IT関連情報

2023/02/04

IOC List v13.1 Released

IOC World Bird List v13.1 が 1 月 29 日にリリースされました.これは 2023 年 1 回目のリリースです.前回 2022 年 8 月のリリース(実は前回のリリース日は不明確)から 5 か月強でのアップデートとなりました.

今回収録されたのはが 44 ,が 253,が 2,385 ,が 11,140 (うち絶滅種が 160 ),亜種が 19,830 です.

前回 v12.2 と比較するとかなり多数 (> 70) の種が亜種から昇格したり,新種として収録されたりしていますので,比較的大きな変化があったと言うべきだと思います.しかし亜種の変更は 12 と少なく,英名の変更も 20 種程度でした.

ただし英名の変更のうち,亜種から昇格させた種に親元の英名を付け替え,その英名を奪われた親元の種に新しい英名を割り当てる事例が複数あったので,非常にややこしく,注意が必要です.チェックリストの連続性や安定性よりもその時々での正当性を優先する姿勢が明確なのが IOC なのだと思うしかありません.これらのケースでは和名をどうするか大変悩まされました.

別の見方をすると,これは名前を単なる識別記号と思う (Nominalism) のではなく,名前には意味があると考える (Realism) 思想です.であれば,コマドリ(Larvivora akahige)アカヒゲ (Larvivora komadori) の学名の誤登録をいいかげん修正してほしいと思うのですが,起きるであろう混乱を考えると躊躇してしまうのでしょう.

例によって日本のバーダー向けに重要と思われる変更点を書いておきます.今回は数は少ないながらも重要な変更が 2 点ありました.

  1. Larvivora akahige tanensis,亜種タネコマドリが種に昇格し,L. tanensis, Izu Robin となりましたので,和名をタネコマドリとしました.伊豆諸島や小笠原諸島の固有亜種だったもので種に昇格したものが増えてきました.
  2. これまで Bubo 属の中に含められていたワシミミズク 9 種が Ketupa 属にまとめられて外に出されました.その結果 Bubo blakistoni, Blakiston's Fish Owl,シマフクロウの学名が Ketupa blakistoni と変更されました.ちなみにこれまで tautonym の代表のひとつだった Bubo bubo,ワシミミズクはそのまま健在です.

今年 9 月に日本鳥学会の日本鳥類目録改訂第 8 版のリリースが予定されていますが,上記の変更を含めて 11 年の間に溜まりに溜まった世界の鳥類目録との差異がどのように反映されるのか,見守りたいと思います.すでにパブリックコメントに寄せられている意見とそれに対する回答は大変興味深いです.


IOC 本家の Master List(学名と英名を収録した Excel ファイル)を編集して,Refsort/Ruby 用の辞書ファイル(拡張子が .ref のテキストファイル)を作りましたので,Microsoft One Drive 上に設けた “IOC List Archive” にアップロードしました.エンコーディングは UTF-8US-ASCII の2種類です.正版は UTF-8 版で US-ASCII 版は簡易版ですが,詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.


このオリジナル版の辞書ファイルと併せて,全ての掲載種に和名を付与した辞書ファイル 2 種と,IOC Master List の和名追加版(Excel ファイル)も同時にリリースしました.これら和名追加辞書についても,UTF-8 でエンコードしてあるものが正版ですが,Windows などでの使い勝手を考慮して Windows-31J でエンコードしたものも同時にアップしてあります.詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.

単に種名を調べるためだけであれば,和名追加版の Master List(Excel ファイル)が最も便利です.ただし長大なワークシートなので,目的の名前をスクロールして探すのは非効率です.検索メニューからジャンプするのが良いでしょう.


これらのファイルは前述のとおり,Microsoft One Drive 上に設けた IOC List 専用のフォルダからダウンロードできます.それには,このブログ右側のコラムの最上段の Archive の中の IOC List Archive をクリックしてください.そうすると One Drive のフォルダに入ることができますので,あとは適当に選んでダウンロードしてください.


I am pleased to announce that I have posted reference files for Refsort/Ruby compiled directly from the latest IOC World Bird List v13.1. It contains 44 Orders, 253 Families, 2,385 Genera, 11,140 species including 160 extinct ones, and 19,830 subspecies, respectively. Please try it out, and enjoy its capability and speed.

