科学

2026/03/15

猛禽のロール時のトリム

昨日猛花粉の中,里山の観察会に参加したときのスナップ.

歩き初めのころに上空に猛禽が出現.ハイタカのようです.日射がたっぷりだったので朝早めにも関わらずすでにサーマルはしっかり立っているのでしょう,ゆっくりと旋回しながら流れていきます.

Shishizuka_20260314_0012m

撮った写真を拡大してみてみましょう.左旋回をしているので翼は左へ(ハイタカ自身としては翼を反時計方向に)ロールしているのですが,首は水平を保っているのがよくわかります.周りの様子をよく確認しているようです.

注目は尾羽です.翼よりもさらに大きな角度で捻っているのがわかります.横風成分に対してローリングモーメントのトリムを取っているのではないかと思います.今の場合は尾羽によって時計回り方向のローリングモーメントを生み出しているはずなので,右翼から左翼方向への横風成分を受けているのではないでしょうか?合っているかな?

猛禽類では旋回中に尾羽を微妙に動かしながら飛行の安定性を取る行動が頻繁に見られます.

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2026/01/15

鳥の飛行力学 入門 第5版

2025年3月にこのブログ上で初版をリリースした「鳥の飛行力学 入門」は,改訂第2版を6月に,第3版を8月に,第4版を11月にリリースしたのですが,このたび改訂第5版をリリースしました.いつまでやるんだと文句を言われそうですが(おそらく)これで当分は打ち止めにできると思います.

今回の主な改訂内容は第6章として「アロメトリー」を挿入したことです.これはFlight付属のWing databaseに含まれている多数の個体データを用いて鳥の体格のスケーリング則を分析したものです.散布図の描画にはかなりの試行錯誤を要しましたが,何とか見られるものになったと思います.この新たな章の挿入によってそれ以降の章や節の番号,さらに数式や図表の番号がすべて1 ずつ繰り上がっていることにご注意ください.

Wing_database_mass_and_span

Deviation_multiples

また第11章に11.4節として「圧縮性の影響」を追加しました.急降下の計算では圧縮性の効果は一切考慮していないので,それに対する若干のコメントを書いたものです.

第14章 のうち14.1節の「ダイナミックソアリング」の内容に少々加筆して波頭離脱ロールの原理を考察してみました.しかしまだ十分に納得しているわけではありません.

これら以外では誤植の修正,語句や表現の改良や書き直し,図の作り直しなども行っていますが,これらにはきりがありませんので,今回の版は現時点のスナップショットだとご理解ください.まだ誤記や表記の不統一,そして内容の誤りなどが残っているかもしれません.ご指摘くだされば適宜パッチを当てた刷をリリースします.

この本は自分の趣味として書いたもので,販売して金銭を得ることを考えていません.私のOneDriveに置いておきますので,ここから自由にダウンロードしてください.コピーや転載も自由です.

質問は本の後付けに書いたアドレスへのメールで受け付けますが,素早い応答は期待しないでください.ある程度質問の数がまとまったらWeb上で質疑応答をやれるといいなと思っています.

ファイル名: BirdFlight_v5.pdf
総バイト数: 6,134,471
SHA256: 6ed54a7f110ebd9e5e573410eb7431f259167f40823ce57e7aa5557853645576

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2025/11/03

鳥の飛行力学 入門 第 4 版

本年 3 月にこのブログ上で初版をリリースした「鳥の飛行力学 入門」は,改訂第 2 版を 6 月に,改訂第 3 版を 8 月にリリースしたのですが,このたび改訂第 4 版をリリースしました.

Bfv4_ss1

今回の改訂内容は第 7 章の「非定常滑空」に 7.6 節として「大高度差滑空」を加筆したのが主なものです.これは猛禽類が長距離を渡るときにサーマルを利用して高度を上げ,そこから一気に 1000 m 以上の高度差を滑空するときの力学について分析・考察したものです.高度によって空気密度が変化することを計算の中に取り入れています.

