes Eurasian Wren ミソサザイ
Cinclus cinclus White-throated Dipper ムナジロカワガラス
Luscinia luscinia   Thrush Nightingale ヤブサヨナキドリ
Calliope calliope Siberian Rubythroat ノゴマ
Phoenicurus phoenicurus Common Redstart シロビタイジョウビタキ
Oenanthe oenanthe Northern Wheatear ハシグロヒタキ
Quelea quelea Red-billed Quelea コウヨウチョウ
Amandava amandava Red Avadavat ベニスズメ
Granatina granatina   Violet-eared Waxbill トキワスズメ
Petronia petronia Rock Sparrow イワスズメ
Coccothraustes coccothraustes Hawfinch シメ
Pyrrhula pyrrhula Eurasian Bullfinch ウソ
Chloris chloris European Greenfinch アオカワラヒワ
Carduelis carduelis European Goldfinch ゴシキヒワ
Serinus serinus   European Serin セリン
Spinus spinus   Eurasian Siskin マヒワ
Xanthocephalus xanthocephalus   Yellow-headed Blackbird キガシラムクドリモドキ
Icterus icterus Venezuelan Troupial ムクドリモドキ
Dives dives   Melodious Blackbird ウタムクドリモドキ
Curaeus curaeus Austral Blackbird ミナミムクドリモドキ
Cardinalis cardinalis Northern Cardinal ショウジョウコウカンチョウ
Cyanicterus cyanicterus   Blue-backed Tanager セアオフウキンチョウ
Melanodera melanodera White-bridled Finch ノドグロシトド
Diuca diuca Diuca Finch* ジュウカチョウ

日ごろ目にしている鳥の中にも多くの反復種が含まれていることがわかって面白いです.

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2026/05/07

AviList に準拠した辞書ファイル

つい先日IOC List v15.2に準拠したRefsort/Ruby用辞書ファイルをアップしましたが,その時に言及したようにIOC Listはこれで打ち止めとなり,今後はAviListという業界統一チェックリストに移行されます.このチェックリストは2025年6月にリリースされたものが最新版で,AviListのWeb siteから自由にダウンロードできます.この新しいチェックリストに基づいたRefsort/Rubyの辞書ファイルを試作しましたので,アップロードしたいと思います.

今回アップするのはAviList (short) から作成したRefsort/Ruby用辞書ファイルと,AviList (short) に和名を追加したものです.AviListはご多分に漏れずMicrosoft Excelのワークシートとして作成されているのですが,構造がIOC Listのマスターファイルとは異なっているため,辞書ファイル用の情報を抽出するためのRubyスクリプトを書き直しました.このスクリプトが完全に動いているか十分に検証ができていませんので,今回アップロードしたものは試作品という扱いにしたいと思います.

Refsort/Rubyの辞書ファイルとしての形式は従来とあまり変わりませんが,ファイルの冒頭にフィールド構成を書いておきましたのでフィールド番号を指定する際に参照してください.AviList (short) にはコメントとしてBibliographic detailsとDecision summaryというフィールドがあるのですが,辞書ファイルではBibliographic detailsは省略しDecision summaryのみを収録しています.従来と大きく違うのはAvibase IDが加えられていることで,これによって迅速にAvibaseで該当種を検索することができます.

AviList v2025とIOC List v15.2との差異をチェックしながら編集作業を進めたのですが,すぐに気がついたことは,IOC Listでは亜種を種に格上げして主を分割することが積極的に行われてきたことに対して,AviListは保守的でIOC Listが種に格上げしたものを亜種に戻したケースが散見されました.これはTaxCommという委員会で議論し投票するというプロセスを経て決められていったようです.

典型的なものはアメリカコガモです.IOC List v15.2ではAnas carolinensis, Green-winged Teal, "Gmelin, JF, 1789"と独立種だったものが,AviListではAnas crecca carolinensisと亜種に引き戻されています.AviListのWeb siteではこのケースをCornell Labの写真付きで説明しています.ちなみに日本鳥類目録改訂第8版では亜種として収録されています.ところが日本鳥類目録で種として収録されたばかりのChloris kittlitzi, Bonin Greenfinch, オガサワラカワラヒワ, "(Seebohm, 1890)"はAviListではChloris sinica kittlitziと亜種に格下げされています.これはちょっと残念ですね.AviListのCore teamに日本人の名前はありませんので,今後は日本の鳥類学者の参画や意見の提出があるといいなと思います.

AviListのワークシートは分類クラスごとにセルの背景色が付けられているのですが,この色がちょっとどぎついと感じたので,私なりに淡色系に変更しています.非常に大きなワークシートなので,目的の種を探すにはスクロールしたりせずに検索メニューから入るのが良いと思います.

ダウンロードするにはここから入ってください.このブログ右側のカラムArchiveにもAviListという項目を追加しておきます.

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2026/05/01

IOC List final v15.2 released

IOC World Bird List v15.2 が予定よりも半年以上遅れてリリースされました.本来は2025年7月頃にリリースされるはずだったものが,2026年4月末になって,しかもひっそりとリリースされたのです.