Note that the reference file "ioclist_v131u.ref" is encoded in UTF-8 in order to retain all European accents and umlauts with complete fidelity as they are in the IOC Master List.

For those who want to use Refsort/Ruby in universal ASCII environments, I have posted another reference file "ioclist_v131a.ref" encoded in pure US-ASCII. Note that characters with accents and umlauts have been simplified to their nearest neighbors. So please be careful in particular when you refer to authorities of species.

I have also posted two different reference files "ioclist_v131ju.ref" and "ioclist_v131jw.ref" (encoded in UTF-8 and Windows-31J, respectively) which include Japanese names for all species. If you want to know Japanese names, please refer to those files.

In order to sort a list properly using these reference files, you need to align the encoding of the input file to that of the reference file, and you should add a magic comment specifying the encoding in the first line of these files, such as

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

or, add an option "-E UTF-8" into your commandline.

You can skip this process if your iput file is encoded in the default encoding of your platform, e.g., US-ASCII or Windows-31J for Windows, UTF-8 for macOS or Linux.

A master list in Excel format containing a column of Japanese names has been posted as well. This would be most convenient for quick reference.

You can download appropriate files from my area of Microsoft One Drive by clicking “IOC List Archive”. Enjoy, and bon appétit.

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2023/01/29

Refsort/Ruby v3.75 released

辞書参照型ソーティング・フィルタ Refsort/Ruby (新しいほうから *1 *2 *3 *4 *5)の改訂版 v3.75 をリリースしました.今回の改訂内容は完全に内部的なもので,あるメソッドの実装を自家製から標準ライブラリ収録のものに変更したことと,細かなバグフィックスや最適化です.仕様の変更や機能の追加はありません.

このスクリプトは昨年末のクリスマスにアップデートされたばかりの Ruby 3.20 で動作することを確認しています.また近日中にリリースする予定の IOC World BIrd List v13.1 をもとにした辞書ファイルを使った動作も確認しています.

Refsort/Ruby とそれに関連するコンテンツのアーカイブを Microsoft One Drive に置いています.画面右側コラムの Archive の中の Refsort/Ruby Archive をクリックしていただくと,私の OneDrive 上に設けたライブラリが開きますので,そこから過去分も含めてファイルをダウンロードすることができます. Refsort 本体の refsort.rb は refsort_v375.rb というファイル名でアップロードされていますので,ダウンロード後に refsort.rb に変更するとよいでしょう.改行コードも CR/LF になっていますので,適宜変更してお使いください.エンコーディングは純粋な US-ASCII ですので,そのままでよいでしょう.

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2022/12/10

やっと買い場がやって来る

半導体業界が不況期に入っています.これはコロナ禍で在宅勤務需要が激増し,パソコンや Web カメラやプリンターなどが爆発的に売れた反動です.今年夏にはすでにメモリの在庫が積み上がり,プロセッサもだぶつき始めたのが今に続いています.いわゆるシリコンサイクルの谷が変則的に増幅されて現れたものと思えばよいのですが,今日はそれをうまく利用しましょうというお話で,株で儲けようという話ではありません.

3 年ほど前から暗号通貨のマイニングで金もうけをたくらむ輩が世界的に(特に中国で)増え,それに使うためのビデオカードの需要が激増.このためビデオカードの価格が爆謄して,それは今でもまだ収まっていません.これに加えて同時期にコロナ禍でプロセッサもメモリも高騰したので,ここ 2 年ほどは PC を更新しようにも出来ない状態が続いてイライラが募っていました.

そしてようやくの半導体不況です.メモリや SSD は秋頃から大幅な価格下落,プロセッサもじわじわと値を下げつつあります.ビデオカードはまだ下げ余地があり,年明けに NVIDIA の新しい 40 シリーズが本格出荷されれば,旧機種を中心に下落すると思われます.

ということで,年明け 2 月ころの調達を目標に PC の更新計画を立ててみました.プロセッサは第 13 世代 Core i7 の K なし.メモリは DDR5 の 32GB をすでに調達済みです.OS 収納用の SSD には現在使用中のものを流用.データ収納用としては HDD から 2TB 程度の SSD に乗り換えるつもりです.さらに自動バックアップ用に 2 台の 3.5 インチ HDD をミラーリングして記憶域を構成していたのですが,重量が増してケースを持ち上げるのに苦労したので,2.5 インチの HDD 2 台に換装しようと思います.これらも一気に SSD 化しようかと思ったのですが,価格を考えるとまだ HDD が有利と判断しました.