またもう一つは羽ばたき飛行によって前進力を得るメカニズムに関して第12章に新たな 12.4 節「特殊な打ち上げ行程」を加えました.これは最近の学会発表で,羽ばたきの打ち上げ行程においても前進力を得ている鳥がいることがバイオロギングによって明らかになったためです.従来の常識を覆す内容なので,自分なりに考察してみました.

これら以外では誤植の修正,語句や表現の改良や書き直し,図の作り直しなども行っていますが,これらにはきりがありませんので,今回の版は現時点のスナップショットだとご理解ください.まだ誤記や表記の不統一,そして内容の誤りなどが残っているかもしれません.ご指摘くだされば適宜パッチを当てた刷をリリースします.

この本は自分の趣味として書いたもので,販売して金銭を得ることを考えていません.私の OneDrive に置いておきますので,ここから自由にダウンロードしてください.コピーや転載も自由です.

質問は本の後付けに書いたアドレスへのメールで受け付けますが,素早い応答は期待しないでください.ある程度質問の数がまとまったら Web 上で質疑応答をやれるといいなと思っています.

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2025/08/17

鳥の飛行力学 入門 第 3 版

3 月にこのブログ上でリリースした「鳥の飛行力学 入門」ですが,改訂第 2 版を 6 月にリリースしたのに続き,このたび改訂第 3 版をリリースしました.

Bfv3_ss1

前回の第 2 版は初版に対するバグフィックス版というべきものに近く,あまり新規のテーマを追加することはできなかったのですが,今回はある程度時間をかけて新しい内容を追加しました.また語句や表現の細かな修正や,図の修正なども行っています.特に回復飛行と引き起こしに関しては内容を大幅に拡充させています.また地面効果についても言及する節を加えました.

Bfv3_ss2

これで今の私が書くことができる内容はほぼ網羅したはずなので,当分の間は改訂は打ち止めにしようと思っています.しかし誤記や内容の誤りなどがありましたら,ご指摘くだされば適宜パッチを当てた刷をリリースするつもりです.

この本は自分の趣味として書いたもので,販売して金銭を得ることを考えていません.私の OneDrive に置いておきますので,ここから自由にダウンロードしてください.コピーや転載も自由です.

質問は本の後付けに書いたアドレスへのメールで受け付けますが,素早い応答は期待しないでください.ある程度質問の数がまとまったら Web 上で質疑応答をやれるといいなと思っています.

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2025/06/07

鳥の飛行力学 入門 第 2 版

3月にこのブログ上でリリースした「鳥の飛行力学 入門」ですが,改訂第2版をリリースしました.

改訂の目玉は,新しく独立した章を設けて「回復飛行と引き起こし」について詳しく記述したことです.回復飛行に関する従来の論文では直線飛行から円弧に移行する軌道を前提にして,鳥の体に加わる慣性加速度を議論することが多かったのですが,これは加速度の不連続性を生むため現実にはあり得ません.現実の航空機や鳥はもっと滑らかな曲線を描くはずなので,今回はクロソイド曲線と円弧をつなぐ軌道をモデルにしてシミュレーションを行った結果を説明しました.ハヤブサが 6.0 G の加速度の下で引き起こしできるかを論じています.

Clothoid_curve

それ以外にも章立ての順序を変更したり,多数の箇所で語句を書き換えたり,後注の内容を充実させたりしました.初版に比べると言い回しも(多少)改善されたのではないかと思います.

Inertial_acceleration

この本は自分の趣味として書いたもので,販売して金銭を得ることを考えていません.そのため私の OneDrive に置いておきますので,ここから自由にダウンロードしてください.コピーや転載も自由です.

質問は巻末に書いたアドレスへのメールで受け付けますが,素早い応答は期待しないでください.ある程度質問の数がまとまったら Web 上で質疑応答をやれるといいなと思っています.