それにはわけがあります.もともと7, 8年前から世界に数種類ある鳥類のチェックリストの大統一の議論が進められていて,それが昨年6月頃に初めて形を成して AviList v2025としてリリースされたのです.IOC Listは統一チェックリストの中核を担っていますので,役割を終えてAviListに移行することになったのです.乱立?していたチェックリストが統一されたので,今後はAviListが事実上唯一の権威あるチェックリストとして機能していくと思われます.

この統一作業のためIOC Listの編集者たちは大部分の時間と労力をAviListのほうに注がざるを得ず,そのためIOC Listの改訂は遅れに遅れて,最終版はマスターリストのみがひっそりとアップロードされたというわけです.従来リリースされていた種や英名や分類体系の変更点リストは今回はリリースされていません.

このような環境変化に合わせて,Refsortの辞書ファイルの元となるデータベースをIOC ListからAviListに切り替えるつもりです.従ってIOC Listベースの辞書ファイルは今回リリースするものが最後となります.今後はAviListをベースにした辞書ファイルの作成を進めていくつもりです.

今回収録されたのはが 44,が 251,が 2,389,が 11,227(うち絶滅種が 163),亜種が 19,797 です.

日本のバーダー向けに重要と思われる変更点を書こうと思ったのですが,今回は上記のように変更点リストがリリースされなかったので,変化を網羅的に拾うことができませんでした.目立ったものとしてはクイナ類の属レベルの異動が多かったという印象です.例えばヤンバルクイナHypotaenidia属からGallirallus属へ異動されています.これはAviList統一作業の中で生じた変化です.


IOC 本家の Master List (学名と英名を収録した Excel ファイル)を編集して,Refsort/Ruby 用の辞書ファイル(拡張子が .ref のテキストファイル)を作りましたので, Microsoft One Drive 上に設けた “IOC List Archive” にアップロードしました.エンコーディングは UTF-8US-ASCII の 2 種類です.正版は UTF-8 版で US-ASCII 版は簡易版ですが,詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.

このオリジナル版の辞書ファイルと併せて,全ての掲載種に和名を付与した辞書ファイル 2 種と, IOC Master List の和名追加版( Excel ファイル)も同時にリリースしました.これら和名追加辞書についても,UTF-8 でエンコードしてあるものが正版ですが,Windows などでの使い勝手を考慮して Windows-31J でエンコードしたものも同時にアップしてあります.詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.

単に種名を調べるためだけであれば,和名追加版の Master List( Excel ファイル)が最も便利です.ただし長大なワークシートなので,目的の名前をスクロールして探すのは非効率です.検索メニューからジャンプするのが良いでしょう.


これらのファイルは前述のとおり,Microsoft One Drive 上に設けた IOC List 専用のフォルダからダウンロードできます.それには,このブログ右側のコラムの最上段の Archive の中の IOC List Archive をクリックしてください.そうすると One Drive のフォルダに入ることができますので,あとは適当に選んでダウンロードしてください.


I am pleased to announce that I have posted reference files for Refsort/Ruby compiled directly from the latest and final IOC World Bird List v15.2. It contains 44 Orders, 251 Families, 2,389 Genera, 11,227 species including 163 extinct ones, and 19,797 subspecies, respectively. Please try it out, and enjoy its capability and speed.

Note that the reference file "ioclist_v152u.ref" is encoded in UTF-8 in order to retain all European accents and umlauts with complete fidelity as they are in the IOC Master List.

For those who want to use Refsort/Ruby in universal ASCII environments, I have posted another reference file "ioclist_v152a.ref" encoded in pure US-ASCII. Note that characters with accents and umlauts have been simplified to their nearest neighbors. So please be careful in particular when you refer to authorities of species.

I have also posted two different reference files "ioclist_v152ju.ref" and "ioclist_v152jw.ref" (encoded in UTF-8 and Windows-31J, respectively) which include Japanese names for all species. If you want to know Japanese names, please refer to those files.

In order to sort a list properly using these reference files, you need to align the encoding of the input file to that of the reference file, and you should add a magic comment specifying the encoding in the first line of these files, such as

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

or, add an option "-E UTF-8" into your commandline.

You can skip this process if your iput file is encoded in the default encoding of your platform, e.g., US-ASCII or Windows-31J for Windows, UTF-8 for macOS or Linux.

A master list in Excel format containing a column of Japanese names has been posted as well. This would be most convenient for quick reference.

You can download appropriate files from my area of Microsoft One Drive by clicking “IOC List Archive”. Enjoy, and bon appétit.

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2026/03/21

鳥の飛行力学 入門 第6版

2025年3月にこのブログ上で初版をリリースした「鳥の飛行力学 入門」は,改訂第2版を6月に,第3版を8月に,第4版を11月に,そして第5版を2026年1月にリリースしたのですが,このたび改訂第6版をリリースしました.初版のリリースからちょうどまる1年経ったタイミングです.われながらよく書いてきたものです.