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Photo from pixabay

最も頭を悩ませているのがマザーボードです.業界全体で価格水準が高止まりしており,こちらは下がる気配がありません.数年前に比べると 2-3 倍の価格になっているので,どの程度のグレードのもので妥協するのか思案中です.CPU の冷却は空冷を堅持.

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Photo from ASUS

そしてこれまで装着していなかったビデオカードを購入しようかと思っているのですが,目安としては Microsoft Flight Simulater が満足に動作することを目ざすので RTX 3060 Ti クラス以上.価格がどの程度まで下げるのかを見極めたいと思います.

全部合わせて何とか 20 万円台前半で収まらないか,価格調査を始めてみようと思います.

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2022/12/07

Windows 11 にアップデート

Windows 11 がリリースされてもう一年以上が経っているのですが,これまで Windows 10 を使い続けてきました.その理由は Windows の最近のスタートメニューの代わりに Windows 7 で使い慣れてきたスタートメニューを再現する Open-Shell (旧称 Classic Shell) というソフトウェアを使い続けたかったからです.特にジャンプリストの使い勝手の良さは一度慣れてしまうと手放すことができないくらいです.しかしこのソフトウェアは Windows 11 には未対応という状況が続いていたので,Windows 11 には興味があったものの Windows 10 を使い続けざるを得なかったのです.

一方私の家人は非常に保守的で,ソフトウェアの新しいアップデートが配信されても「仕様が変わって今まで出来ていたことができなくなるかもしれないのは嫌だ」と言って,古いバージョンを使い続けたがる人です.

しかしようやく昨日になって Open-Shell のアップデートが行われて Windows 11 に対応した旨アナウンスされました.そこで今朝から Windows 11 へのアップデートを敢行し,現在その上でこの記事を書いているところです.ちなみにアップデートには 1 時間ほどかかり,コーヒーを沸かして飲んでいる間に終了というわけにはいきませんでした.けっこう長くかかったなという印象です.

色々なユーザーインターフェースの見た目が変更されているのは良いとして,各種設定に必要なツールが集約されつつあるのを感じます.それでも「デバイスマネージャ」はいまだに健在ですし「コンピューターの管理」も従来のまま存在します.ただし従来のようにこれらに直接アクセスするよりは,スタートメニューの「設定」から個々の設定ツールに誘導するというポリシーが明白になってきました.全体としてはもう少し設定に関する依存関係を整理したほうが良いと思います.

まあ基本的な使い勝手は,Open-Shell を使い続ける限りは Windows 10 とほとんど変わりませんので,大きな不満はありません.ただしエクスプローラは外観が可愛くなりすぎで,かえって使いにくくなったと思います.もっと事務机的な無骨なツールであってほしい.

システム内部ではいろいろなコンポーネントが新しくなって安全かつ効率よくなっている「はず」なので,当面使い続けて行こうと思います.

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2022/11/04

20 年選手の ONU が壊れた

先週,自宅からインターネットへの接続が突然できなくなりました.何の障害かな?と思ってONU とルータの電源を入れ直してみると 30 分程度で復旧しました.やれやれと思っていたのですが,一昨日再びインターネット接続ができなくなり,今度は一夜経ても症状は改善しませんでした.ONU のパイロットランプは正常であることを示しているのに.

仕方がないので NTT のコールセンターへ連絡.ところが以前と違って web113 というサービスサイトから故障情報の入力や問い合わせをするよう誘導されます.コールセンターをできる限り低コストで運用したいのでしょう.スマートフォンから web113 にアクセスして,局から自宅の ONU までの回線状況を確認すると,これが良と出ました.うーむ.

ではルーターの故障かと思うのですが,LAN 内の通信は問題なくできており,NAS の読み書きも正常にできるので,ルーターが壊れたとは考えにくい.この ONU が我が家にやって来たのが 20 年も前だということを考えると,やはり ONU を疑いたくなります.先週の不具合は故障の前兆だったのではないか?ONU とは PON と総称される光回線と電気信号を相互変換するための装置.古い機器なので発熱量が大きいことが長年気がかりでした.発熱量は故障率に直結します.