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2025/03/15

「鳥の飛行力学 入門」書きました

日ごろ鳥が飛ぶ姿を見てはその飛行制御に感嘆しているのですが,鳥が飛べる秘密を解明したい,鳥のように空を飛びたいという思いは世界共通です.古くから鳥を模倣して空を飛ぶ試みが続けられ,ようやく20世紀初頭になって有人動力飛行が実現したことはご存じの通り.

一方,鳥やコウモリや昆虫など生物の飛行そのものの研究も進んでおり,次々に興味深い事実が明らかにされつつあります.その中でも鳥の飛行は一つの典型として古くから研究され,かなりの程度体系化が進んでいます.私は一昨年から昨年にかけて,英国 Bristol 大学の故 Pennucuick 教授が書いた “Modelling the Flying Bird” という教科書を通読して,現代の研究水準を学びました.

しかし物理学や工学を専門としない読者にとってその内容を消化するのは敷居が高いと感じ,また数式も頭ごなしに書いてあるだけで導出過程は省略されていることが多く,独学で読み進むのは難しいと思いました.

一時はこの本の翻訳出版を考え,半年以上かけて翻訳したのち,あちこちの出版社に打診したのですが,あまりにニッチな分野であり予想販売部数が少なすぎる,翻訳の権利処理にも手間と費用がかかるという理由で断られてしまいました.

Ch3_image_20250315112401

それでは,この本を下敷きにしつつも,基本的な部分に範囲を絞って自分なりに書き下ろしてみようと思い,3か月程度で完成させたのが今回紹介する「鳥の飛行力学 入門」です.全体で 120 ページほどの小冊子ですが,鳥の飛行の原理を力学的パワーを主軸として解説したものです.対象とする読者は,高校卒業程度の数学と物理学の知識を持ち,鳥や飛行機が飛ぶ仕組みを物理法則に基づいて学びたい,一般向けの比喩や雰囲気でごまかした説明には満足できないという人たちです.また模型飛行機,グライダー,人力飛行機などのスカイスポーツの愛好者にもお勧めできます.なぜなら鳥も飛行機も同じ物理法則に従って飛んでいるからです.

そのため運動量保存則などの基本原理に従って数式を導出し,さらにその数式を現実の鳥の形態データに当てはめて計算する例を多く作りました.またそれらをできるだけグラフにして視覚的に理解しやすいように努めました.また大きな特徴は印刷出版することを前提としていないことです.PDF 閲覧ソフトで読むことを想定し,たくさんのハイパーリンクを本の内外に張っていますので,図や数式などを参照するのがとても楽です.

この本は自分の趣味として書いたもので,販売して金銭を得ることを考えていません.そのため私の OneDrive に置いておきますので,ここから自由にダウンロードしてください.コピーや転載も自由です.

質問は巻末に書いたアドレスへのメールで受け付けますが,素早い応答は期待しないでください.ある程度質問の数がまとまったら Web 上で質疑応答をやれるといいなと思っています.

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2025/03/12

IOC List v15.1 Released

IOC World Bird List v15.1 が予定よりもだいぶ遅れてリリースされました.これは 2025 年 1 回目のリリースです.遅れてとはいうものの,前回 2024 年 8 月 27 日のリリースからちょうど 6 か月経ってからのリリースなので,リリース間隔としては通常通りです.移行完了日は 3 月 9 日とされているのですが,Master List が公開されたのは 2 月 28 日だったので,私としてはその日をリリースの日としたいと思います.

今回収録されたのはが 44,が 256,が 2,396,が 11,250(うち絶滅種が 164),亜種が 19,774 です.

今回は過去に独立種とされた種が亜種に格下げされる例が多く,そのために種の数が減少し,代わりに亜種の数が増加しています.また属や科の中でのシーケンス(掲載順序)が大幅に変更されたものがありますが,これはリストを見て確認してもらうしかありませんので,ここでの説明は省略します.

日本のバーダー向けに重要と思われる変更点を書こうと思ったのですが,今回は特に記すべきことはありません.英名はそれなりの数の変更がありましたので,興味のある方は Updates の English names を見ておくとよいと思います.