Birdflight_v6_ch6

今回の主な改訂内容は,まず誘導パワー係数kに関するもので,これまではFlightのプリセットデータベースを読み込むと設定されていた0.9という数値を使っていたものを,1.2に変更した点です.そもそも誘導パワー係数は1よりも大きな数値になるべきなので,これまでもプリセットデータベースの設定を疑いの目で見ていたのですが,今回とうとう見切りをつけて1.2に変更しました.関連する計算をすべてやり直し,グラフもすべて描き直しました.ただし幸いなことに定性的な変更をすべき箇所は見当たりませんでした.

変更点の第2は長距離飛行に関する独立した章を新たに設けたことです.これは筋肉生理学を含まない不完全なものなのですが,それでも長距離渡り鳥の驚異的な能力を自分の手で計算することができるので,シギ類の渡りに興味がある人にはぜひ読んでもらいたい章です.

これら以外では誤植の修正,語句や表現の改良や書き直し,図の作り直しなどを続けています.この版は現時点での最新のスナップショットだとご理解ください.まだ誤記や表記の不統一,そして内容の誤りなどが残っているかもしれません.ご指摘くだされば適宜パッチを当てた刷をリリースします.

この本は自分の趣味として書いたもので,販売して金銭を得ることを考えていません.私のOneDriveに置いておきますので,ここから自由にダウンロードしてください.コピーや転載も自由です.

質問は本の後付けに書いたアドレスへのメールで受け付けますが,素早い応答は期待しないでください.ある程度質問の数がまとまったらWeb上で質疑応答をやれるといいなと思っています.

ファイル名: BirdFlight_v6.pdf
総バイト数: 6,754,627

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2026/03/15

猛禽のロール時のトリム

昨日猛花粉の中,里山の観察会に参加したときのスナップ.

歩き初めのころに上空に猛禽が出現.ハイタカのようです.日射がたっぷりだったので朝早めにも関わらずすでにサーマルはしっかり立っているのでしょう,ゆっくりと旋回しながら流れていきます.

Shishizuka_20260314_0012m

撮った写真を拡大してみてみましょう.左旋回をしているので翼は左へ(ハイタカ自身としては翼を反時計方向に)ロールしているのですが,首は水平を保っているのがよくわかります.周りの様子をよく確認しているようです.

注目は尾羽です.翼よりもさらに大きな角度で捻っているのがわかります.横風成分に対してローリングモーメントのトリムを取っているのではないかと思います.今の場合は尾羽によって時計回り方向のローリングモーメントを生み出しているはずなので,右翼から左翼方向への横風成分を受けているのではないでしょうか?合っているかな?

猛禽類では旋回中に尾羽を微妙に動かしながら飛行の安定性を取る行動が頻繁に見られます.

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2026/01/15

鳥の飛行力学 入門 第5版

2025年3月にこのブログ上で初版をリリースした「鳥の飛行力学 入門」は,改訂第2版を6月に,第3版を8月に,第4版を11月にリリースしたのですが,このたび改訂第5版をリリースしました.いつまでやるんだと文句を言われそうですが(おそらく)これで当分は打ち止めにできると思います.

今回の主な改訂内容は第6章として「アロメトリー」を挿入したことです.これはFlight付属のWing databaseに含まれている多数の個体データを用いて鳥の体格のスケーリング則を分析したものです.散布図の描画にはかなりの試行錯誤を要しましたが,何とか見られるものになったと思います.この新たな章の挿入によってそれ以降の章や節の番号,さらに数式や図表の番号がすべて1 ずつ繰り上がっていることにご注意ください.

Wing_database_mass_and_span

Deviation_multiples

また第11章に11.4節として「圧縮性の影響」を追加しました.急降下の計算では圧縮性の効果は一切考慮していないので,それに対する若干のコメントを書いたものです.

第14章 のうち14.1節の「ダイナミックソアリング」の内容に少々加筆して波頭離脱ロールの原理を考察してみました.しかしまだ十分に納得しているわけではありません.

これら以外では誤植の修正,語句や表現の改良や書き直し,図の作り直しなども行っていますが,これらにはきりがありませんので,今回の版は現時点のスナップショットだとご理解ください.まだ誤記や表記の不統一,そして内容の誤りなどが残っているかもしれません.ご指摘くだされば適宜パッチを当てた刷をリリースします.

この本は自分の趣味として書いたもので,販売して金銭を得ることを考えていません.私のOneDriveに置いておきますので,ここから自由にダウンロードしてください.コピーや転載も自由です.

質問は本の後付けに書いたアドレスへのメールで受け付けますが,素早い応答は期待しないでください.ある程度質問の数がまとまったらWeb上で質疑応答をやれるといいなと思っています.

ファイル名: BirdFlight_v5.pdf
総バイト数: 6,134,471
SHA256: 6ed54a7f110ebd9e5e573410eb7431f259167f40823ce57e7aa5557853645576

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