仕方がないので,web113 をしつこく勧める自動音声を無視してオペレータにつないでもらいました.症状を伝え,改めて回線状況やプロバイダーの障害情報を調べてもらったのですが,特に異常はありません.

それでは ONU を交換しましょうということになりましたが,代替品を宅配便で送るので自分で交換してくれというのです.自宅の光配線は壁のアウトレットに光ソケットが付けてあるので,ユーザーが自分で簡単に光ケーブルを抜き差しできるのです.これもサービスコストの削減の一環なのでしょう.以前だと高所作業車がやって来て,電柱の光クロージャから,保安器,宅内の ONU までの状況を調べてくれたのですが,これは遠隔で確認済みなので不要なのでしょう.

翌日 ONU が届きました.何の色気もない黒いプラスチックの筐体で,しかもリファービッシュ品でした.今回は ONU 側も光ソケットになっているので安心して交換できます.交換して電源を入れると自動的に ONU の登録が始まり,15分ほどで認証が完了.すぐに何ごともなかったかのように開通しました.やはり古い ONU が壊れていたのです.今度の ONU はほとんど発熱しないところが気に入りました.

約 1 日半にわたってスマートフォン以外ではインターネットにつなぐことができず,まるで約 30 年ほど前のパソコン環境に戻ったかのような感覚に捕らわれました.しかし当時はそれでも嬉々としてパソコンをいじっていたわけで,やれることはたくさんあったのです.その後アナログ回線にモデムをつなぐことからパソコン通信が始まったのでした.ああ懐かしい.

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2022/10/22

Photoshop と Bridge の困ったところ

今週,業界標準の画像処理ソフトウェア Adobe 社Photoshop が v.24.0 にメジャー・ヴァージョンアップしました.だいたい秋の今ごろの恒例行事です.ソフトウェアのヴァージョンの小数点以上の部分の数字が一つ上がって新機能の提供が行われます. Photoshop のコンパニオン・ソフトウェアである画像の整理・ブラウザである Bridge も同時に v.13.0 という新版が提供されました.

ヴァージョンアップしろと通知が来たので素直に従って使い始めたのですが,これがいけません.昨年のメジャー・ヴァージョンアップのときもそうだったのですが,お約束のように重大なバグが入り込んでいます.それも新機能に関係したバグというよりも,これまで問題なく使うことができていた馴染みの機能に,バグやユーザーに不便を強いる仕様変更が入り込んでいることが多いのです.

昨年の Bridge では,画像の取り込み機能に番号付けの順序がそれまでとは逆になるという,かなり重大なバグが入り込み,これが直されるまでひと月程度かかりました.業務用のソフトウェアでこれは許しがたいことです.

今年の Bridge ではテキストサイズの選択肢がそれまでの 4 段階から 3 段階に減らされ,私の環境ではちょうどいいサイズを選べなくなってしまいました.これは作業性に強く影響するので,新しいヴァージョンはさっさとアンインストールし,古いヴァージョンを再インストールして使っています.

Photoshop においては,目玉機能のはずの「オブジェクト選択ツール」に時間がかかりすぎるというバグ(あるいは無理な仕様)が入り込んでいます.これは旧版でもさんざん指摘されていたことですが症状は一段とひどくなっており,この機能を使うたびに待ちきれなくなってタスクマネージャで Photoshop 自体を終了せざるを得ず,こちらもさっさとアンインストール.ひと月かふた月か待ってみるしかありません.これ自体は Adobe 社のエンジニアのレベルを窺い知る良い事例になっています.

Adobe ほどの大企業で,世界中に多数のユーザーがいる業界標準のソフトウェアで,なぜこのようなことが起きるのか理解しがたいことです.私の邪推では,他にライバルとなるソフトウェアがないので胡坐をかいて開発している,サブスクリプションで着実に日銭を稼げるようになったので,製品の完成度に対して気が緩んでいる,ベータテスト版を製品としてリリースし,その後 1 年かけてユーザーの力も借りてバグ出しと修正を続けているのではないか?とすら思えてきます.