IOC 本家の Master List (学名と英名を収録した Excel ファイル)を編集して,Refsort/Ruby 用の辞書ファイル(拡張子が .ref のテキストファイル)を作りましたので, Microsoft One Drive 上に設けた “IOC List Archive” にアップロードしました.エンコーディングは UTF-8US-ASCII の 2 種類です.正版は UTF-8 版で US-ASCII 版は簡易版ですが,詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.


このオリジナル版の辞書ファイルと併せて,全ての掲載種に和名を付与した辞書ファイル 2 種と, IOC Master List の和名追加版( Excel ファイル)も同時にリリースしました.これら和名追加辞書についても,UTF-8 でエンコードしてあるものが正版ですが,Windows などでの使い勝手を考慮して Windows-31J でエンコードしたものも同時にアップしてあります.詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.

単に種名を調べるためだけであれば,和名追加版の Master List( Excel ファイル)が最も便利です.ただし長大なワークシートなので,目的の名前をスクロールして探すのは非効率です.検索メニューからジャンプするのが良いでしょう.


これらのファイルは前述のとおり,Microsoft One Drive 上に設けた IOC List 専用のフォルダからダウンロードできます.それには,このブログ右側のコラムの最上段の Archive の中の IOC List Archive をクリックしてください.そうすると One Drive のフォルダに入ることができますので,あとは適当に選んでダウンロードしてください.


I am pleased to announce that I have posted reference files for Refsort/Ruby compiled directly from the latest IOC World Bird List v15.1. It contains 44 Orders, 256 Families, 2,396 Genera, 11,250 species including 164 extinct ones, and 19,774 subspecies, respectively. Please try it out, and enjoy its capability and speed.

Note that the reference file "ioclist_v151u.ref" is encoded in UTF-8 in order to retain all European accents and umlauts with complete fidelity as they are in the IOC Master List.

For those who want to use Refsort/Ruby in universal ASCII environments, I have posted another reference file "ioclist_v151a.ref" encoded in pure US-ASCII. Note that characters with accents and umlauts have been simplified to their nearest neighbors. So please be careful in particular when you refer to authorities of species.

I have also posted two different reference files "ioclist_v151ju.ref" and "ioclist_v151jw.ref" (encoded in UTF-8 and Windows-31J, respectively) which include Japanese names for all species. If you want to know Japanese names, please refer to those files.

In order to sort a list properly using these reference files, you need to align the encoding of the input file to that of the reference file, and you should add a magic comment specifying the encoding in the first line of these files, such as

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

or, add an option "-E UTF-8" into your commandline.

You can skip this process if your iput file is encoded in the default encoding of your platform, e.g., US-ASCII or Windows-31J for Windows, UTF-8 for macOS or Linux.

A master list in Excel format containing a column of Japanese names has been posted as well. This would be most convenient for quick reference.

You can download appropriate files from my area of Microsoft One Drive by clicking “IOC List Archive”. Enjoy, and bon appétit.

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2024/10/16

ナガサキアゲハ

今日の散歩のスナップ,ナガサキアゲハです.江戸時代までは九州以南にしかいなかったようですが,その後生息域を拡大.当地,茨城県南部では今は普通に見られます.種分化が進みつつあるようなので,亜種の同定は難しそう.

Fallaroundhome_oct2024_0015m

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2024/10/13

日本鳥類目録第8版に準拠したRefsort/Ruby用辞書ファイル

日本鳥学会による権威あるチェックリストで,日本で確認された野鳥を体系的に網羅した「日本鳥類目録」の改訂第 8 版がようやく出版されました.前回の改訂が 2012 年のことだったので,実に 12 年ぶりの改訂です.本来は 2022 年の出版をめざしていたようですが,COVID-19 にぶち当たって作業が停滞してしまったようです.また今回は事前に広くパブリックコメントを募集し,その内容を反映させることも行ったので,余計に時間がかかったのだと思います.

ところが出版されたのは何と印刷製本された紙の本だけ.一体 Excel のワークシートや XML 版のデータベースはどうしたのでしょう?世界のチェックリストはとうの昔に電子データのみの提供に移っているのに.これでは使い勝手が悪くて実用に供されないのではと心配になります.ひょっとすると,まず印刷製本されたものを売って費用を回収してから電子データを提供するつもりかもしれません.

ただし印刷版を見て驚きました.常識的な組版規則が守られていないからです.項目がページ最下行から始まっている箇所が多数.これを出版関係者が見たらかなり首をかしげるはずです.しかし関係者が費やした時間と苦労は大変なものだったものと想像されるので,苦言はここまで.

日本鳥類目録が新しくなったので,Refsort/Ruby用の辞書も新しくしなければなりません.というわけで,昨年リリースされたドラフト版の電子データを使って試作品は作ってあったのですが,今回の正式版リリース後に修正作業を始め,ようやく完成したところです.

今回のチェックリストには,25 の目,91 の科,299 の属,681 の種,439 の亜種が収録されています.これらを忠実に反映させ,さらに目録に記載されている通し番号と,目録中のページ番号もデータフィールドに加えました.またIOC List との大きな差異がある場合はコメントを追記しました.

ちょっと気になったのは命名者表記です.命名者に同姓の人物がいる場合はイニシャルを追加して区別できるようにするのが普通なのですが,イニシャルが付いている命名者は皆無でした.従って,Charadrius placidus イカルチドリの命名者は IOC List だと Gray, JE & Gray, GR, 1863 なのですが,日本鳥類目録では Gray & Gray, 1863 とだけ書かれています.JE Gray とは John Edward Gray というイギリスの動物学者.GR Gray はその弟の鳥類学者 George Robert Gray です.博物学者には兄弟や親子の例が多いので区別は必要なはず. ご多分に漏れず彼らの父親 Samuel Frederick Gray は植物学者でした.


辞書ファイルのエンコーディングは UTF-8 と Windows-31J (SJIS) で,前者が正版,後者は簡略版です.理由は後者では命名者表記に含まれるウムラウトやアクセントを最も近い文字に簡略化しているからです.またこの改訂に合わせてユーザーズガイドも改訂しました.これらのファイルは Microsoft One Drive 上に設けた専用フォルダからダウンロードできます.それには,このブログ右側のコラムの最上段の Archive の中の Japan Bird List Archive をクリックしてください.そうすると One Drive のフォルダに入ることができますので,あとは適当に選んでダウンロードしてください.

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2024/08/27

IOC List v14.2 Released

IOC World Bird List v14.2 が予定よりもだいぶ遅れてリリースされました.これは 2024 年 2 回目のリリースです.

前回 2023 年 12 月末(公称 2024 年第 1 回)のリリースから 8 か月もかかっていますので,6 か月周期でのリリースが原則のはずの IOC List にとっては非常に変則的です.編集長やスタッフの予定がうまく取れなかったのでしょうか.何しろ全員ボランティアですから.ただし正式なリリース日が判然としないのは前回と同様です.これ困るんですけど.私としては 8 月 27 日をリリースの日と見なしたいと思います.

今回収録されたのはが 44,が 254,が 2,392,が 11,276(うち絶滅種が 163),亜種が 19,756 です.

今回は属レベルの異動が大変多く,Refsort の辞書ファイルの編集には大変時間がかかりました.しかも過去の分類に戻すような修正も目立ちました.例によって日本のバーダー向けに重要と思われる変更点を書いておきます.