社内での徹底的なテストが必要なのはもちろんですが,ユーザーコミュニティの中のパワーユーザーにもベータテストを依頼したりしているのでしょうか?多数のユーザーの中には,開発側が想定していない使い方をする人たちも少なからずいるはずで,そういう状況でバグが顕在化したり,仕様が不適切だったと分かることも多いはずです.

開発プロセスの改善が必要だと思います.

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2022/10/16

Refsort/Ruby v3.74 released

辞書参照型ソーティング・フィルタ Refsort/Ruby (新しいほうから *1 *2 *3 *4 *5)の改訂版 v3.74 をリリースしました.今回の改訂は新しい埋め込みオプションと,それとペアとなるコマンドライン・オプションの追加です.

Refsort は並べ替えの下働きをするためのプログラムですが,特に生物種の分類学的な並べ替えを得意分野として開発してきました.ところが生物種の学名のリストは結構厄介な対象です.短くはないラテン語のスペリングを正確に書いておかないと,辞書との照合に失敗して撥ねられてしまうからです.

一般の文章の中で学名を使うときも同様の課題があります.例えば「アカガシラソリハシセイタカシギ」の学名は Recurvirostra novaehollandiae と和名に負けず大変長ったらしいものです.この学名を文章の中で初めて使う場合はそのまま正確に書くしかないのですが,その直後に再び言及する際には,学名のうちの属名を “R.” と短縮して書く慣習があります.さらに亜種の学名だと属名,種小名,亜種名と 3 つの単語が並ぶわけですが,文脈から自明な場合には種小名も短縮して頭文字とピリオドにしてしまい,亜種名だけをフルスペリングで書くことも珍しくありません.

この短縮ルールを並べ替えにも使いたいというアイデアは開発のごく初期から課題リストに入れていました.当初は辞書ファイルの別名機能を使って何とか実装できないかと思ったのですが,辞書に短縮形を入れてしまうと多数の重複レコードが生じてしまい,辞書ファイルが機能しなくなってしまいます.

そこで,入力側でユーザーが自分で短縮形を定義するという発想で実装したのが今回の改訂版です.それには入力ファイルに新しい埋め込みオプション #!a を追加して次のように書きます.

#!a R. = Recurvirostra

すると Refsort はこの行以降のキーフィールドに “R. ” という文字列があれば,それを全て “Recurvirostra” に置き換えたうえで辞書との照合を行います.そして並べ替えられた結果を出力するときには元の入力されたままの “R.” を用います.また辞書中にそのキーフィールドが見つからなかったときには,短縮形ではなく置き換えられた文字列でエラーメッセージを吐きます.

置き換えのルールはユーザーが自分で自由に定義します.短縮形が頭文字とピリオドでなければならないという決まりはないので,

#!a Rec. = Recurvirostra
#!a mela = Melanitta

としても何の問題もありません.この置き換えのルールは入力の途中でいくらでも上書きして変更することができます.また

#!a Rec. =

と何も書かなければ以降の “Rec.” の置き換えをキャンセルします.

実用上は,ある程度まとまった分量の,同一の科や属の種を順不同でたくさん書いたリストを並べ替えるときに役立つと思います.長い属名を頭文字とピリオドだけで済ませることができるからです.

いったんルールを決めると,入力行に “Rec.” という文字列があれば,それがキーフィールドにある限りは,すべて置き換えたうえで辞書との照合と並べ替えを行います.そのため短縮形の設計は慎重に行う必要があります.

短縮形のままの出力では都合が悪い場合もあるでしょう.そのときは出力結果をエディタや表計算ソフトの置き換え機能を使って書き換えればよいのですが,Refsort に新設したオプション “--expandkeys, -p” または “--expandwhole, -P” も使うことができます.前者は入力レコードのうちキーフィールドにある短縮形を置き換えて出力しますが,他の部分については入力されたままの文字列を出力します.

後者のオプションは劇薬で,入力ファイルにある短縮形を,それがどのフィールドにあろうと,たとえコメントの中にあろうと問答無用で置き換えて,辞書との照合,並べ替え,出力を行います.従って入力ファイルに短縮形で書いた属名や種小名やその他任意の単語を,短縮しない形に置き換えて出力しますので,短縮形の設計には細心の注意が必要です.