  1. Ixobrychus ヨシゴイ属が廃止され Botaurus サンカノゴイ属に併合されました.その結果従来ヨシゴイ属だったすべての種の属名が変更されました.これは非常に大きな変更です.変更内容をそのまま引用すると,mtDNA and UCE genetic studies reveal that Ixobrychus is not monophyletc but is rather paraphyletic relative to Botaurus (Päckert et al. 2014; Hruska et al. 2023). Merge Ixobrychus into Botaurus (Chesser et al. 2024). 日本のバーダーにとって影響がありそうなのは,B. flavicollis タカサゴクロサギ,B. f. flavicollis 亜種タカサゴクロサギ,B. cinnamomeus リュウキュウヨシゴイ,B. sinensis ヨシゴイだと思われます.
  2. Bubulcus アマサギ属が廃止され,Bubulcus ibis Western Cattle Egret ニシアマサギと Bubulcus coromandus Eastern Cattle Egret アマサギは Ardea アオサギ属に異動し,A. ibisA. coromanda となりました.後者の種小名の語尾が性によって変化していることに注意.これも大きな変更です.コメントを引用すると,Phylogenetic analysis based on UCE elements reveals that Bubulcus is embedded in Ardea (Hruska et al. 2023).
  3. タカ類でも大きな変更が行われました.そのまま引用すると,Tachyspiza Kaup 1844 is resurrected as a genus to resolve the non-monophyly in the genus Accipiter demonstrated in phylogenetic analyzes (Lerner & Mindell 2005; Mindell et al. 2018) following Catanach et al. (2024). つまり Accipiter ハイタカ属の中の単系統群でないと考えられるものを Tachyspiza に移したということのようです.日本のバーダーに関係しそうなものは T. badia タカサゴダカ,T. soloensis アカハラダカ,T. gularis ツミ,T. g. gularis 亜種ツミ,T. g. iwasakii 亜種リュウキュウツミくらいでしょうか.
  4. さらに同じ理由で Astur Lacépède, 1799 is resurrected as a genus to resolve the non-monophyly in the genus Accipiter demonstrated in phylogenetic analyzes (Lerner & Mindell 2005; Mindell et al. 2018) following Sangster et al. (2012); Catanach et al. (2024), ということで,Accipiter ハイタカ属から Astur 属に異動した種のうち,日本に関係するのは A. gentilis オオタカと A. gentilis fujiyamae 亜種オオタカです.
  5. Upupa epops ヤツガシラの亜種 U. e. saturata が基亜種から分離されました.,日本で見られるヤツガシラはおそらくこれなのですが,日本鳥類目録には基亜種 U. e. epops が亜種ヤツガシラとして掲載されていますので,近い将来に調整が必要と思われます.
  6. Nucifraga caryocatactes Spotted Nutcracker ホシガラスが分割されて N. hemispila Southern Nutcracker という種が作られた関係で,ホシガラスの英名が Northern Nutcracker に変更されました.
  7. シジュウカラ類の分類が変更されました.従来は Parus cinereus (Cinereous Tit) と Parus minor (Japanese Tit) が Parus major から切り出されて独立種として扱われてきたのですが,最近の研究で Parus major という複合群は,東アジアの P. cinereus (cinereus + minor) と,旧北区の残りの地域の P. major (major + bokharensis) の 2 種から成るよう解釈すべきとされたようです.この結果日本で見られるシジュウカラは種としては P. cinereus,亜種としては P. c. minor ということになります.これに伴い,亜種アマミシジュウカラ,亜種オキナワシジュウカラ,亜種イシガキシジュウカラもそれぞれ P. c. amamiensisP. c. okinawaeP. c. nigriloris となります.さらに従来 P. cinereus に(私が勝手に)与えていた和名のハイイロシジュウカラは削除することになります.
  8. Cecropis daurica Red-rumped Swallow コシアカツバメが分割されて C. rufula European Red-rumped Swallow という種が作られた関係で,コシアカツバメの英名が Eastern Red-rumped Swallow に変更されました.
  9. 従来タヒバリは Anthus rubescens Buff-bellied Pipit として扱われてきましたが,今回種が分割されて,従来A. r. japonicus 亜種タヒバリとされきたものが種に昇格して A. japonicus Siberian Pipit となりました.つまりこれが日本で見られるタヒバリです.分割された残りの A. rubescens の英名は American Pipit に変更されました.
  10. Chloris sinica カワラヒワ の英名が Grey-capped Greenfinch から Oriental Greenfinch に変更されました.
  11. これまで Acanthis flammea Redpoll ベニヒワの分類は十分に確立されたものではなかったのですが,今回は従来独立種としていた A. cabaretA. hornemanniflammea の亜種に格下げしました.その結果 flammea には 5 亜種がぶら下がることになりました.
  12. (参考)日本のバーダーには関係ありませんが特筆すべきイベントなので書いておきます.これまで Turdus poliocephalus Island Thrush と一括りに扱われていた種複合群が今回 17 種に分割されました.しかもこの分割はまだ保守的なレベルであって,今後さらに細分化されていくだろうとのことです.それらのうち Turdus mindorensis Mindoro Island Thrush が最も基盤となる種だそうです.