一つ使い方について注意をしておくと,間違っても,

#!a a = Anser

などと書かないでください.キーフィールドにあるすべての “a” という文字が,あるいは “--expandwhole, -P” オプションを使った場合は入力中のすべての “a” が “Anser” に置き換えられて処理されるからです.せめて

#!a A. = Anser

と大文字にしてピリオドを加えておかないと,意図しない置き換えが大量に発生する恐れがあります.

この機能を使った使用例を改訂したユーザーズガイドに加筆しましたので,使用する前にはぜひお読みください.また新オプションの追加に伴って,Excel とのインターフェースである Refsort on Excel も新版の v2.42 に改訂しました.新しいチェックボックスを設けましたので画面がだいぶ窮屈になってしまいました.

Refsort/Ruby とそれに関連するコンテンツのアーカイブを Microsoft One Drive に置いています.画面右側コラムの Archive の中の Refsort/Ruby Archive をクリックしていただくと,私の OneDrive 上に設けたライブラリが開きますので,そこから過去分も含めてファイルをダウンロードすることができます. Refsort 本体の refsort.rb は refsort_v374.rb というファイル名でアップロードされていますので,ダウンロード後に refsort.rb に変更するとよいでしょう.改行コードも CR/LF になっていますので,適宜変更してお使いください.エンコーディングは US-ASCII ですので,そのままでよいでしょう.

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2022/09/18

ACアダプターを撲滅せよ

私の机の周りにはいくつもの AC アダプターがあります.無線 LAN ルーターの電源,NAS の電源,LED ライトの電源,などなど.これらの AC アダプターは相互に互換性がないのが普通で,電気製品が増えるたびに AC アダプターも増える,そして電源タップの周りは AC アダプターだらけになって,黒い四角い箱がごろごろ.

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こうなることを避けるために,私は出来るだけ電源内蔵の機器を買うようにしているのですが,なかなか希望通りにはいきません.例えば,現在使用中のネットワーク・ハブは,あれこれ探し回ってようやく電源内蔵・金属筐体のものが見つかったので良かったのですが,無線 LAN ルーターは業務用でもない限りそのようなものは全くありません.

どうして AC アダプターが世にはびこるのか,想像を巡らせてみました.

  1. 製品メーカーに電源を設計できるエンジニアがいない.電源回路は製品を底辺で支える大変重要な部分のはずだが,広告に書ける性能とは無関係のために重視されず,優秀なエンジニアを雇わない,エンジニアが育たない.
  2. 電源を内蔵すると国ごとに異なる電圧や規格に対応して認証を得るのが大変面倒.
  3. 自社で不慣れな設計をして製品事故(特に経年劣化)を起こすくらいだったら,電源専業の台湾デルタ電子から認証付きの AC アダプターの供給を受けたほうがよほど安上がりだし品質も安心.
  4. 電源内蔵でなくてもユーザーは気にしない・・・だろう.

しかし,私は大変気にするのですよ.床や机上に埃まみれになった AC アダプターがごろごろ転がっているのは許せません.そもそもまともな電源を作れないメーカーの製品はいまいち信用できない.技術の底力を疑いたくなるのです.特にチョークコイル電解コンデンサの選択や使いこなしは製品の信頼性に大きく関係します.パソコンに内蔵させる10万円もするグラフィックスカードですら,その電源回路のチョークコイルが振動して騒音(いわゆるチョーク鳴き)を発生させる不良設計がまかり通っているので全く呆れます.

しかし AC アダプターは無くなりませんねぇ.ますますはびこっています.私にできることは電源を内蔵した製品を探して買い求めることですが,年々選択肢が狭まっているのを感じて悲しくなります.

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2022/09/03

IOC List v12.2 released

IOC World Bird List v12.2 のドラフト版は 8 月上旬にはアップロードされていたのですが,その後正式版になったというアナウンスが無いままに 9 月に入ってしまいました. その間 8 月 23 日付で BOW ページが v12.2 に更新されたというアナウンスがあっただけです.このため 8 月 23 日で更新が完了したと見なしたいと思います.

これは 2022 年 2 回目のリリースです.前回 v12.1 のリリースが 2022 年 1 月 20 日だったので,今回は 6 か月 + 1 か月以上経ってからの更新となりましたが,これは他の主要な鳥類チェックリストとの統合の議論がある程度進捗するのを見極めてから更新作業を行ったためと思われます.この調子だと,鳥類チェックリストの大統合が予想外に早く達成されるかもしれません.

今回収録されたのはが 44 ,が 253,が 2,383 ,が 11,093 (うち絶滅種が 160 ),亜種が 19,880 です.

今回と前回 v12.1 との差分を調べてみると大きな変更はなく,他の主要チェックリストに合わせて 20 種程度の英名を変更したことが目立つくらいです.大規模な属の異動もありませんでした.例によって日本のバーダー向けに重要と思われる変更点を書いておきますが,今回はほとんど書くべきことがありません.強いて書くと,

  1. Pandion cristatus, Easterm Osprey, オーストラリアミサゴが P. haliaetus, Western Osprey, ミサゴの亜種にまとめられ,P. h. cristatus となりました.これに伴い,P. haliaetus の英名が Western Osprey から Osprey に変更されました.ちなみに日本で見られるミサゴは基亜種 P. h. haliaetus です.従って今後日本のミサゴの英名はただの Osprey となります.
  2. Strix davidi, Pere David's Owl, シセンフクロウが S. uralensis, Ural Owl, フクロウの一亜種に格下げされ,S. u. davidi となりました.ちなみに日本の本州島のフクロウは S. u. hondoensis, 亜種フクロウです,他の島のフクロウも S. uralensis の亜種なので,シセンフクロウと同列の扱いです.

と,この程度です.今回は英名の変更が多かったのですが,日本のバーダーにとっては影響はわずかでしょう.なお,IOC List が更新されるたびに別記事で紹介していた tautonym(反復名)ですが,今回は前回の v12.1 と全く同じなので省略します.


IOC 本家の Master List(学名と英名を収録した Excel ファイル)を編集して,Refsort/Ruby 用の辞書ファイル(拡張子が .ref のテキストファイル)を作りましたので,Microsoft One Drive 上に設けた “IOC List Archive„ にアップロードしました.

エンコーディングは UTF-8US-ASCII の2種類です.正版は UTF-8 版で US-ASCII 版は簡易版ですが,詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.


このオリジナル版の辞書ファイルと併せて,全ての掲載種に和名をつけた辞書ファイル 2 種と,IOC Master List の和名追加版(Excel ファイル)も同時にリリースしました.今回は山階鳥研論文誌に掲載されている目と科の新しい和名を参照して,目と科の和名を若干修正しました.さらに同じく山階鳥研の論文誌に掲載されたフクロウ目の種和名の改訂に関する論文を参照して,フクロウ類の和名の若干の改訂を行いました.変更部分は辞書ファイル中に明記してあります.元論文は辞書ファイルのヘッダー部分を参照してください.

和名追加辞書についても,UTF-8 でエンコードしてあるものが正版ですが,Windows などでの使い勝手を考慮して Windows-31J でエンコードしたものも同時にアップしてあります.詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.

単に種名を調べるためだけであれば,和名追加版の Master List(Excel ファイル)が最も便利です.ただし長大なワークシートなので,目的の名前をスクロールして探すのは非効率です.検索メニューからジャンプするのが良いでしょう.


これらのファイルは前述のとおり,Microsoft One Drive 上に設けた IOC List 専用のフォルダからダウンロードできます.それには,このブログ右側のコラムの最上段の Archive の中の IOC List Archive をクリックしてください.そうすると One Drive のフォルダに入ることができますので,あとは適当に選んでダウンロードしてください.


なお旧版の v12.1j について,何か所か和名の誤記が見つかったので,訂正版をリリースしています.ioclist_v121jp1 という総称で,それぞれ UTF-8 と Windows-31J でエンコードしたものがあります.旧版を使い続ける方はこちらをお使いください.

さて,本年秋のリリースが予定されていた 10 年ぶりの更新となる日本鳥類目録改訂第 8 版ですが, Covid-19 の影響を受けて検討作業が遅滞しているとのことで,リリースを 1 年延期して 2023 年 9 月とすることがアナウンスされています.しかも,これまでになかったような和名の変更がいくつか予告されており,興味深いものになるようです.例えば長すぎる和名を短くするとか,亜種の名前を種名と異なるものにする例外を設けるとか・・・こちらの記事が参考になります.一年先延ばしになってしまいましたが,ぜひ世界の進度に伍して行ってもらいたいと思います.