2024 年 9 月に日本鳥学会の日本鳥類目録改訂第 8 版のリリースが予定されていますが,今回の IOC List の変更を取り込むのは無理だと思われるので,しばらくは属名のくい違いで悩む人が出て来そうです.


IOC 本家の Master List (学名と英名を収録した Excel ファイル)を編集して,Refsort/Ruby 用の辞書ファイル(拡張子が .ref のテキストファイル)を作りましたので, Microsoft One Drive 上に設けた “IOC List Archive” にアップロードしました.エンコーディングは UTF-8US-ASCII の 2 種類です.正版は UTF-8 版で US-ASCII 版は簡易版ですが,詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.


このオリジナル版の辞書ファイルと併せて,全ての掲載種に和名を付与した辞書ファイル 2 種と, IOC Master List の和名追加版( Excel ファイル)も同時にリリースしました.これら和名追加辞書についても,UTF-8 でエンコードしてあるものが正版ですが,Windows などでの使い勝手を考慮して Windows-31J でエンコードしたものも同時にアップしてあります.詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.

単に種名を調べるためだけであれば,和名追加版の Master List( Excel ファイル)が最も便利です.ただし長大なワークシートなので,目的の名前をスクロールして探すのは非効率です.検索メニューからジャンプするのが良いでしょう.


これらのファイルは前述のとおり,Microsoft One Drive 上に設けた IOC List 専用のフォルダからダウンロードできます.それには,このブログ右側のコラムの最上段の Archive の中の IOC List Archive をクリックしてください.そうすると One Drive のフォルダに入ることができますので,あとは適当に選んでダウンロードしてください.


I am pleased to announce that I have posted reference files for Refsort/Ruby compiled directly from the latest IOC World Bird List v14.2. It contains 44 Orders, 254 Families, 2,392 Genera, 11,276 species including 163 extinct ones, and 19,756 subspecies, respectively. Please try it out, and enjoy its capability and speed.

Note that the reference file "ioclist_v142u.ref" is encoded in UTF-8 in order to retain all European accents and umlauts with complete fidelity as they are in the IOC Master List.

For those who want to use Refsort/Ruby in universal ASCII environments, I have posted another reference file "ioclist_v142a.ref" encoded in pure US-ASCII. Note that characters with accents and umlauts have been simplified to their nearest neighbors. So please be careful in particular when you refer to authorities of species.

I have also posted two different reference files "ioclist_v142ju.ref" and "ioclist_v142jw.ref" (encoded in UTF-8 and Windows-31J, respectively) which include Japanese names for all species. If you want to know Japanese names, please refer to those files.

In order to sort a list properly using these reference files, you need to align the encoding of the input file to that of the reference file, and you should add a magic comment specifying the encoding in the first line of these files, such as

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

or, add an option "-E UTF-8" into your commandline.

You can skip this process if your iput file is encoded in the default encoding of your platform, e.g., US-ASCII or Windows-31J for Windows, UTF-8 for macOS or Linux.

A master list in Excel format containing a column of Japanese names has been posted as well. This would be most convenient for quick reference.

You can download appropriate files from my area of Microsoft One Drive by clicking “IOC List Archive”. Enjoy, and bon appétit.

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