I am pleased to announce that I have posted reference files for Refsort/Ruby compiled directly from the latest IOC World Bird List v12.2. It contains 44 Orders, 253 Families, 2383 Genera, 11,093 species including 160 extinct ones, and 19,880 subspecies, respectively. Please try it out, and enjoy its capability and speed.

Note that the reference file "ioclist_v122u.ref" is encoded in UTF-8 in order to retain all European accents and umlauts with complete fidelity as they are in the IOC Master List.

For those who want to use Refsort/Ruby in universal ASCII environments, I have posted another reference file "ioclist_v122a.ref" encoded in pure US-ASCII. Note that characters with accents and umlauts have been simplified to their nearest neighbors. So please be careful in particular when you refer to authorities of species.

I have also posted two different reference files "ioclist_v122ju.ref" and "ioclist_v122jw.ref" (encoded in UTF-8 and Windows-31J, respectively) which include Japanese names for all species. If you want to know Japanese names, please refer to those files.

In order to sort a list properly using these reference files, you need to align the encoding of the input file to that of the reference file, and you should add a magic comment specifying the encoding in the first line of these files, such as

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

or, add an option "-E UTF-8" into your commandline.

You can skip this process if your iput file is encoded in the default encoding of your platform, e.g., US-ASCII or Windows-31J for Windows, UTF-8 for macOS or Linux.

A master list in Excel format containing a column of Japanese names has been posted as well. This would be most convenient for quick reference.

You can download appropriate files from my area of Microsoft One Drive by clicking "IOC List Archive". Enjoy, and bon appétit.

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Refsort/Ruby v3.73 released

辞書参照型ソーティング・フィルタ Refsort/Ruby (新しいほうから *1 *2 *3 *4 *5)の改訂版 v3.73 をリリースしました.今回の改訂は機能の追加が主なものです.

まず,数値の大小で並べ替えを行うための --value, -e オプションの機能を拡張し,数字の直後に + または - 記号を最大で 5 個まで付けることで,付けなかった場合の数値よりも「わずかに」大きいまたは小さい数値を表現できるようにしました.これにより例えば,

100-- < 100- < 100 < 100+ < 100++

という大小関係が成立するようになります.野外での生物個体数のカウント,培養シャーレや顕微鏡視野内のカウントなどで,概数として + や - を付ける場合があることに対応しました.

なお, 100+ や 100++ は 100 よりも「ほんのわずか」大きいということだけに意味があるので,他の数値に対しては 100 とほぼ等価です.このため強いて書けば,

100+ < 100++ < 100.001

99.999 < 100-- < 100- < 100

という評価になることにご注意ください.

負の数についても,+ はわずかに大きい数,- はわずかに小さな数を表すので,

-100-- < -100- < -100 < -100+ < -100++

となります.

次に --showencoding, -g の機能を以下のように修正しました.まず BOM や コマンドライン,あるいは何も指定がない場合のデフォルトで初期設定されているエンコーディングを表示し,その後辞書ファイルや入力ファイルを読み込んだ段階で埋め込みオプションによりエンコーディングが変更された場合には,変更後のエンコーディングも表示するようにしました.これによりエンコーディングの初期設定・変更の過程がわかりやすく表示されます.

Refsort/Ruby とそれに関連するコンテンツのアーカイブを Microsoft One Drive に置いています.画面右側コラムの Archive の中の Refsort/Ruby Archive をクリックしていただくと,私の OneDrive 上に設けたライブラリが開きますので,そこから過去分も含めてファイルをダウンロードすることができます. Refsort 本体の refsort.rb は refsort_v373.rb というファイル名でアップロードされていますので,ダウンロード後に refsort.rb に変更するとよいでしょう.改行コードも CR/LF になっていますので,適宜変更してお使いください.エンコーディングは US-ASCII ですので,そのままでよいでしょう.ユーザーズガイドは,リリースが遅れている IOC List v12.2 が完全にリリースされてから改訂したいと思います.

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